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エイブラハムをかじっただけの男と弟子 その76 涙のわけ

前回のあらすじ
泣くことを恥ずかしいと感じていた娘のハナに、泣くことは素晴らしいことだと話したエス太。
エス太は、人は泣く度(たび)になりたい自分に近づいているんだと説明しました。
今回は泣くこと、涙の理由について、もう少し詳しく、嫁さんのモナミと話しています。
てか、今回のタイトルカッコいいっ!!「涙のわけ」ってドラマのタイトルかよっ!!
よかったら読んでいってください。

モナミ :涙が出る時は、なりたい自分に向かっているの?

エス太 :そもそも俺たちは、常になりたい自分に向かっているんだよ。

モナミ :涙ってなんで出るの?

エス太 :涙が出るのは、なりたい自分や、望むことに対して抵抗する考えを手放している時なんだよ。

モナミ :涙が出る理由ってたくさんあるじゃん?嬉しかったり、悲しかったり。

エス太 :基本的には涙が出る理由は同じだよ。
望みが強ければ強いほど、抵抗を手放した時にたくさん涙が出るんだ。

例えば、お腹が空いていない状態だと、何かを食べたいとはあまり思わないだろ?
そんな時にカレーを食べてもあまり感動ってしないよな?

だけど、1週間、何も食べていない状態だと、何かを食べたいという強い望みが生まれる。
時には、食べ物がないことへの絶望感を強く感じたりもすると思う。
「今、望むものがない」という、望みとは正反対の考え。これが抵抗なんだ。
望みが強ければ強いほど、今それがないということを感じた時に、より強い抵抗が働くんだ。   
そんな人が1週間ぶりにカレーを食べたらどうだろう?抵抗から一気に解放されて、感動するよな?
その時に出てくる「抵抗していた考え」が、涙の正体だよ。

モナミ :なるほど、わかったけど、なんでカレー?

エス太 :いや、ただ俺がカレーが好きだから・・・。
ちなみに、映画やドラマで感動する時って、その前に主人公たちの苦労や絶望なんかのコントラストを描いている時が多いだろ?
これも、こうあって欲しいという視聴者の望みとは反対の状態を描くことで、抵抗を強くしているんだ。
最後に主人公たちが、報(むく)われる時なんかに、その抵抗が解放されて、感動する感じになっているんだよ。
素敵な音楽を聞いて、涙が出るのも、その音楽が、自分が抱えている何らかの抵抗を手放すきっかけになってくれている場合があるんだ。
       
望むことに抵抗する考えを手放すことは、自分が望みへむかっているという証拠なんだ。
だから、涙することは恥ずかしいことじゃない。素晴らしいことなんだよ。

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