ももいろ歌合戦 大仁田厚対青木真也 邪道は連鎖する 那須川天心対武尊戦発表の日に同時発表
2021年12月31日 大晦日
僕は日本武道館のリングに立っている。意味のあることだと思う。
日本人の格闘技選手であれば大晦日のさいたまアリーナでの試合を誰もが一度は夢見るであろうし、僕自身も2006年から15年の年末大会に出させて頂いていて、それなりに楽しくそれなりに話題を作らせて頂いていた。そこでの経験や学びが今の青木真也の一部となっているのは紛れもない事実だ。
本来であればRIZINでさいたまスーパーアリーナで試合をしていなければいけないと僕でも思う。それもONEではなくRIZINなのが今のイケてるチョイスなのも重々承知している。それが2021年は大晦日に「日本武道館」で「ももクロ」の「もも色歌合戦」で「大仁田厚」と「電流爆破」でプロレスをしている。情報量が多くて、整理に時間が掛かるだろう。これでも省けるものは省いてわかりやすく伝えたつもりだ。如何に情報量が多く「まさか」な試合なのかは情報量の多さからも分かってもらえると思う。
2021年。大晦日。青木真也らしいと思うし、青木真也の集大成だと思う。どうも青木真也って人は逆張り傾向にあって、右向け右はしてくれない。皆が打撃と言えば寝技だし、皆がUFCと言えばONEだし、皆がさいたまと言えば日本武道館。観る人の思い通りにならない人だし、推させない人だと我ながら思う。ここまで来るとそんな星の下に産まれたとしか言わねば説明がつかないほどの自らの選択と状況だ。
客観的に見るとめんどくさい人でへそ曲がりで天邪鬼だと思うが、僕としては自分が思う楽しいことをやりたいようにやっているだけで、悔いのない生き方をしたいと思っているだけなのだ。逆張りと言われたらそれはそれでムカついてはいるのだが、上手い言葉が見つからないから仕方がない。勘弁してやろう。まあそれはそれとして。
ももクロの紅白歌合戦問答があってからの「ももいろ歌合戦」は一方的に僕と同じような反骨心なのか、なんと言ったらいいかわからない精神に共感している。今年はお世話になります。心の底から感謝しています。
ここで大仁田厚だ。
青木真也38歳。1983年組。僕らの世代は大仁田厚を「ワールドプロレスリング」で追いかけて、大仁田厚の掌の上で転がされてきた世代。大仁田厚の作る世界はテレビと紙の二大メディア(ネットのない中で2大巨頭)を使った劇場型プロレスであって、その当時のクリエイティブの最先端であったと思う。それを1人でやってたと言うんだからバケモノとしか言えない。僕たちはその物語に人生を蛇行運転させられた挙句、気がついたら今こうなっている。そんな人は僕たちだけじゃないはずだ。大仁田厚の表現者、クリエイターとしての力はズバ抜けているのだ。
大仁田厚「電流爆破」と「インディー」で市場拡大した。革命だと思う。
天才は1人で稼いで1人勝ちするけれども、大仁田厚は革命者として市場を拡げた。電流爆破に関してはデスマッチ畑からはデスマッチの分類ではないのではないかとの声があるのも知った上でデスマッチだし、大仁田厚はクリエイターとしてズバ抜けているし、嘉納治五郎が古流柔術から柔道を創ったように大仁田厚も電流爆破でデスマッチを整えたと僕は思っている。もの凄いクリエイターだ。
大仁田厚と青木真也。
大仁田さんは「青木とは手が合うんだよな」と言ってくれる。ファイトスタイルは合わないし、2人が試合をしてどうなるかは僕にもわからないし、引退を賭けてしまった手前、何をしても勝たなくてはいけないのだが、大仁田さんのマインドを自分なりに理解しようとしているからこそ、大仁田さんは「手が合う」と言ってくれるんだと思う。大仁田厚の作品に影響を受けてきた者としては認めてもらったような気がして嬉しくもある。
ただこれは試合だ。大仁田厚の創ってきた作品に影響を受けてきた1人として、全力でぶつかって大仁田厚を叩き潰す。誰が何と言おうと2021年の大晦日は青木真也が主役で人生のハイライトだ。
1998年4月4日のアントニオ猪木引退試合の実況古舘伊知郎は「闘魂は連鎖する」と実況した。有名な引退試合の実況だ。2013年からIGFでアントニオ猪木の世界観で試合をさせてもらった。青木真也の解釈で闘魂を学んできて青木真也の中に闘魂がある。ここで大仁田厚の邪道も自分の中にいれるのだ。青木真也にしかできないことで価値のあることだと思う。
後継者的な存在とか、選手を教えないのかとか、どう引き継いでいくのかを聞かれることは僕レベルでもある。猪木会長や大仁田さんとなれば数えきれないくらい聞かれるだろうし、求められるはずだ。教えるとか、伝えるではなく、連鎖するのだ。闘魂は連鎖するし、邪道は連鎖する。そう考えたときに残そうとする気持ちは皆無になった。勝手に連鎖していくだろうし、格闘技界やプロレス界ではなく、日本中のいや、世界中のどこかに連鎖していけばいい。僕はそう思っている。
僕もあなたも自分の物語を生きていて、物語に大小や上下があるのかと思ってしまうこともあると思うのだけど、自分の物語に矜恃を持ってコツコツと生きていけば、僕のあなたの物語も誰かにどこかで連鎖するのだと思うと、生きる意味を突きつけられたように思う。生きよう。生きねばならん。闘魂を邪道を青木真也を連鎖させよう。
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