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Road to ONE:4th Young Guns 雑感とメインの二人に感謝します。

Road to ONE:4th Young Guns を御視聴いただいた方々ありがとうございました。まだの方も下にリンクを貼っておきますので、今からでも楽しんで頂けたらと思います。若い選手中心で今この時点での仕上がりは完成形ではないかとは思いますが、この試合を見ておくことで、この先の格闘技を楽しめる可能性は格段に上がるはずです。完成は5年後かもしれないし、10年後かもしれないし、もしかしたら完成しないのかもしれないです。それでも先を見ることのドキドキやワクワクの価値はあると思います。

解説は青木真也です。シャツにするかジャケットにするか悩みましたが、若手大会ですし、シャツにしました。細いのがバレるからジャケットがよかったかな。ただ試合開始前に平田樹さんチームから平田樹さんのプロデュースのウェアを頂いてしまいまして、それが今日会場で発売って聞いたから、着て協力して差し上げました。株式会社GOの三浦社長も買ってくれたようで青木効果あるじゃん。

以下試合視聴リンクです。
とりあえず気疲れしてます。色々と気を使ってんですよ。ずっと考えて能力総動員で解説と諸々させて頂きました。ただ喋ってるわけではありません。

メイン以外の選手が浮き出てこない問題。大会当日に浮き出てしまった選手に期待する。

今大会を解説として御一緒させてもらうにあたって選手を調べたり、練習を御一緒させてもらうメンバーに話を聞いたりと取材的なものをしてはいたのですが(練習が最大の取材)、調べれば調べるほどに選手の個性が浮き出てこないというか、何か強い主張があるわけでもなく、強くなりたいとか、世界に出たいとか、ありきたりの言葉であって、言葉に強さがなく、自身の言葉でなく借りてきた言葉に感じてしまいました。

それでも根気を持って調べてはいたのですが、難航しまして、これは蓋を開けてみるまでは分からないし、その日に試合を見て、僕が感じたことを話していけばいいなと舵を切りました。技術解説は自信があるし、選手の大まかな戦績とプロフィールを頭に入れておけば解説を組み立てることはできるし、無理に自分で話すストーリーを作らない方がいい解説になるものであります。結論に繋げるために無理に話す違和感がなくなるというか、うざったさがなくなると思います。

平田樹大会の難しさと21歳キャリア2年で求められる特異なキャリア。

メインありきの大会ではあるし、意地悪にわざわざ書くと平田樹の大会なのですが、大会数日前に公開される映像で見方が少し変わります。格闘技は一人だけで盛り上げるのは相当な腕がいります。僕自身の経験でも相手で盛りあげられない試合は苦労したし、例を出すとエドアルドフォラヤン戦は「タイトル戦」で「再戦」でそれに「リベンジマッチ」と相手で盛り上げることができたのですが、9月の試合だと相手は何も言わないし、顔じゃないしで相当に苦労しました。未だに思い出すとイライラしますからね。何もプロモーションしないであの守りの試合かと思い出すと未だに体温が上がります。

平田樹は一人で試合をしなければいけないし、21歳のキャリア2年足らずで厳しい仕事だなあと思って見ていました。僕の9月の記憶があるだけに大変だと勝手に思ってしまいます。競技的な厳しさではなく、プロ格闘技として捉えたときに難しい試合であります。この相手でこのタイミングは試合をしたい、試合をさせたい選手と関係者の苦渋の決断であったとは思って見ていました。わかるよ。選手の立場も裏方の立場も。

中村未来選手のコメントが秀逸。これで試合が成立した。

この映像で対戦相手の中村未来さんのコメントが素晴らしくて、これは「のれる」と思ったし、コメントを引き出したABEMAチームが好プレー過ぎて、すぐにメッセージをいれたほどです。このコメントを引き出せたことで今大会はもちろんのこと、その次の中村未来選手のストーリーまで引き立てることができたと思うのですよね。このABEMAチームの功績は本当に凄くて、格闘技愛があるというか、格闘技のことも中村選手のことも平田選手のことも考えてくれてると思いました。グッジョブオブザイヤーかもしれないゾ。

中村選手の「こんなに人生において真面目に取り組んで続けられていることはない」、「何かに向かってという生き方ができると思っていなかった」の言葉は同意であったし、秀逸なコメントで中村選手も映像チームもいい仕事で、一気に興味が増してきました。あとは「怒り」のテーマもすごくよかった。何度も言うけど制作チームグッジョブです!

格闘技の魅力はやる側も観る側も没入させてくれるところ。救われてきた人はオレだけでなく、たくさんいるんだ。

何か好きなことが見つかって没入できたら人生は勝ちだと思っています。収入の多寡、やってるレベルの話はあるとは思うのだけれども、自分の物差しを見つけたのであれば、それはもう勝ち組みだと思います。

自分が好きなものを見つけられたらそれほど幸せなことはないのですよ。僕の友人でプロレスファンで「プロレスを見にいくことが生き甲斐」な人がいるのだけど、本当に楽しそうです。毎回淡路島から出てきて、プロレス見て、サウナ入って帰るんだけど、好きなことに熱中できて幸せだそうです。僕も格闘技で好きなことばかりやって幸せそうだと言われるし、実際に好きなことが見つかってからは幸せだと思います。警察学校でやりたくないことをやる辛さを知ってるからこそ、今は幸せです。

幸せは他人が決めるものではなく、自分が決めるもので、他人から見る裕福は存在しても、幸せは存在しないのであって、幸せはいつも自分が決めるもので、そこに他人のもの差しを入れてしまうからおかしくなるのです。

中村選手の「何かに向かってという生き方ができると思っていなかった」のコメントの通りであるならば、格闘技が存在して良かったし、僕自身の生き方も肯定されたような気がしたのです。両国のマイクの「どうだ!うらやましいだろう!」も同じようなことではあるから。まあ家庭を壊す必要もないし、裁判する必要はもっとないんだけどさ。どうもすみません。被告です。

格闘技やプロレスの存在価値は没入できること。これ以上のことはないと思うし、熱中させてくれるものであるからこそ、無くならないし、存在する価値があると思っています。だからこそ残そうとする必要などなくて、必要なものは必ず残るから安心しています。要らなければ残らないし、無理に残す必要もないです。

青木劇場もやらせてもらってます。これ9月の試合直後だからね。

平田樹さんを僕の試合後に呼びつけて、青木劇場をやっています。
これは僕が9月の試合前から考えていたことでして、本来は9月の試合の後に平田さんが10月のONE大会の予定だったので、このまま平田樹にバトンタッチができたらいいし、ONEの日本選手の顔的な役割を平田樹がやっていけばいいと思ってのコメントでした。

そもそも僕は青木真也の試合を大事にしているし、団体がどうとか、業界がどうとか考えるのはやめて、自分自身が追求するものを作っていく決意を再確認していたから、平田樹に文脈のある、物語のある格闘技をやってもらえたら良いと思っていたし、彼女しかできないんだろうなと思っていたからです。

まあ僕の格闘技に対する絶望だったり、ONEとの距離感だったり、2020年は僕の目の前で色んなことがあって、それを繊細に感じることができたからこそです。絶望や失望は悪い方に作用せずに自分を大事に生きる至極当然の結果に行き着いたのだ。

これを試合後にやってしまうところが青木真也であるのだけど、自分のやることだけ見ると言っても全体を見てしまっているんだろうし、矛盾があるし、バカになりきれないところではあると思うのですが、僕のやってきたことを引き継いでいきたいと思うし、これこそ「次世代のために」だと僕は思うんですけどね。

彼女は格闘代理戦争で世に出て、注目を集めてきました。大変なこともあっただろうし、それ以上にいい思いもしたはずで、だからこその魅力は確実に備わってきたし、もっと上にと地団駄を踏んで、自分自身を追い込んでまた上に行ってくれたらと思います。地団駄が足りないというか、もっともっと貪欲で利己的でわがままでいてほしい。

メイン以外の全ての試合は引きたて役として塩っぱい試合でいいのだけど、中田選手は良かったし、吉野野瀬も良かったのだ。

頑張れば頑張るだけ返ってくるプラットフォームだとは思うのですが、試合前に何か話題を作った選手はいないし、きた球を打つだけなのを見て、首を傾げていたのですが、メインの両者のコメントを見て、これはこのままでいいのだろうと思いました。

全てがメイン料理ではいけないし、メインを引き立てるために神事のような厳かな塩っぱい試合をしてくれたら、メインが立つんだろうと思うとそれはそれでいいというか、皆仕事してると思えてくるから不思議です。それもあってマイク持つなよって思ったし、入退場も早めにしてほしかったくらいです。

中田選手は自ら前に行って攻め込む好試合を演じます。吉野選手と野瀬選手はまさにスプリットの好試合。この活躍は大きいし必ず次に繋がるものだと思います。

青木真也選出の優秀選手は中村未来選手に。

青木真也選出の優秀選手は中村未来選手にさせてもらいました。
これは他の2人の優秀選手を勝者の中から選ぶだろうし、僕が勝者の中から選ぶ意味を感じなかったのと勝者を評価するだけでは「プロ格闘技」は成り立たないし、いい負け役がいるから「興業」が成り立つことを僕は知っているからです。

僕はいい負け役を評価しない格闘技に先がないというか、僕のこれまでの経験でも敗者へのフォローがないから、結果的に選手は勝ちに固執して小さな世界になっていくと思うし、その先にあるのはアマチュアの延長線上のプロ格闘技だと思っています。僕の経験で言えば階級を跨いだマッハ戦やアスクレン戦の後のフォローはなかったし、それはマッチメイクでも声掛けでもなかったから、苦しかったのが記憶に残っていたし、バカらしくてやってられなくなって、どんどん利己的な目の前のことだけ見たつまらない格闘技になっていきます。今の格闘技の惨状を見ればわかってもらえると思うんだけどな。

修斗のマインドに「前回、大変な仕事をさせてしまったから、次はアップで返す」マインドがあるとは思えないし、それがあったらまた違った団体色というか、風味や味付けになっていると思うので、ここは「事実として評価された」ものを残しておいた方がいいと思ったのですよね。次の大会で組んであげてほしいし、長い目で見て育ててあげてほしいし、それができたら選手との信頼感もできて、団体も繁栄していくし、マッチメイクも断られないだろうと思うのですよね。

今大会の中村選手は厳しい試合を受けてくれて、身の丈以上の仕事を頑張ってくれて、感謝しかないです。平田樹さんの大会になったのは彼女のおかげであります。中村選手はいいコメントだったし、彼女が噛ませ犬をよしとしなかったことで勝負として、大会として成立した要素は多分にあります。

試合もあわやの場面こそ作れはしなかったものの、苦戦をさせたわけですし、平田樹を納得いかない試合をさせたわけだから、十二分に仕事をしたと思うのです。皆が思っていた以上の試合だし、頑張りだし、気持ちは間違いなく伝わっていました。僕ですら、ここまでの試合は予想していなかったし、彼女の勝ちたい気持ちと賭ける想いは伝わってきました。

男子で活躍した田上こゆる選手は前日に「青木から賞を貰いたい」と声をあげてくれていました。僕も嬉しかったし、自分から声を上げる姿勢は大事にしてあげたいんだけど、僕以外が選ぶだろうし、中村さんは僕しか選べないけど田上さんは他の人でも選べると思って田上さんは外させて貰いました。そもそも他の試合が派手でなかなか選んであげられる状況にもなかったです。でも技量は十分感じたし、すぐ上に来る選手だと思いました。

田上選手は僕が引っ張らなくとも格闘技マスコミや修斗の坂本さんが引き上げてくれるだろうし、喉から手が出るほどほしい期待の新星だろうから、別に僕の仕事ではないのだよ。それでも青木と何かやりたいと望んでくれたらいつでも喜んでやらせてもらいます。練習でもプロモーションでもなんでもね。

中村選手にはリング上で『あなたのおかげでイベントができました』とお伝えしました。平田だけではメインイベントは出来なかったし、ただ平田樹が圧勝するだけでは嫌な奴になってしまうと思ったし、中村選手が頑張ってくれたから、平田樹も繋がったのだと思います。僕は感謝でしかないというか、いい仕事を見せて貰ったと感じました。

よくがんばりました。平田樹はよりハードルの上がる試合へ。

平田さんに対しては「お疲れ様でした」です。

今回の試合で立ち位置が何かというわけではないし、そこが問われる試合ではないし、今回は試運転の域を超えません。それでも経験を積めたことは大きいし、次を考えたときに大きく一歩を踏み出す準備になると思います。

試合は打撃を出して、テイクダウンの幅を見せて(首投げ以外の選択肢)、サブミッションかパウンドアウトしたかったはずです。1年間練習してきただろうし、磨いてきたものを出したかったでしょう。

ただ実際はテイクダウンに攻めあぐねて、首投げをしてしまった事実だけが残ります。首投げしてからの極めはこのレベルならば勝てます。このレベルなら…ただ彼女は先を見ています。だからこその試合後の不満げな表情だったのだと思います。このレベルでよければいいけど、このレベルで満足する選手ではないし、満足されたら困ります。

彼女に今、厳しいことを言ってくれる人がいるかどうかまではわからないけど、僕は試合後の控室で『ダメだよね』と言いました。僕は僕がダメだと思ったからその気持ちをそのまま伝えたし、彼女も聞いてはくれたと思っています。俺が納得してないんだよ。目指すのはこんなとこじゃないでしょう。

取り組みや技量に対してはまだまだの部分は当然あるし、この技術でこの立ち位置なのは感違いするなとは思うのですが、まずはお疲れ様でした。今はまだまだ荒削りというか、計量後にペヤングを食べるくらいのシリアスさでしかないのは見てわかりますが、これからはもっと上のレベルに行きますし、常在戦場でなければ生き残れない場に行ってくれるものと思っています。

日常を切りとったものが試合です。その日常をより研ぎ澄まして、洗練させる事で僅差で勝ち残る場に行ってくれたらと思います。そろそろ遊びはおしまいでいいでしょう。次は期待しています。

我々は一生懸命担ぎますので、頑張って踊っていただけたらと思っています。今日はお疲れ様でした。よくがんばりました!行こう!その先へ!

平田樹はこんなもんじゃない。未来しかないぞ!

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