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#GLEAT 後楽園大会 佐藤光留戦 20年前のパンクラス合同練習の巻 

4月12日 GLEAT後楽園大会 初代王者決定トーナメント準決勝 佐藤光留戦に向けて仕上がっております。ここまで積み上げてきたものに加えて、王座戴冠への強い気持ちで仕上がり十分と言って差し支えなく、あとは当日リングにすべてを置いてくるだけです。容易にGLEATはしませんし、させませんが、GLEATは好きだから、初代王座は喉から手が出るほどほしいのです。

2023年に佐藤光留と「プロレスラー」として、コーナーの対角に立つことになるとは思いもしませんでした。まったく生きていると何が起こるかわからないものです。

佐藤光留さんとは僕の記憶が曖昧なところもあるのですが、2004年から2008年あたり(パンクラス広尾道場がなくなるまで)の間に北岡悟さん主催のパンクラスと他団体の格闘技選手を集めた練習会でご一緒させてもらいました。プライベートで不測の事態が起こるたびに北岡悟さんが道場で寝ていたり、高橋義生さんが外車に乗っていて常軌を逸して怖かったりは今となっては良い思い出です。高橋義生さんはその数年後にIGF道場でお会いしたのですが、輪を掛けて怖さと愉快さが増していて、素敵な大人に仕上がっておりました。お縄を頂戴したことで有名な鈴川真一さんを練習でボコボコにした挙句に使いっ走りにしていたり、酔っ払って大暴れしていたり、気がついたらShow大谷さんが締められて正座していたり、高橋さんはコーチで呼ばれていたはずなのにボスになっちゃうのは高橋義生さんの隠すことのできない野生だなあとこっちに火の粉が来ない程度に遠目に見物していました。まあそれはそれとして。

今となってはプロ格闘技選手の合同練習会はあちらこちらで行われていて、特段珍しいものではないのですが、当時はプロ選手の交流は今ほど盛んではなく、貴重な技術交流の場として毎回学びの多い練習会でした。メンバーも北岡悟、近藤有己、佐藤光留、アライケンジ、渡辺大介、大石幸史、川村亮のパンクラス所属メンバーに青木真也、上田将勝、八隅孝平、山田崇太郎などその後、格闘技の王者経験をする選手が参加していてレベルの高い練習会でした。20年近く前の話なのに今も選手として変わらずに活動している選手が数名いて、なかなかなおかしな人の集まりだったと時間が教えてくれました。40過ぎて普通に動いてる選手が数名いますからね。

練習の最後に長渕剛の新極真の唄で「セイヤ!」とサーキットをした記憶が強烈に残ります。あのCDは誰が持っていたのかはわかりませんが、非売品の新極真の唄まで集めようとする長渕ファンの真っ直ぐさは同じ長渕ファンとして僕もよくわかります。まあそれはそれとして。

近藤有己さんはその当時から倒されず倒されても立ち上がって打撃で勝負するスタイルをやっていたり、渡辺大介さんは身体が強くて技が通じなかったり、北岡悟さんが他の選手のレスリングの強さに埋もれないように柔術を活かして組み立てていたり、早くから「総合格闘技」に取り組んでいた先人達の知恵がパンクラスにはありました。その中で個々の選手が生き残る為の工夫が随所にあって、総合格闘技=MMAとは何かを学ぶには毎回最適な場所でした。

パンクラスの幹は鈴木みのるさんのレスリングとサブミッションが技術体系の軸になっていて、MMAの中での進化系として高橋義生さんのボクシングとレスリングのスタイルがMMAで勝つパンクラスの軸になっていると外様ながら僕は解釈しています。あくまでここでのパンクラスは流派としてのパンクラスであって、今のMMAイベントとしてのパンクラスではないので誤解なきようお願いします。流派としてのパンクラスは川村亮さん以降は存在しません。

総合格闘技を追い求めていたパンクラスの中で一人だけ階級も気にせず、足関節に長けていて、競技化の流れも何のそので我が道を行く人がいました。それが佐藤光留さんでした。これが弱ければ気にもならないのだけど、実際にスパーリングをすると格闘技のセオリーにはない、閃き八割の佐藤光留さんにしかできない動きで足関節を極められてしまうのです。僕がパンクラスのメンバーで極められた思い出が今も残っているのは佐藤光留さんだけで、今も昔もあんな動きをできていたのは佐藤光留さんだけだと思います。言うなれば天才なのだと思うし、格闘技に腰を据えてやればチャンピオンになっただろうし、海外でも活躍した才能だと思います。

そんな佐藤さんはいつしかプロレスの試合が増えていって、格闘技の試合数が減って、格闘技選手からプロレスラーへと世間の認識は変わっていきました。僕はプロレスと格闘技をまったくの別物だと捉えていないこともあって、佐藤光留として見てはいたけれど、リング上で向かい合うことはないと思っていました。それがまさか2023年にGLEATのリングで向かい合うことになるのだから、人生は本当に何があるかわからないものです。

佐藤光留さんは覚えてないかもしれないけれど、パンクラス広尾道場のリングの上でアンクルホールドを取られたのを僕は覚えています。その当時から練習で極められることはほとんどなかったのですが、一度となく二度もアンクルホールドを取られました。その記憶が今も強くあるので油断はまったくなく、全力で青木真也の格闘技をぶつけます。ここを落とすわけにはいかんのです。

あれから20年弱経って、互いに自分の信じる闘いを追求探究してきた中、リング上で何が起こるか楽しみです。お互いにやり甲斐を感じているだろうし、遠慮なく、本気でやります。後楽園ホールで18時半開始の第4試合です。お仕事が終わってからでも間に合う時間になっていますので、現場で闘いを見て頂けたら嬉しく思います。切符はまだあるはずです。水曜日後楽園で会いましょう。

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