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満天のゴール

【満天のゴール】

▶︎特別ドラマ


生きることと死ぬこと
死ぬことと生きること
対極するものと捉えられ扱われるけれど本当は繋がっていて生きた延長線上に死があるだけという事実を美しく力強く描いた作品だった。


近しい人の死に直面すると、どんなに手を尽くしても時間と心を捧げても全てをやりきったと言えるくらい向き合えたとしても時間が経つごとに、もっとあれができたのではないか、寄り添えたのではないか、ああしていればもう少し生きていたのではないか、という後悔が生まれてしまうような気がする。

まさにそんな後悔に押し潰されそうなまま日々を過ごす三上高志(加藤シゲアキ)と川岸奈緒(桜井ユキ)が伊根町で出会う。
個人的にあの辺の空気が好きなのもあるが、あの空気感がこの舞台にぴったりだと思った。


残酷だけど、どんな行いをしようがどんな善人だろうが悪人だろうが平等に死はやって来て、その死に方に日々の行いの善悪は関係ない

ということを、いつかの担任教師が言っていた。
どの先生だったかも覚えていないけど、この言葉だけは鮮明に覚えている。
本当は防災訓練の時に、災害時には普段の行いの善悪とは関係なく皆平等に死が迫り来るから過信することなく自分の身は自分で守りなさいという付け足しがあって成り立つ言葉なのだけど。

死に方と死に時はそれぞれ違うけれど、死は必ず全ての人にやってくることだけは間違いなく絶対的に決まっていることで、だからどう生きるかどう生きている人と向き合うかが人生を左右するくらい大きなことになるのだろう。

死ぬことは怖いけどそれよりも大切な人が死んでしまった世界で生きていくことを想像するほうが私は怖いので、満天のゴールを迎えることは死んだ側の人生のゴールを作ると同時に見送った側のその人と生きた世界の納得いくゴールを作ることなんだなと思った。

あたたかい作品だった。


高志と奈緒が結ばれる続きが見たいな。

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