見出し画像

アングレーム国際漫画祭に行こう! 3

Merci pour votre accès à mon article ! Vous allez bien?
2016年、ワーキングホリデーでフランス滞在中に行ってきたアングレーム国際漫画祭(以下:FIBD)の訪問記録、第3章です。

 前章は、「FIBDでグランプリを受賞すると、翌年の会場ではその受賞作家さんの世界をたっぷり堪能できます」という話でした。
 毎年グランプリにノミネートされる作家さんは大御所の先生方がほとんどで、特にそれが自国の方だった場合は、「なんかフランスで盛り上がってるらしいけど、いま殊更に称賛する必要はないくらい既に偉大な方ではないか。」なんていう印象もあるかもしれません。
 私個人的には、日本中で愛されてきた作家さんが、40年以上の開催歴を誇る大きな祭典で改めて称えられ、フランス内外から多くのファンが詰めかけている様を現地で目の当たりにするというのは、単純にとても嬉しく感動的な体験ではなかろうかと思います。クールジャパンだとかそういう話ではなくて、心から「おお~君らも好きなんだね! わかるよ!!!! いいよね!!!!」という感じ。
 そしてそれはニュースを見ているだけでは感じられない熱量なので、やはり、「FIBDに遊びに行く」ということを現実味を持って検討できるような話を書いていけたらなと思っています。
 そしてもちろん、FIBDの魅力はグランプリや受賞関連の諸々だけでは無いのです。という話はまた追々。

 2019年のFIBDも3日目をむかえ、毎日現地から楽しそうな様子が発信されていますね。
 高橋留美子さんの受賞をきっかけに「行ってみようかな」と思い始めた方などにとっても、何かしら拾いどころのある情報となればと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。
 宿を予約しましょうという話です。

3:宿を予約する

行きたいイベントが地方都市で開催される場合、まず考えること
-------

 突然ですが私は今、いわゆるUターン的な感じで、地元である青森県青森市に住んでいます。
 青森市といえば、雪、りんご、そしてねぶた祭などが思い浮かぶでしょう。
 このねぶた祭の時期は、全国のみならず世界中から来る観光客の皆さんと地元の参加者とで、連日ものすごい人出となるのですが、普段は人混みとは縁遠い静かな地方都市です。ですから、年中ひっきりなしに人々が訪れては去っていく都会と違って、一度にたくさんのお客さんを迎えるには宿の数がかなり限られている、という現実があります。
 ねぶたの運行は、駅前から2kmくらいの範囲、徒歩にして25分程で端から端まで行けるくらいの、市内のごく限られたエリアで行われます。

 地下鉄は無いし、頼みの綱のバスやタクシーも、ねぶた期間中は運行エリア付近が通行止めになったり渋滞したりで、土地勘の無い場合はあまり期待できません。そのため、観光で訪れる際は「なるべく運行エリアに近いところに宿をとりたい」ということになってきます。
 旅行会社がツアー用などに大量に部屋を確保している宿も多いでしょうから、そうなるとアクセスの良い宿は争奪戦となり、個人で行く場合は、かなり早くから準備を進める必要があることが想像できます。「ねぶた時期は予約がなかなか取れない」「半年以上前から予約が埋まる」といった話は聞いたことがある方も多いことでしょう。

 もうおわかりかと思いますが、これと似たような事態がアングレームにも起こる、ということなんです。
 アングレームは、ちょっとストリートビューで市役所近辺を歩いてみるとわかると思うんですが、とてもシック&コンパクトで、大きなビルやきらびやかなショップがあるでもなく、まさにフランスの地方都市といった佇まいをしています。普段は住民の人々が穏やかに暮らしを営む街なんだろうなという印象で、実際、2016年のFIBD最終日の翌日、電車の時間まで街を散策してみたときは、あの日々はなんだったのかと思うくらい人通りもまばらで、静かで落ち着いた姿になっていました。
 さてその中心部、FIBDの会場となるエリアは、2016年のパンフレットによるとこんな感じでしたね。

このエリアの広さをGoogleマップでざっくりと測ってみると、だいたい東西1.5km×南北1kmくらいの範囲におさまっており、ねぶた祭の運行エリア付近とそんなにかわらない広さであることがわかります。

 では、そのエリアまで歩いて難なくアクセスできそうな範囲に、ホテルがどれだけあるか。
 ためしにバカンス時期でもなんでもない、2019年4月15日(月)~18日(木)の平日3泊で予約可能なホテルをBooking.comで検索してみました。

 このような感じでした。16件ですね。Booking.comで出てこない宿もあるでしょうから、もう少し色々あるかもしれません。
 それなりにあるようにも思えるのですが、でも、FIBDの4日間という限定的な期間にアングレームに行きたい膨大な数の人々にとって果たして十分な部屋数でしょうか? といったところに想いをめぐらすと、たぶんそうじゃなさそう、となります。
 ある2012年の記事によれば、開催期間中全体を通して

20万人以上の来場者を集めている。

(海外コミック情報サイト BDfile「【アングレーム国際漫画祭特集①】アングレーム国際漫画祭とは何か」より抜粋。)

とのことです。
 青森市のねぶた運行エリア徒歩圏内にあるホテルの数は雑に調べてだいたい26件くらい、ねぶたの動員数は1日平均30万人前後くらい。なお、一夜の熱狂を楽しむお祭りとは違って、FIBDはじっくり数日腰を据えて参加するお客さんも多いであろうという点も考えれられます。
 これらのことから、細かい部屋数の把握を省いて大雑把に「青森市のねぶた運行エリア付近にあるホテルがすぐに満室になるのと似たような事態が予想される」と言ってみても、暴論ではないでしょう。

 結局何が言いたいのかというと、「宿は可能な限り早く予約しましょう。」ということです。
 そしてなぜねぶたの話なども織り交ぜて長々と説明しているのかというと、私が浅はかだったためにこういった事態を想像できず、ホテルを予約し損ねた、という経験をしたからです…。

準備が遅すぎてホテルをとれなかった、その後
-------

 私が本格的に宿を探し始めたのは、11月に入ってからのことでした。とはいえFIBDまではまだ2ヶ月以上あり、全く危機感は持っていなかったのですが、予約サイトを覗いてみたところ時既に遅し、手頃な立地と値段の宿は全く空きが無かったのです。出てくるのは、お祭り価格に値上がりしたホテルや、「中心部から16km」という但書がついた郊外のお城のような宿など…。
 今考えれば、「8月のねぶた祭に行こうとしているのに、宿を探し始めたのが6月に入ってからだった。」という愚行に匹敵するような失態をおかしておきながら、「宿がない。あっても高い、遠い。」などと言う資格はさらさら無いなという感じなのですが……本当にこの時は想像力が足りていませんでした。

 しかしこのままでは、1年のフランス滞在計画の中で最も楽しみにしていたFIBDに行けないという事態にもなりうる…。どうしよう。

 といったところでまず考えたのは、「対象エリアを広げよう。」ということでした。
 さきほどのねぶたの説明で、運行エリア付近に宿をとりたい理由として「運行エリア付近が通行止めになったりするのでバスやタクシーは期待できない。」という点を挙げました。これは、ねぶた祭の「車道を通行止めにしてねぶたを運行する」という特徴によるもので、いかんともしがたいことです。
 しかしFIBDの場合は、そういった「山車のための通行止め」的なことは起きないので、公共交通機関が使える範囲なら多少遠くても問題ない、ということになります。
 初めて訪れる外国の街で、しかも目的地が決まっている場合はなるべくその近辺に宿をとりたいのが本音ですが、こうなっては贅沢を言ってられません。数十分かけてでも通う覚悟で、アングレームのバス事情を調べてみましょう。

angouleme bus」で検索します。検索結果はこのように出てきます。

 ここで2番目に出てきている「Téléchargez le plan des lignes de bus…」にご注目ください。これは「どうぞバスの運行マップをダウンロードしてください」といった意味です。
 早速クリックしてみると、

 このような画面になります。STGAというのは、アングレーム一帯のバスを運行している会社で、そこの公式サイトの中にあるマップダウンロードページに直接飛んだ、という形になります。

 6種類のマップが並んでいますね。
 下の3つには「Les lignes scolaires 」というタイトルがついています。「scolaire」というのは、英語の「school」からも想像できるように「学校の、学校教育の」という意味ですから、通学バスなどに関係するものだろうと考えられますので無視します。

 上の3つは、それぞれ太字になっている部分にご注目ください。
[en smaine]→smaineは、「週、一週間」という意味もありますが、ここでは「平日、ウィークデー」という意味になります。
[Dimanches & jours fériés]→Dimancheは日曜日、 jour fériéは祝祭日、という意味です。
[3D]→これはそのまま3Dですが、3Dである必要はないのでこれは今はいらないですね。

 というわけで、上の2つを「Télécharger」つまりダウンロードすればいいというわけです。(ちなみにフランス語では「アップロード」も「Télécharger」が使われることがあります。ダウンロードとの区別は文脈や状況により判断するとのこと。)

 ダウンロードしたものはめちゃめちゃ広域で細かいので、必要な部分にフォーカスしてみます。中央部分の赤で囲ってあるあたりが、先程示したFIBDの会場となるエリアです。

 こうしてみると四方八方にバスのラインが延びているのがわかります。
 正確な時間の計画はまだたてられませんが、少なくとも会場エリアからの交通手段はたくさんあり、この範囲であれば通うことはできる、という希望がわきました。
 第1章で「国内の地方旅行よりも情報収集が容易かもしれない」と述べましたが、このように、ちょっと検索しただけで地方都市のバス運行マップがわりとわかりやすくダウンロードできる、といった点もひとつの例として挙げられます。
※もちろん日本国内でも自治体によって様々で、細やかな気配りをしているところもたくさんあると思うのですが、「土地勘が無いとこれはかなりわかりにくいぞ…」という事例も体験したので、このような言い方をしてみました。

 それでは、バスで通えそうな範囲まで対象を広げて、先ほどと同じ条件でホテルを探してみます。赤で囲ってあるのがFIBD会場エリアです。

…あんまりピン増えてない!!!!!
 そうです、この中心部の外はのどかな住宅街や畑が広がっており、対象範囲を広げたからといってホテルも増えるわけではなかったのですね…。

 さて、宿泊地の対象エリアは広がった。でもホテルの件数はさほど増えていない
 そこで考えられる選択肢は色々あると思いますが、私が選んだのは「ホテルを諦めてAirbnbで探す。」でした。

 地方旅行で何度かAirbnbを使ってみて感じた利点としては、
------------
○1:地理的にホテル件数そのものが少ない場合でも宿を確保しやすい。
○2:地元をよく知るホストに色々教えてもらえる。
○3:地元の食材を買ってきて調理できる。
○4:ハイシーズンの観光地でもそこそこ安い。
○5:地元の生活圏の空気を感じられる。
------------
などが挙げられます。

懸念事項としては、
------------
△1:現地の言語に不安がある場合は躊躇する。
△2:安全性が不確か。
------------
などがありそうですね。

 Airbnbでアングレームの案件を探すと、「festival」や「BD」などの文言を物件名に入れ込んだ、あきらかにFIBDを意識しているリスティングもけっこう出てきます。

こういった物件は、何らかの手段で会場にアクセスしやすい可能性が高いでしょう。(適当に書いているホストもいるかもしれないので、しっかりエリア詳細を確認する必要はあります。)
 また、アングレームにはBDミュージアムがあるので、FIBDの時期以外にそこを目指して来る観光客向けに書いた文言もよく見られます。ミュージアムはFIBDの会場の1つとなっているので、ミュージアムへのアクセスが良い=FIBDの会場エリアにも行きやすい、と考えて差し支えないかと思います。

 さて、検索は日本語でできますが、出てくる物件名や説明文はフランス語が大半ですね。翻訳にかければだいたいは解決すると思いますが、パッと見で希望に沿う物件にアクセスしやすくするために、下記の頻出単語はなんとなく知っておくと便利かもしれません。

[ appartement ]アパルトマン、マンション。(一戸建てではない物件。)
[ maison ]一戸建ての家。
[ chambre ]部屋、寝室。
[ indépendante ]独立した。
[ privé(e) ]個人的な。(宿泊者専用の、という意味合いで使われいてる。)
[ salle d'eau ][ salle de bain ]トイレと洗面所とシャワー。(バスタブがある場合も。)

[ proche ]近い。
[ centre ville ]中心街。(単に「centre」と記している場合も。)
[ musée ]ミュージアム。美術館。
[ gare ]駅。


 ところでAirbnbでは、検索時に

・まるまる貸切(まるまる独り占めできる住まい)
・個室(自分専用の個室+共用スペース)
・シェアルーム(相部屋などのシェアルーム)

の3タイプが選べますね。
 このへんは予算や好みによると思うのですが、こういったイベント事に一人旅で行く場合、先程挙げた利点のうち、
○2:地元をよく知るホストに色々教えてもらえる。
の恩恵が、私の場合はとてつもなく大きかったので、Airbnbで宿をお探しの際はぜひホストのいる家の個室タイプも選択肢に入れてみてほしいなと思います。
 毎年そのイベントを間近で見ているホストの方からいろいろな話を聞けますし、戦利品をお披露目しておしゃべりできるかもしれませんし、おいしい地元料理を作ってくれるかもしれません。
「街を案内します。」とか、若いホストでしたら「英語も話せます。」と明記している方もいますので、探してみると楽しいかもしれません。

 希望の物件が見つかったら、予約リクエストを送るときや、ホストへの連絡機能を使って、不明点や不安なことなどを聞いてみると良いと思います。
 英語が通じるかわからないときは、例えば「フランス語がわからないのですが、英語で質問しても良いですか?」などの一文も入れて、まずフランス語に自動翻訳して送ってみるなど。
 私達も、片言だったり「これ明らかに自動翻訳したな」という感じの日本語に接してもなんとなく意味は把握できて、きちんと答えようとしますよね。それと同じで、多少めちゃくちゃなフランス語を送ってしまったとしても、相手が語学学校の先生で無い限りは、ほとんどの方は前向きにコミュニケーションしようとしてくれますので、トライしてみると楽しいと思います。
 オフィシャルのネコ氏も先日、かわいい日本語でツイートしてましたしね!

 また、何回かやりとりをしてみることで、周辺の様子を聞いてみたり、やりとりの内容でホストの人柄なども見えたりして、懸念事項の「△2:安全性が不確か。」の不安をいくらか和らげることにもつながります。

 私の場合は「FIBDのためにアングレームに行くんですが、会場までバスで通えますか?」といった質問を投げかけていました。
 最終的に、「この○番のバスを使えば○○分で行けるし、うちはバス停のすぐ近くだからFIBDに行くにはぴったりですよ。ぜひいらして!」という感じの丁寧なお返事をくれた方のところに決めました。
 場所は、先程のバスマップで言うと、左端の「Fléac」と書いてあるあたりです。茶色いバスのラインが通っているエリアですね。

 ものすごく遠い郊外に見えるかもしれませんが、市役所前までの所要時間としてはバスで片道20分ちょっとといったところです。
 旅先で毎日バスに乗って目的地まで通う、というのもなかなかおもしろい体験ですし、私の場合は毎日1時間近くかけて都内で通勤していた日々を思えば、FIBDのために3日間20分ちょっとバスに揺られるのは全く苦ではなく、むしろFIBDへ行き来する地元の人達と同じ空間で過ごす楽しい時間だったなと感じています。
 中心街以外のエリアも選択肢として全然アリ、ということがなんとなくおわかりいただければ嬉しいです。

 そして、この物件とホストさんがとてつもなく素晴らしかったので、「アングレーム行くんだったらこんな物件もあるよ。」という一例として、どこかの章で紹介できたらと思います。

 長くなりましたが、

●イベント会場近くに宿を取りたいときは可能な限り早く探して予約しよう。
●交通手段の情報はわりと入手しやすいので、それらを元にいろいろな選択肢を考えてみよう。

という話でした。
 もちろんこれは私の体験から来ている話なので、タイミングや探し方によっては、直前でも難なく宿が見つかる場合もあるかと思います。ただ、FIBDのように日程が固定されているイベントを目指す場合は、「休暇が取れるのはいつになりそうか、いつごろだと航空券がお得か」などと迷う余地がなくなり、旅の準備も早めに着手しやすいのではないでしょうか。
 予約サイトでどんな宿があるのか色々見てみるのも旅の準備の楽しみのひとつなので、行く決意を固めたら、ぜひ即宿探しを始めてみるのも良いかと思います!

 次は「アングレームまでの行き方と現地での動き方」といったあたりをまとめたいなと思います。

 どうもありがとうございました。