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無職41日目 同窓会であった切ない友情の話 ※謎のエッセイテイスト

こんにちは、30歳無職一般人です。今日は、年の瀬ですので、同窓会がありました。そこで、私は、ちょっとだけおセンチな体験をしたので、書きます。(※今回は無駄にテイスト変えます。なんせ無職で暇なので。)


11月某日、私のLINEが鳴った。

友人A:「誕生日おめでとう!」

そうだ、今日は私の誕生日である。今日で私は30歳になった。ちなみに、無職である。30という人生で節目の誕生日を、まさか無職で迎えるとは全く想像をしたことがなかった。

友人Aは高校生の時からの付き合いだ。私には昔から続いているコミュニティがいくつかある。そのうちのひとつが、今LINEをくれた友人Aがいる『高校の同級生のコミュニティ』だ。このコミュニティは、なんと10年以上続いている。だいぶ長い付き合いになってきたが、継続ができている理由は意外と単純で、私の誕生日の次の週が友人Aの誕生日であり、そして年の瀬が近い時期だということ。だから、私の誕生日に誰かが連絡をし、翌週に友人Aの誕生日を忘れずに祝うと、自然と「年末に集まろう!」という話になる。

このコミュニティは変な縁である。高校を卒業して、大学に入ったばかりのころ、みんな違う大学に進学した。志望校に運良く行けた人もいれば、逆に志望校に行けなかったやつもいる。それでもみんな同じ環境から違う環境に飛び込みんだ。大学は異色な空気感が漂う。最初はどうしてもそれに慣れない時期があった。だから、高校の友人と会うと、どこか安心し、ほっとする。そんなところから定期的に会うようになった仲だ。「縁」というものはそんなものなのかもしれない。

今年も例のごとく、誕生日リレーから、「年末に集まろう!」と話になった。日時もスムーズに決まり、行ける人もいれば行けない人もいる。もちろん私は行ける。なんせ、無職だから時間がある。

ちなみに、高校の同級生はとても優秀な人が多い。比較的有名な会社に勤めている人もいる。だが、特に劣等感を抱いたことはない。なぜなら、友達だからだ。これは私が心が広いとか、そういう理由ではない。単に私に不思議な癖があるからだ。それは、自分の味方と外部に明確な線を引く癖だ。例えば、高校の同級生は「味方」に入る。だから、味方が世間で活躍することは自分のことのように嬉しい。一方、Facebookで繋がっているだけの友達は、どうしても外部に入ってしまう。その人が活躍しているのを見て、手放しで喜ぶパターンは少ない。「何くそ!私も頑張ろう!」って思ったり、「へえー」ってスルーしたり、「ここでいいねを押した方が、自分は大人な気がする」って悩んでいいねを押したりと、外部の人への対応は大変だ。結果、Facebookは面倒になって開かなくなった。


そして、年の瀬になり、久しぶりに集まることになった。友人Aと友人Bと新宿で待ち合わせをし、友人Cはどうやら遅れるらしい。

二年ぶりに会ってみると、2人とも全然変わらない。外食も友人との再会も久しぶりだ。二年も空いているので、当然、最初は近況報告をしていた。友人Aは、2人目の子供が生まれるらしく、もう立派なママだ。友人Bは、超地元っ子だったのに、引っ越したらしい。ちょっと驚き。

そして、私が無職になったことを話す。2人は優しく受け止めてくれた。そして「転職かー、大丈夫だよ!むしろいいな!ちょっと遊んじゃえば?」と楽天的に捉えて、話してくれた。きっとこのコミュニケーションの正解を出せる2人は、どこに行っても大丈夫なすごいやつらだ。と感心した。

そして、そうこうしているうちに、友人Cがやってきた。仕事が立て込んでいて遅れたらしい。友人Cは、とても有名な企業に勤めていて、きっと仕事も大変なんだろう。

後から遅れてきたものの宿命として、最初はその人に話題が集中するものだ。近況を聞いた。プライベートでは良いこともあれば、悪いこともあった、などと2年の流れを聞く。そして仕事の話になる。とても順調だそうだ。だが、契約期間なるものが友人Cにはあるそうで、その面接に受からなければならず、少しピンチだとも教えてくれた。

友人Cは、私が知る限り働き者である。こういった飲み会の日だって、遅れてくるほどに努力をする。そして、名だたる企業の中で、努力している。直接は恥ずかしいから言わないが、少し尊敬している。新卒で企業に入社したころに集まったときは、歌舞伎町の夜の街で上司に連れ回されるというどこのネットの話だと思うような経験を話してくれた。

少し話は遡るが、就職活動の時、私たちのコミュニティはよく集まっていた。みんなで不安な気持ちや近況を共有していた。そんな中でも友人Cは、自分の志望業界まっしぐらで、誰よりも一生懸命就活活動をしていた。友人Cは自分の大学を卑下する傾向があった。「こんな大学だから、就活くらいは頑張んないと」と。ちなみに普通に優秀な大学である。
そして、かくいう私は、就職活動に乗り切れなかった。なぜなら、会社の選び方がわからなかったからである。大学はとにかく有名な大学に!というモチベーションで入ったが、周りが優秀すぎてついていけなかった。そこから、自分の中身が伴わなわなければ、どんな飾りをつけても空虚だ!という悟り時期にはいり、自分探しの迷宮に入ってしまった。結果、就職活動のトレンドやノウハウ、テクニックなどにいまいち興味が持てずに、四苦八苦していた。
そんな私にも友人Cは、「いい大学いるんだから、大丈夫だって!」と優しい声をかけてくれた。みなが就活を終えてからの集まりは楽しかった。同じ釜の飯を食った友だ。


場面は、同窓会に戻る。ひとしきり、自分の近況を話し終わった友人Cは、いままでどこまでの話をしてきたのか?を探りながら、他の人たちの近況を聞く。そして、飲み会あるあるだが、みんな遠慮しながら、さっき話した話をもう一度する。友人Aは、2人目の子どもが生まれる。そして、友人Bは、引っ越した話。やっぱり、ちょっと驚く。そして、私の無職の話になった。

関係性の影響も大きくあるが、無職話はみんなが食いつきやすい話だ。転職の話で盛り上がった。私は、転職をしながら仕入れた情報や体験談を少しずつ話す。友人Cは転職経験者だから、「どんな感じで転職したの?」「紹介で行ったんだよ」などの話をしていた。

すると、友人Cがおもむろに質問をした。

友人C:「改めて、前の会社で何やってたの?」

急な面接問答にびっくりした。そして、友人付き合いだから、口調をできる限りマイルドにして、あんまり本気な感じにならないように、

私:「〜の営業とかかなあ」

といった。すると、友人Cの目が見開いた。

友人C:「正直、キツいな。何の会社かもわからないし、信用のない奴をとる必要性が会社にないもんな。」

私は、耳を疑った。急に矢が飛んできた。

友人C:「有名な会社に行ったやつが転職するのは簡単だけど、そうじゃないやつが転職するのはほぼ無理だよ。残念だな。」

再度耳を疑った。気分は織田信長である。Cの敵は本能寺になった。
そこから、友人Cの圧倒的な独演会が始まった。転職がいかに難しいか、ブランドがいかに重要か、共通の知人Dは〜という会社に行き、だから〜という会社に行けた。という実例紹介などが始まった。
疑いようのない断言口調で話す友人Cに、口を挟むことは、誰もできなかった。

友人C: 「●●(私のこと)がどこに決まるかが楽しみだな」

と言って、彼はトイレに行った。呆気に取られて、みんなが少しだけ戸惑った表情をしたけれども、空気を大事にする仲間だから、今の話はなかったことになった。私も、そっと胸にしまった。

そして、友人Cが戻ってきて、再度楽しい同窓会が始まった。例のごとく、昔話で「あんなことがあった」「こんなことがあった」と盛り上がる。同窓会の昔話は楽しい。それはきっと、一緒の体験だからだ。同じ体験をして、同じものの見方で、同じ感情を共有している体験だから、思い出すだけで、楽しいんだ。


そして話は年末年始の過ごし方になる。友人Cは実家に戻らないそうだ。友人Bが聞く

友人B:「どうして?近いんだから戻ればいいじゃん!」

友人Cは答える。

友人C: 「父親が変わってるんだよ」

私は尋ねる。

私:「どう変わっているの?」

友人Cは答える

友人C:「ん〜、、●●(某有名大学の名前)以上に行かなきゃ、負け犬だ!ってずっと言われてきたからね。」

みんな、ちょっとびっくりした。言葉を選びつつ、

私:「え、、、それはなかなかすごいね。」
友人C:「まあ、父自体がそのことで苦労してたらしいから、こだわりがあるんだって」

少しの沈黙を経て、私はその瞬間にいろんなことを悟った。

・どうしてCが自分の大学のことを卑下していたのか

・そして、どうしてあんなにも就職活動に本気になれていたのか

・新卒での厳しい経験をどういう気持ちで乗り越えてきたのか

・そして、その後も必死でその業界のルールで努力してきたこと

・自身も転職をして、ついに自他共に認められるレベルにきた事実

・でも、自分が契約期間があって、プレッシャーを感じているかもしれない

・そして、志望校に入り、呑気に就活をして、なんとなく無職になった私をみて、どう思ったのか


私は、10年以上付き合ってきて、友人Cのことをまた少し知ることができた気がした。

そして、同窓会は終了した。私の頭の中では、考えや思いがぐるぐる回った瞬間もあったが、総じて、楽しい同窓会だった。


帰り道に思ったのは、やはりCのことだ。私は、本音でこう思う。「Cの世界観の中で成功してほしい」と。私は、Cのような考え方が難しかったから、職業選択は自分らしさを追求した。でも、Cは世間でのトップをひたむきに目指している。かっこいいじゃないか。そんな彼を応援したい。

でも、そういう生き方は大変だ。経済的にじゃなくて、精神的に。だから、もしも彼が疲れたときは、普通に接したいと思う。他の友人が私にしてくれたように。なぜなら、君は僕の味方だから。

つまり、私は、良い友人を持った、という無職のはなしでした。

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