見出し画像

最高の教師 1年後、私は生徒に◾︎された

【最高の教師 1年後、私は生徒に◾︎された】

▶︎連続ドラマ



【3年A組】ドンピシャ世代なのでドキドキしながら一気見したくて溜めに溜めたドラマ。


これまで松岡茉優の作品でそんなに強く印象に残っているものがなかったのだがこれは確実にこの先もずっと私の中で松岡茉優といえばこれという印象になる作品だろう。
松岡茉優の持つちょっと独特な雰囲気とか深くて熱くて強い女優論とか全てを含めてこういう役柄に合っているし、これからも違う方向の闇のある意味ありげの作品に出てほしい。


自分は未来に殺されるということを知っている恐怖感と犯人を見つけだそうとする恨みにも近い気持ちを目と雰囲気で醸し出す凄み。
死んだ目というとよくあるけど、死んだ目だけど恐怖と恨みと希望も併せもつような不思議な目。何を考えているかわかるようでわからない雰囲気。怖いけどなんか可哀想な感じ。とにかく1話から九条里奈(松岡茉優)という存在感がすごかった。

そして印象に残っているといえば1話の鵜久森(芦田愛菜)が教室にてクラスメイトのいる中でいじめられたことを告白するシーン。
あのシーンが凄すぎて、ちょっと申し訳ないんだけど、学生役のみんなはレベルというか経験値とか演技力の圧倒的な違いに現場で衝撃を受けただろうな、とか、悔しくてたまらない子がいるだろうな、とか、ここに居れて同世代のすごい演技を見れて幸せだねとかおばさん目線でそのようなことを思ってしまった。
そう思わされるほど、本当にそこにいじめられ死ぬことを考えた鵜久森がそこにいた。

そしてすごいと言えば加藤清史郎。こども店長のかわいいイメージが根強い加藤清史郎が嫌な相楽役を…。衝撃だったけど、本当に嫌な奴になっていてこんなやつと同じクラスだと思うと絶対嫌だし相楽をちゃんと嫌いになった。

一瞬しかない鵜久森と相楽がふたりで話すシーン。一瞬なのにゾワっとした。
そこからの相楽ターン。相楽が本当の自分を教室で話すシーンは鵜久森を演じる芦田愛菜に抱いたのと同じ思いを加藤清史郎に抱いた。そこにずっと自分の弱さと戦い続けた相楽が生きていた。
1番心打たれたのは鵜久森の御骨の前で謝罪するシーン。2度と直接本人に謝罪ができなくて自分の犯した罪とともに一生を生きていけないことを本当の意味で理解した相楽からはあのまま気が狂ってしまうんじゃないかと思うほどの怖ささえも感じた。

星崎(奥平大兼)が九条先生を殺そうとした理由は心の底から怖いなと思うけど全くわからないことでもなくて。
生きる意味や楽しさや希望ってあれば素敵だけどなくても生きていかなきゃいけなくて。
生きる意味はなくてもいいと思っているし、突き詰めるとそんなもの人間が頭で考えた後付けの理由なわけで正解はないのだけど明日を生きるためには必要だったりする。
人間ってなんなんだろうと思う。



色んな意見があるけど、私は絶対に本人や関係のない第三者に漏れない陰口なら吐き出していいと思う。もちろんいちばんいいのはみんな仲良く認め合える世界だけどそれは理想郷で、生きている限り合わない人と出会い無視できない場面があるのは事実だから。みんな仲良くなんてできないと思っているから。ただ絶対に私と例えばAさんの二者間で留めなければいけない。それを超えて他人を巻き込んだ時点で悪口であり、誹謗中傷、いじめに繋がってしまう。

そういう意味では、相楽達に無視してほしいと願い出た眉村(福崎那由他)と日暮(萩原護)はある意味ではこの世界の1番平和な生き方を選択したのかもしれない。
寂しさもあるけれど、興味のない人や嫌いな人とは関わらず生きていく。
字面だけみると酷だけど、それで心を病むことなくそれぞれの世界で自由に過ごせるならそれが幸せ。
そのかわり相楽のような心が寂しい人は捌け口がなくなるからとても生きにくくなるのだろうけど。


これからの時代、学校教育はもっと難しいものになると思う。
九条先生のような現実と向き合う先生は必要だけど、きっとあんなふうに生徒と向き合う先生がいたら周りは許さないのだろう。

時代が変わるとは時に素晴らしく、時に残酷。

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?