あなたがしてくれなくても

【あなたがしてくれなくても】

▶︎連続ドラマ

みち（奈緒）
誠（岩田剛典）
楓（田中みな実）
陽一（永山瑛太）
４人ともに足りない部分、わがままな部分、ひとりよがりな部分があって、それぞれに見ていて苛立つところがあって、２組の夫婦が壊れることに納得できてしまった。

不倫を正当化するわけではないけど、本当に誰に対しても可哀想だと思えなくて仕方ないんじゃない、と思える。そんな４人。


自由奔放で大人になりきれないで、どこかにフラっといっちゃいそうで、はっきりした意見も言わないでのらりくらりな陽一。
はじめは、これに付き合うみちは可哀想だよなぁと思ったし、どんなに医療が発達しようと女としては子どもを持つための迫り来るタイムリミットに焦ってしまうから焦る気持ちもわかる。だからって言い訳してはいけないけど、誠みたいな優しさに触れてしまったら甘えたくなるのも仕方ない、と思っていたのだけど。
日々のみちから陽一への悪気のない圧とか、私は頑張っているのにという自分を正当化させている感じとかが見えてくれば見えてくるほど陽一がみちに対して真正面から向き合うことを避ける気持ちがわかるようになってしまう。

このふたりはずっと愛情がすれ違っている。
みちが陽一に、上手にできたオムライスを食べさせて自分は失敗したオムライスを食べる。これはみちの愛情だけど陽一は気付かない。陽一は目に見えるような優しい行動はしないけどみちのことを常に心配していたり何気ないふたりの時間を大切にしているという愛情があるけどみちには届かない。
愛情表現の方法があまりにも違うから仕方ないと言えばそれまでだけど、お互いの愛情に気付かなくて、気付いてもらえなくてどんどんすれ違っていく。



仕事に奔走する楓。誠が時間をかけて作ったごはんも、大切に選んだ花束も、優しい言葉も受け取らない。仕事が忙しいのはわかるけどあまりにも誠を蔑ろにしていて自分のことしか考えていない楓には最初、本当に腹が立った。誠がみちという楓とは正反対の女性に惹かれてしまうのも無理はないと思った。
けれど、誠はあまりにも完璧すぎる。完璧なのは悪いことではないけど、その完璧さを求めていない楓にとっては共に時間を過ごすなかで少しずつ負担になりその結果もうずっと、ものすごく苦しかったんじゃないかなと思えてならない。

誠の浮気に気付いた楓が急に誠への愛情を見せて、色んな行動にうつしたところは不倫が悪いと言えどもさすがにちょっと引いてしまった。今まで放置しておいてそれはないだろうと。
４人の中で、楓だけはなにか違っていて自分をしっかり確立しているから誠といないほうが幸せになれそうに思えて。だから誠にすがりついてほしくなかった。ほかの３人は自分がない３人だったけど楓は違うから。
陽一に会って楓が楓自身を見つめ直して楓らしい生き方に戻っていこうとしたのはすごく素敵だと思った。楓には絶対に幸せになってほしい。



結婚が良いか悪いか、結婚して子どもを作って家庭を持つことが幸せかどうかは人によって違う。


２組の夫婦ともにもっと相手の愛情に、相手の気持ちに、相手と過ごす時間にしっかり向き合えていればこうはならなかったんだろうけど。
セックスレスがきっかけで、みちと誠の心が通いあってしまって…とはいうけれど、セックスレスが原因なんじゃなくて、本当はもっともっと根本的なところからそれぞれの夫婦はすれ違っていたんだろうな。



…と思っていたので最後の結末は信じたくありません。
ここまでの意見はあくまで最終回を見る前までの意見。
最終回で気持ちがガラッと変わり、見る前に感想書いておいてよかったと心から思った。


吉野夫婦に嫌悪感が残った。
陽ちゃん、何も変わってないし。
離婚する前よりもみちがひとり強くなっただけだよ。
好きという気持ちを再確認できたことは素敵だけど、吉野夫婦が離婚するに至った理由はそもそもふたりの愛情が消えたことではないんだから。そういう意味で、やっぱり好きだからと元サヤに戻ってもまた同じすれ違いが起こるんじゃないの？

みちと誠が出会っていなくても新名夫婦はすれ違っていたし、いつか終わりが来ていたと思うから吉野夫婦が全面的に悪いとは思わないけど、離婚ということだけに焦点をあてるとあまりにも楓が振り回された感がありすぎてかわいそうだし、誠も変な女に振り回された感が残って自業自得だけどなんだかかわいそうすぎてモヤモヤ。




最近はコンプラが厳しくなって不倫を題材にしたドラマや映画は不倫相手とくっついて幸せになる最後を書けないと聞いたことがあるけれど…ほんと？？
まあこの物語的には法律上の不貞行為にも当てはまってないし不倫の話でもないのだけど。


とっても楽しく感情移入して見ていただけに、うまくいってない友達カップルが別れてたくさん心配して励ましたのに知らぬ間にヨリを戻しててこちらはお手上げ、みたいな気持ち…。