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コロナから1年。無観客試合をしてきて思うこと。応援してくれる皆の前で表現したい気持ちがより強まるの巻

コロナ禍から1年。ちょうど一年前にK-1がさいたまスーパーアリーナ大会を強行開催したことで槍玉に挙げられていたことを思い出します。あの大会が最後の客数制限がない格闘技の大会でした。あの大会をK-1はやりきったし、結果論ではあるけれどもやってよかった大会だと僕は思っています。

今現在も日本では客数制限付きでの大会開催ですが、世界的に見るとこれもまた珍しく、UFCやベラトールやONEは無観客の放送試合(ONEは1万人の会場に200人前後入れてはいる)です。僕は昨年4月が無観客、9月が客数制限、1月が無観客とコロナ渦で3試合を経験していますが、味気なく感じてしまうし、その味気なさを埋め合わせるために日々試行錯誤しています。

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観客を入れなくともUFCやベラトールやONEは成り立つのだろうし、ミュージシャンのライブはPPVで販売した方が利益だけを考えたら出るのだと思います。サザンのライブが3600円で18万人が購入したなんてニュースを見ると全国周って経費を掛けてやるよりもよっぽど利益はいいように思うし、稼働も少なくて済みます。

もしかしたらスポーツも放送に特化した方が利益だけを考えるといいのかもしれないし、そんな時代になっていくのだと思っていますし、風向きはそちらの流れです。ただ選手としてはいくら利益が出ようとも無観客は嫌なのです。これが無観客を3試合やった本音です。味気ないし、やりがいがないし、噛みごたえがない。

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試合は観客と一緒に創るものだと改めて感じたはずだ。

僕は格闘技であろうとプロレスであろうと、試合はお客さんと一緒に創るものだと思っています。選手によっては無観客の方がやりやすいと言いますが、僕はここだけは譲れません。客がいるからこその表現であって、客がいないのであれば練習とさえ思ってしまいます。

プロレスラーと無観客試合を話すと皆、口を揃えて「お客さんのリアクションがないから難しい」と話します。僕もそれには同感で無観客でも、今の制限付きでも声を出せないので、お客さんのリアクションを感じることができないので、暗闇で試合をしているようなのです。難しい以外の言葉が出てきません。

DDTの竹下幸之介選手は「お客さんに今まで力をもらっていたのがわかった」と話していたのですが、それはすなわちお客さんと一緒に作っていた証明だと思うし、お客さんを意識した発言ではなく素直な言葉だと思います。あと一歩の粘り、最後の攻撃、テンションとお客さんに後押しされていた面は多分にあります。

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格闘技でもお客さんがいない試合はなんだか味気ないし、やりがいが今まで通りあるかと言われたら、今まで通りではないのが正直なところです。前のように、お客さんを満員にはしばらくは戻らないと思うし、「また前のように観戦できるように皆で頑張りましょう」なんて無責任なことはとてもじゃないけれども言えません。

だって感染症だし、一度変わってしまった標準はなかなか戻りません。
そんなことを言う野郎は耳障りのいいことを言いたいだけか、よほど何も考えていないのか、悪いやつかのどれかではないでしょうか。今の中で如何にしても一体感を得られるものを試行錯誤していくしかないです。

選手を表現を懸命にやっている者だったら、格闘技もプロレスもお客さんと一緒に創り上げてきたものだと改めて感じたはずだし、今までのやりがいはお客さんがいたからだと改めて感じたはずです。我々演者側が一方的に与える一方通行ではなく、共に創っていたものです。チケット代金を頂いているから、互いがどうしても与える側と受け取る側のものだと思ってしまうのですが、実は一緒に創っていたものです。

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応援って一緒に創り上げるものだし、グッズとかチケットで課金するのは共に創っていく一部を担う意味合いが強いと僕は思います。だからこそ「ありがとう」だし、感謝と仲間意識を持っています。僕がファンで何かを応援するときは一緒に作り上げる一部をほんの少しだけれどもご一緒させてもらうような気持ちでやらせてもらっています。

究極は日本で応援してくれる人の前でやりたい 

僕の場合は海外での試合が多いのですが、日本で応援してくれる人の前で試合をしたい気持ちが強くあります。2019年のONE日本大会では応援してくれる日本のお客さんの前で試合ができて、やりがいを感じました。

近年は応援してくれるコアなメンバーはわざわざ海外まで見に来るようになっていて、三浦さんや鬼澤院長は「青木さんの試合を見にいくのが一番楽しい」とまで行ってくれるのだが、僕はその楽しさを一生味わうことはないです。なぜなら僕が試合をしているから。笑

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突き詰めていくと日本で試合をしていきたいとなります。
今、ONEで試合をしていての救いはABEMAで放送があることです。ABEMAがあることで日本の応援してくれる人にも生ではなくとも観てもらえるし、プロモーションを通じて、自分の想いを伝えてくれるから、ABEMAの放送があるのが救いです。

UFCから川尻さんが最期に日本のファンの前で試合がしたいとリリースを申し出たように、選手も残りの選手生活を考えて戦場を国内に変える選手は出てくるのではないかと思います。やっぱり海外で試合をするよりも、国内で応援してくれる人に見てほしいと思うのが正直なところだと思います。

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海外でやる試合を日本で応援する人たちに見てほしい。
海外で試合をする選手の多くが感じていることだと思います。

どこに届けるのか。自分の伝えたいところを把握する。

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