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VTJ 2021解説 絶望も希望も感じられない2021年の日本格闘技

VTJ2021(VALE TUDO JAPAN)開催。

VTJには出たこともないのに図々しく解説席に座らせていただくことになりました。
僕の解説は主催者側に忖度せずに思った事や事実をお伝えする解説です。主催者サイドからすると面倒ととられることもあるのは重々承知していますので、勝負大会であるVTJの解説席に座らせる主催者側の度量に敬意と感謝を持っています。ご期待に添えるよう丁寧でわかりやすい解説を心掛けていきます。目指せ。増田明美。

解説のお相手は福井せりなさん。福井さんとは2月のRoad to ONEの解説でご一緒させてもらいました。そのほかにもRISEでご一緒させていただくことがあったのですが、「視聴者がどのような疑問を感じているのか」を即座に汲み取って僕から引き出してくれるので、解説者としての腕があります。格闘技を勉強した上で、格闘技を知らないポジションから聞ける人は他にいないので、福井せりなポジションはしばらく安泰だと思います。タッグパートナーが福井さんであれば多少道を逸れることはあれど安心してやっていけます。信頼のみんな大好き福井せりな。

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VTJは本来は絶望を感じさせる大会だったと思うのです。
94年と95年のヒクソングレイシーの活躍、日本最弱の衝撃的なコピーが今も鮮明に残る96年。世界クラスの選手を招聘することで絶望を感じる大会でした。それが99年の日本人の活躍、2009年の復活ではUFCへのレコード作り的な位置付けとなって絶望から、かすかな希望を見出す大会と変化をしてきました。さて2021年はどうだろうか。

絶望も希望も感じられないのが2021年だと思います。
そもそも絶望を感じさせてくれるような外国人は世界のMMA市場が成長した現在は難しいだろうし、それは関係なくコロナ禍で外国人を呼ぶハードルがそもそも高くなりました。国内市場で馴れ合いのような試合を組んで緩和療法を繰り返しているのが2021年の日本格闘技の風景です。まさに絶望を感じようにも感じられない苦しみを抱えています。

絶望は愚か者の結論であるとは坂口安吾の言葉ですが、絶望を結論にしてはいけないのであって、絶望を感じることが始まりであると僕は思っています。まずは打ちのめされて、そこからどう立ち上がっていくかが大切です。人は堕ちきれるほどに強くもなければ弱くもないのだから、正しく堕ちることが大切です。

関係者は全力を尽くしていますが、それでも今回のVTJでは選手が絶望を感じるのは難しいでしょう。選手がそれなりに手応えを感じる試合が行われるはずです。選手の方々は全力でやって頂けたらと思います。悔いなきように怪我なきように武運を祈ります。

僕が嬉しく感じるのはプロモーターである坂本代表とAbemaの北野雄司さんの気概です。絶望も希望も感じることのできない日本格闘技を何とかしようと外国人を招聘して通常のシリーズから変化を起こそうとしています。このままではいけないとする危機感があることが救いだなと思うし、僕が感じる危機感も同様です。

僕のキャリアを振り返ってもギルバートメレンデス戦やアルバレス戦で米国格闘技に対して絶望を感じて、国内市場では団体も潰してこれまた絶望を感じてきました。思い返すと絶望を感じて這い上がることでなんとかやってきた格闘技人生です。38歳になった今も変わらず絶望を探して格闘技選手をしています。

成長は絶望を感じたところからです。絶望しろ。正しく堕ちろ。
当日はいい大会になるように全力で解説していきます。
Abema格闘チャンネルで逢いましょう。

VTJには宇野薫選手が参戦します。

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