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第5章 貯蓄と投資

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「A Little Dough」はこれから社会人になる人、あるいはこれからのライフデザインを考えている人達の参考になるような「パーソナル・ファイナンスの考え方」について記載してい…
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#リスク

🅂1 貯蓄と投資について

「A little dough」 第5章(Chapter5)貯蓄と投資について <🅂1(Section1)貯蓄と投資について>  これまで、私たちが行う意思決定には「認知バイアス」などが原因となる非合理的判断が多発していることを確認してきました。またこうした判断が、結果的に「後悔してしまう」支出と深く関係していることも事実のようです。第5章では私たちのファイナンシャル・プランに組み込まれた「貯蓄と投資」という経済行為を扱いますが、これらもまた人間が行う意思決定とはあまり相性

🅂21 リスク許容度を知る

「A little dough」 第5章 貯蓄と投資 🅂21  マイルール(3)  最近の新NISAに関する各種報道を見ていると、多くの方がS&Pやオルカンを選択しています。日経新聞によれば、新NISAにおけるeMAXIS Slimの上記2銘柄の年初来の資金流入額が2兆7千8百億円ということですから驚きです。昭和生まれの私が「市場インデックスファンド」についてあれこれ書かなくても、みんなすまし顔で「それって、常識でしょう」と切り返されているような気がしています。たくさんの方

🅂19 経験がルールをつくる

「A little dough」 第5章 貯蓄と投資 🅂19 マイルール(1)  前節まで「貯蓄」と比較的身近なリスク資産である「株式投資」について記載してきましたが、これらの記述は結局のところ、私個人の経験を踏まえて構成されているところがあります。もちろん全体としては「メインの仕事を持ち、家計管理の一環として投資を行う方」を想定し、理論的な背景を辿り乍ら組み立てています。ただ私自身もまたその中の一人であったことから、「大きなリスクを避け、シンプルな方法で、安定的なリターン

🅂17 理論通りにはいかないことを計算にいれる…

「A little dough」 第5章 貯蓄と投資 🅂16 ポートフォリオ理論(5)  ポートフォリオ理論(MPT:Modern Portfolio Theory)は様々な理論上の前提の上に成立している訳ですが、仮に市場が効率的であり参加者がことごとく分散投資を行うとすれば、その結果最も効率的な投資は市場ポートフォリオに限りなく近づいていくことになります。 ➤シャープレシオ  ポートフォリオの効率性を示す指標として「シャープレシオ」というものがあります。これはCAPMを

🅂15 CAPMとは…

「A little dough」 第5章 貯蓄と投資 🅂15 ポートフォリオ理論(3)  ポートフォリオ理論では「分散投資」によってリスクをコントロールし、許容できるリスクの範囲で最大のリターン目指す「効率的フロンティア」の存在を示しています。これを一歩進めて、すべての市場参加者が分散投資を行うという仮定の下で、個別の期待リターンの計算を可能したのが「CAPM(キャップエム/資本資産評価モデル)」というウィリアム・シャープの理論です。 ➤リスク資産の期待リターン  🅂7で

🅂14 リターンを決めるリスク許容度

「A little dough」 第5章 貯蓄と投資 🅂14ポートフォリオ理論(2)  前節では、マーコウィッツのポートフォリオ理論のうち、リスクが分散投資によって軽減される仕組みについて記載しました。「相関係数」が「+1」から「-1」に近づくほどリスクが軽減されていく様子が、下のグラフから読み取れると思います。 ➤ポートフォリオABのパフォーマンスは  前節で例示したA・B2銘柄の構成比を単純に50%にしたポートフォリオの結果は下表の通りです。「期待リターン12.5%、

🅂13 リスクを下げる相性💛とは…

「A little dough」 第5章 貯蓄と投資 🅂13 ポートフォリオ理論(1)  さて、ポートフォリオ理論(MPT:Modern Portfolio Theory)に進む前に、本章🅂7で記載したリスクとリターンの関係について、もう一度確認をしておきたいと思います。 ➤「トレードオフ」を正しく理解する  株式市場におけるリスクには様々なものがありますが、リスクの潜在的な変化や顕在化は多くの場合「価格変動」に繋がります。言い換えると株式には「価格変動リスク」があり、そ

🅂6 安全資産のリスクとは

「A little dough」 第5章 貯蓄と投資 🅂6 安全資産のリスクとは  一般に貯蓄と様々な投資の大きな違いは「リスク」の度合いにあるといわれています。しかし安全資産といわれる貯蓄(銀行預金)といっても私たちはその殆どを「円」という通貨で行いますから、私たちの意識がどうあれ通貨自体が持つ様々なリスクはついて回ることになります。  ロシアのウクライナ侵攻後、米国ではインフレ→金利高→ドル高が基調となり、結果「円」は大幅に下落し私たちの貯蓄はドル換算では驚くほど目減り