大谷翔平選手の金言「必ず塁に出ると、決めていた」

日本が14年ぶりの世界一を奪還した2023年WBCは、多くの名言を生んだ。きっと、それだけで後世に残る1冊の本ができてしまう。

決勝に向かう最後の円陣、大谷選手がみんなの心を一つにまとめた「憧れるのを、やめましょう」。

不振がつづく村上選手へ栗山監督がかけ続けた「最後は、お前で勝つんだ。」

それに応え、準決勝の9回裏、サヨナラヒットを放った村上選手へ「遅いよ、ムネー」「シャー(泣きそうで言葉にならない)」

東日本大震災で父親を亡くし、その12年後の同じ日に先発ピッチャーとしてマウンドに立つ佐々木朗希選手について「野球の神様が朗希に頑張れってメッセージを送っている」(栗山監督)

一つ一つの言葉から、その時のシーンが、物語が、感動が、いまだ鮮やかに蘇って胸がいっぱいになる。

そんな数々の名言の中、最もはっとさせられた言葉は、大谷選手のこの言葉だった。

必ず塁に出ると、自分自身で決めていた

準決勝メキシコ戦、1点ビハインドで後がない9回、先頭打者の大谷選手が初球でツーベースを放つ。それが奇跡のような逆転劇の始まりとなる。ヘルメットを脱ぎ捨てて激走し、2塁から見方ベンチに向かって吠える姿を、もう何度見たことだろう。

先の言葉は、その試合後、自身のプレイを振り返るインタビューの中で出た言葉。

必ず塁に出るというのは自分自身で決めていたけど、セカンドまでいけたのが大きかった。

決めていたから、出塁できた。出塁した。
大谷選手は、そう言った。

*******

この言葉を聞いて、はっとした。

「塁に出られたらと、願っていた」のではなく
「塁に出ると、決めていた」のだ。

決めたことを、実行したまでなのだ。

*********

私たちは、本当に「決めたこと」しか、
現実にすることはできないのかもしれない。

「幸せになりたい」
「成功したい」
「○○になりたい」
「○○を手に入れたい」

そう口にしていても、
心のどこかで
「幸せになれるのだろうか」
「成功できるのだろうか」
「本当になれるのだろうか」
と、自分自身に疑念を抱いていたり

「幸せになる価値があるのだろうか」
「成功する価値があるのだろうか」
と、自分自身を認めることができなかったり

「幸せになって大丈夫だろうか」
「成功して大丈夫だろうか」
と、どこか不安や怖れを抱いていたり、

自分すら気づかない心の奥底で
(無意識や深層心理といわれる部分で)
それをブロックしていたりすることは
多々あるのだろう。

それが連れてくる現実は、
幸せになれない。
成功できない。
○○になれない。

でも本当は、
幸せにならない。
成功しない。
○○にならない。

そう決めてしまっているのだ。
自分を守るために。

そして、
やっぱり自分はこうなんだと
どこかで安心する。


幸せになるのは
成功するのは
なりたいものになるのは
怖いことだから。
勇気がいることだから。

*************

大谷選手は、
出塁すると、決めていた。
そしておそらく、
勝つと、決めていた。

心の奥底から、一点の曇りもなく。
そこに、疑念や拒絶や怖れは、なかった。

でも、勝つことは、一人ではできない。
チームみんなが「勝つ」と決めなければ
勝つことはできない。

だから、自分が出塁すると決めて出た場所から
自分は勝つと決めているのだと、
味方チームに、全身全霊で告げた。

きっとあの瞬間、
みんなが「勝つ」と、決めたのだ。
心の奥の奥底で。

それは現実となった。
なるべくして、なった。
だから「奇跡」なんかでは
なかったのかもしれない。

***********
翌日の決勝直前。
大谷選手は、みんなに憧れを捨てさせた。
憧れは、勝たないことを選んでしまうから。

憧れているのだから、
勝てなくてもいい。
勝たなくてもいい。
心の奥底で、そう決めてしまうから。

「憧れるのを、やめましょう。」
その言葉はみんなの心に届いて、
自分たちは勝てる、勝っていいのだと、
奥底のスイッチを入れた。

勝利は、もうそこで
決まっていたのかもしれない。

*******

「幸せになると、決める。」
「成功すると、決める」
「こうなると、決める」

たった、これだけのことが
簡単にはいかない。

だけど、
「なれる」
と自分を信じて
「なる価値がある」
と自分を受け入れて
「なってもいい」
と自分を許す。

それが心の深いところまで届いたら、
あとはただ、そうなっていく。

それを、目の前で見せてくれた。
そして、短い言葉で証明してくれた。

必ず塁に出ると、決めていた。

それに呼応するような、
栗山監督の言葉。

できるかできないかではなく、やるかやらないか。
(その姿を選手が見せてくれた)

人類の宝物のような言葉。
野球の神様が、
大谷選手の身体を借りて、
栗山監督の身体を借りて、
私たちに語りかけてくれたとさえ
思えるような。

*************

WBCは子供たちにたくさんの夢を、
そして大人にもたくさんの勇気をくれた。

なりたい自分に、なる。
なると、決める。
生まれてきたからには。
少しずつ、少しずつ、
心にしみこませていこう。
奥の奥で、自分を信じる。
自分を受け入れる。
自分を許す。
怖くない。

なると、決める。




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