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Bout Offer -Jan 22 SG - Shinya Aoki 幸せな時間がくる おれたちはファミリーだ

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試合の打診があったのは2020年12月19日の22時19分。

普段は窓口ではないスタッフからのメール。題名に「Bout Offer -Jan 22 SG - Shinya Aoki」とあったので、すぐさま試合のオファーと理解して、どのメールよりも早く開封して、対戦相手を確認して、返信するよりも早く、北野雄司さんや三浦崇宏さんや鬼澤さんに連絡した。DDTプロレス静岡大会に向けて、静岡に前入りしていたから実家でくつろいでいたところだったので、同じ空間にいた両親も同時に知ったので、連絡の手間が省けた。実家の両親の体温も上がった。御時世的に体温には敏感だ。

北野さんは返信よりも早く電話をくれた。試合のことを話す前に電話から、熱のある空気が漏れ伝わってきて、喜んでくれているのがすぐにわかった。何ができるか、何をどうして行こうか、ご時世的に後ろ向きなニュースや仕事が多い中で、前向きな仕事の話ができることがこんなに幸せなことかと実感する。

三浦崇宏さんは「できることはすべてやります」「できないこともやります」と返信をくれる。この人の熱量もまたすごい。9月のアベマ大会でも「青木さんの試合を実限できるなら」と協賛を集めてきたり、「青木真也」に対する愛が深いのは出会ったときも今も変わらない。

鬼澤ドクターは「年末年始を生きる意味ができた」と連絡をくれて、「メディカルチェックのことは任せてください」とのことなので、鬼澤先生の懐刀であるあけみちゃんを採血に指名した。鬼澤さんもあけみちゃんも嬉しそうだ。

宇野薫さんにセコンドのお願いをした。
前後2日のPCR検査結果待ちの隔離期間があるので、10日間の拘束になってしまうから、こちらも申し訳ない気持ちがあるから、どう頼もうかと考えてから、スケジュールの確認のご連絡をする。宇野さんもまたスケジュールの調整をすると返事をくれる。宇野さんが多忙なのは周知で、宇野薫を10日間拘束することに恐縮してしまうのはご理解いただけるはずだ。

格闘技ライターの高島学さんは「取材に行けるか探ってみる」と言ってくれるし、イグルーの斎藤さんもまた「ジムと選手を年末年始を好きに使ってくれ」と言ってくれるし、打撃を見てくれる飯村先生は「正月もやるからね」と言ってくれる。なんだか人に恵まれている。

ああ。そうだ。試合をするかしないか。そこで悩むファイターも多いと聞く。

試合をするかしないか考える時間は1秒もなかった。オファーを頂いた相手とやるスタイルだ。やる。仕事だから。対戦相手はタフだと思う。潰しにきてるのかなーとも感じる。大丈夫。いつ死んだっていい。でもなかなか死なない。

今までは試合はしたくないものだった。
今も試合はしたくない。だって怖いから。でも今回はちょっとちがうんだ。

コロナ禍の退屈なアップダウンのない生活で、試合に向けての生活や試合を「快楽」だと思うし、「ご褒美」だとも思う。それが2020年のコロナ渦で際立ったように思うし、日々ストレスを抱えて懸命に生きている人々。消費のスピードが早まる世の中に皆が疲弊しているのではないかと思うのだ。

格闘技の打ち出し方が怖さに立ち向かうことで勇気を与えたり、目的達成に向けての活力になるようなものではなく、生きていく中で楽しみを見つけたり、どう幸せを感じていくかを伝えていくものになればいいなと思った。今回は試合のオファーが来て、自分自身に暖かい気持ちと漲りがあって、試合を皆が喜んでくれるのだから、余計に感じるのだ。

コロナ禍で「もう頑張れないし、我慢もできないよ」と心の中では皆が思ってる。窮屈だし、経済的にも簡単ではない状況だし、いつ終わるかわからないから、どうしたらいいかわからない。自粛の正論はわかるけれど、それでは成り立たない。それは僕だって例外ではなく、昨年立ちあげた会社の状況だって、いつどうなるかわからない。

そんな中で頑張れと言われても響いてこないし、ほっといてくれと思うだろう。だから今はご褒美がほしい。試合はご褒美。そんなことを2020年が教えてくれた。そろそろコロナも主役の座から降りていいと思うが、居座ってからもうすぐ一年だ。降りてくれる気がしない。

好きなことをやって、それを表現する場がある。何よりも幸せなことだ。幸せな時間。
一足お先に楽しんできます。

試合はご褒美。試合がない期間があったからこそそう感じる。2022年1月22日青木真也を見て、好きに楽しんでいいんだ!と思ってもらえたら嬉しいし、善悪を超えたところにある表現をしたい。

どう生きるか。改めて今問われている。

人の価値観で生きるのもいい。それが幸せと思うのなら。自分の人生だったら自分の好きにやったらいい。後ろ指を指されてもやりたいことをやったらいい。それが格闘技選手として、青木真也として生きてきての今の答え。どう幸せに生きるか。楽しく生きるか。それ以上のテーマはないぜ。他人から見た幸せ!?裕福!?うんこ食ってろ。幸せはいつだって自分が決める。

試合用の練習は楽しい。これだよ。

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