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青木真也はレジェンドなのか。いいえ。現役選手です。

国内外問わず『レジェンド』と評されることがあります。
ここまで築いてきたキャリアに敬意を表しての言葉であるのはわかります。「シンヤエイオキ」と敬ってくれるのは有難く感謝しています。尊敬を持って接してくれるのは心からありがとうです。尊敬に対して斜に構えるほどにへそ曲がりではありません。

それでも『レジェンド』と呼ばれることに対しては違和感を感じています。
レジェンドが多用されることでレジェンドのインフレが起こっていることも違和感の要因の一つではあるのですが、それ以上にスポーツ選手、特に格闘技選手に対する「レジェンド」は「一線から退いたのにまだいる人」を角が立たないように綺麗に言い換えたみたいなところがあるから、どうしてもさみしい気持ちになります。まだまだ現役だと思っています。

レジェンドは便利な言葉なので、皆が簡単に好んで使いますが、未だ最前線で練習と試合をして試合をしている身からすると、バカにするんじゃないと思います。そして見てわからないのかと絶望感という名の溝を感じます。ここら辺を見極められるか否かは創り手側としても観る側としても腕が必要です。

自分自身の次の試合がレジェンドマッチと評されることへの違和感。
2003年のMMAデビューからずっと変わらずに練習をしてきました。強くなるために試行錯誤してきました。39歳を目前とした今も練習を日々積み上げています。大きな怪我もなく試合間隔を空けることなくやってきたのです。それもそれなりに一線でやってきました。自分の成績に対しての誇りはそれほどないけれど、何があっても投げ出さずに諦めずにやってきた誇りはあります。僕はずっと現役として闘ってきました。相手とも客ともずっと闘ってきました。だからこそ他の選手とは取り組みが違うのだから一緒にされちゃ困る。対戦相手と一緒にされたとしてもオレは違うと言い続けます。

昨日のDEEP後楽園大会で練習に来てくださる川名TENCHO雄生選手がアップで組まれたはずの試合を見事に落とした結果が流れてきました。対戦相手を見ても負ける相手ではありません。どう見ても格下なのですが、番狂わせはどこにでもある話でわざわざ驚く話ではありません。結果とは別に川名さんが練習場所に来てくれているので感じるところがあるというか学びがありました。

川名さんは感じの良い方でまともな方なので嫌な感情はありません。
川名さんはコロナ渦は練習に来れていない期間があったり、実際に一緒に動いてみても練習が出来ていないように感じることがあって、家庭があって仕事を持って選手生活を続けていくのは大変なのだろうと感じていました。家庭を大事にするのは社会一般的には大事なことだし、コロナ渦で感染を警戒して練習を控えるのも真っ当な考えだと思います。片手間でここまで仕上げてこれているのは並大抵ではないのもわかります。

川名さんの試合に対する取り組みが前ほどではないから試合を落としても驚かない部分があります。川名さんのキャリアではPFLから帰ってきたところで格闘技に取り組む気持ちがひと段落してしまったように見えるところがあって、今は良くも悪くも惰性でやっているところがあるのだろうなと見ています。それも悪いことだとは思っていなくて、僕のような狂人となって大事な何かを投げ打ってまでやることが必ずしも正解だとは思いませんし、誰もが出来ることではありません。その意味では御家庭をお築きになって、家族という名のストッパーが出来たのは良いことだと思いますし、失くした今としては羨ましさもあります。

僕は格闘技を優先順位の一番上にする現役の取り組みをこの年齢まで続けてきています。戦績が振るわないときも変わらずに取り組んできたし、格闘技を優先順位の一番に置いてきました。それ故に苦しむこともありますが、現役の格闘技選手としてやるためには避けることはできません。僕から見たら普通でも周りからは狂気に映ることもあるのも分かります。

練習してくれている選手でもひと段落してしまったなと感じる選手もいるし、それは個人の判断だから僕が口出しする話ではないのだけれど、現役感があって格闘技に対する取り組みが真面目な選手には勝ってほしいと思うし、信頼信用が築けるなと感じます。僕が認める認めないはこの部分が大きいと思います。

強い弱いで分類すると弱いほうに分類される小森真誉選手(知らない人のが多い)にそれなりに信頼信用があるのは練習への取り組み姿勢がしっかりしているからだと思います。結局は信頼関係は取り組み姿勢でしか築けないなと当たり前のことを改めて感じました。

なかなかわかり難い話ではあるのですが、現役としての取り組みを積み上げてきました。だからこそレジェンドと呼ばれることに違和感があります。まだレジェンドではなく現役選手です。明日からもまたコツコツ積み上げていきます。

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