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弓道の自主練習中に仲間に矢で射られた話
高校1年生の夏。
弓道部に入りたての、夏休みの自主練中にそれは起こった。
その日はお盆が近かったからか、練習人数が少なかった。
暑さもあって、みんなだらけていた。
矢が無くなった私は、たくさんの矢を1人であげに行った。
旗を出して、「あげます!」と私が宣言して、射場からも「お願いします」と複数の声が返ってきた。
最後の的に差し掛かって、矢を抜いている時だった。
突然、下半身に物凄い衝撃が走った。
何が起こったかわからなかったけど、一瞬にして下半身の感覚が無くなった。痛みはなく、ただただ真っ白だった。
放心したまま、とりあえず足は動いたので矢を持って私は安土を出た。
射場内がざわつき、数名の先輩たちが出て来て私にかけよる。
矢を置いてから、私は泣いた。
私のお尻は、えぐれて出血していた。
当たりどころが良かったのか、刺さらなかったのは本当に奇跡的だった。
そんな私の状態を見て、顔を青くしている男子が横に立っていた。
彼が私に向かって矢を射ったのだった。
普段から温厚で、悪意を持って射ったわけではないことは様子からわかった。
集中力が散漫になっており、私が見えてなかったのが原因だった。
私は、そのまま近くの病院にタクシーで連れて行かれた。
診察台でうつ伏せになり、医師にお尻の状態を診察してもらった。
仲が良くない女の先輩にまで自分のお尻を見られたことは恥ずかしかったが、幸い縫うほどの怪我ではなく、簡単に処置をして私は帰された。
その夜、北海道に遠征していたはずの顧問の先生が飛んで帰ってきて、私の家まで来てくれてた。そして、泣きながら謝罪してくれた。
親は事態を深刻に捉えておらず、逆に申し訳ないって感じで対応していたけど、あの時の先生は、顔面蒼白で私より先生の方が具合悪そうだった。弓に精通しているからこそ、ことの重大さを身に染みて感じていたのかもしれない。
その後、部活は一悶着あったが誰も退部にはならず、活動も再開された。
事故のあと、私は矢取りがトラウマなって、本当に安土に入るのが恐くて仕方なかった。
ついでに射場内の人を信頼できなくなった。
誰も弓を構えていないのを確認した次の瞬間にも矢が飛んでくる感覚がして、それにずっと怯えていた。
射場内をちらちら見ながら矢を抜いている奴が居たらそれはきっと私だ。
あの時の衝撃はこの先、一生忘れないだろう。
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