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セコンドしてきました。人に必要とされる喜びと幸せ。

セコンドを頼まれることが年に数回あります。

今回は週に一度技術練習を見ている小川選手のタイトル戦のセコンド依頼を受けて、小川選手の所属TRIBE MMAの長である長南さんと二人で仲良くセコンドをしてきました。格闘技界を代表する保守の長南さんと青木真也。認識はなくともリベラルに分類されるであろう青木真也と長南さんのセコンド共演を心配する声もありますが、お互いに「調和」を大事にしていますので心配ございません。

僕はジムを持っているわけでもない。指導者でもない。ただの選手であって技術屋です。

それでも選手がキャリアの中で貴重な1試合のセコンドをお願いしてくれるのは信頼があるからだと思っています。心から嬉しいことですが、僕にセコンドとしての能力があるかはわかりません。「ワシが付いたら勝てる」とも「ワシがバンテージを巻いたら勝てる」とも断言できず、できることを精一杯させてもらう約束しかできていません。僕にできることであれば全力でご一緒させてもらいます!はセコンドも仕事も全てに通じる僕の姿勢なのです。

セコンドに限らず、選手周りの仕事の能力は見え難いものでして、ときにバッタ物が混ざり込みます。優秀な選手を抱えている=優秀なセコンドに見えます。優秀な指導者=優れた素材をスカウトする能力や出会う運になるでしょう。そもそもどう見せるかに寄る部分が大きくて、有名で露出が多い人が評価されているように思わなくもないからです。

もちろん世に出てる人は優秀な方が多いけれども、アピール合戦になっている側面やトレーナーやマネジメント同士で不審火が起こっているのを見ると恥ずかしくて見ていられません。僕はあの渦には入らないと何度心に誓ったことか。選手が勝ったら選手の力。選手が負けたら我々が未熟で改善の余地があるでいいと思うんですけどね。

今回、セコンド依頼を頂いた小川選手は元々は打撃を中心に闘う選手でした。得意な打撃を活かすために取り入れた組技が予想外に伸びて今は組技が信頼できる武器の一つになった選手です。組技のアドバイスで関わらせて頂いた身としてはこれほど嬉しいことはないのですが、その分責任を感じているのも事実で練習で気になったところは伝えるようにしています。一方的にならないように対話の中でコミュニケーションをとって、正解を作らずに試行錯誤をくり返しています。

メインのセコンド業は長南さんがやってくれるので、僕は組技で必要なことを丁寧にお伝えすることを心がけていきました。試合中の判断が分かれるときは僕が退いて長南さんの指示に一本化。選手が混乱しないことを一番に考えています。如何にシンプルにわかりやすく伝えるのかが大事になります。

試合は我慢の展開が続く中で組技でポイントを稼いだ小川選手が判定勝ち。
組技の指示を全て的確にしてあげられたわけではありません。それでも試合の重要な局面で勝敗を左右する攻防をこちらに傾けることができたのは結果オーライでした。選手本人が頑張ってくれたからこそだけど、セコンドをした身としては嬉しいものです。少しでも役に立った気がします。

小川選手初防衛おめでとう。
またコツコツ積み上げていきましょう。才能や運がなくとも取り組みの継続で昇り詰めたチャンピオンです。飛び抜けた才能とパフォーマンスで人を魅了できなくとも日々の取り組みの積み上げで人に力を与えることができるのだなと帰路でこの記事を書いています。会場があった新木場は遠いね。

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人に必要にされるのは嬉しく幸せなことです。
小学校のときに少し変わった経験をしていて(ここらへんは本を読んでもらえたら)、人に必要にされないことの恐怖を感じていたからこそなのかもしれないけれども、人に必要にされていると感じたときの喜びを感じるのが強いと思います。

僕が来た仕事を断らないのは「青木真也を必要としてくれた」からなのです。試合でも何でも青木真也を必要としてくれたのであれば僕は喜んでやります。青木真也でなくてもいいのであれば、それはまた違った話で僕の基準は必要としてくれたのかです。

僕は自分の「表現」を通じて人に必要とされています。それは幸せなことだけれど、世の中に存在するすべての人が誰かに必要とされています。私なんてと思わないでほしいんだ。誰もが誰かに必要とされています。家族なのかもしれないし、大切な誰かかもしれないし、仕事かもしれない。何かに必要とされていて、その幸せと責任を生きる燃料として生きてほしい。

人に必要とされるのは幸せなことです。
生きようと思わせてくれる。明日も生きようと思う。

ここからは『才能で生きる人』について僕が感じたことを。
ここまでの話とはまったく違うのでご了承ください。


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