看護師の教育とジェンダーについて思うこと
こんにちは。うなぎです。
いつも通り病態と看護についての記事を作成していたのですが、あまりにも話題で、気になるニュースがあったので、それについて思ったことを書いていきます。
気になったのは、こちらのニュース
この記事の中の、
「男子学生が看護実習を受ける際に一定の制限が存在します。具体的には、産科実習で出産に伴う乳房ケアを実践させてもらえない、出産に立ち会う場面で男子学生のみ室外に出される、といったケースが起こっています。
医療職である意識を持ってまじめに学んでいる学生にとっては、性別で学習機会が奪われることに憤りを感じる声が聞かれます。」
という文面がSNSで一部炎上しています。
炎上しているコメントを概観すると、
出産という場で、女性のデリケートな部分を、学習のためとは言え男性に見られるのは抵抗がある。男性看護師が将来産婦人科で働くことなんてほとんどないんだから、なぜ女性側が我慢して男子学生の実習を受け入れなければならないのか。
って感じのご意見が多い印象でした。
正直、どちらの意見もごもっとも、という感じです。
記事の中では、実習先の更衣室が男性だけ劣悪な環境であることも少なくない現状や、臨床の場で「男性だから」という扱いで暴力患者の対応を迫られることの苦悩についても触れられていました。
男女だから、という理由で学びが制限されるのは望ましくないとは思います。
しかし、医療を学ぶ学生は、患者さんから学ばせていただいている、という意識は忘れてはなりません。
年齢、性別関係なく、学生が数週間なり数日なり担当になるということは、患者さんにとって良くも悪くも大きなストレスになります。
ただでさえ病院という非日常空間で、治療や出産などの大きなライフイベントにより心身ともに多大なストレスを抱えています。
その上で、コミュニケーションだけではなく、清拭などの些細なケアも不慣れな学生がつくということは、本当に大変なことです。
そのことを前提として、理解する必要があります。
更に、母性看護学領域での実習は、産婦人科での褥婦のケアが主。
病院に入院している多くの方は、病を抱えている方々ですが、産婦人科に入院している方は基本的には病気ではない方々です。
入院が初めて、という方も少なくないと思います。
そんな方々が、見ず知らずの男子学生に出産や産後のケアの立ち合いを許可するのは、大変勇気がいることです。
特に初産婦さんは出産自体が初めてで不安や緊張が強いのに、赤の他人の成人男性に見られるのは抵抗が強くて当たり前です。
これはケアの対象特性として捉えるべき問題です。
記事でも触れられていましたが、年齢・性別関わらず、男性看護師だからこそ受け入れが良い患者さんもたくさんいます。
女性の患者さんでも、男性看護師がいくと喜ぶ方もいらっしゃいます。
男性の患者さんだと、同性の方が本音を吐露しやすい、という方もいます。
ただしこれは、結局一人の人間としての相性や、持っている能力などの要素が大きいと思います。
男性看護師の受け入れが良い患者さんが、全ての男性看護師と相性がいいかというと、そういうわけではありません。
結局我々の仕事は対人サービス業なので、性別よりも人と人との相性の方が重要だと個人的には思っています。
ハラスメントしてくるクズは別ですけど。
要は、性別に囚われるのではなく、各個人の個性と能力特性を発揮して、チームで互いに支え合いながら質の良いケアを提供していけば良いんじゃないか、という話です。
この辺りは、記事の質問に答えていた秋吉さんと坪田さんと同じような意見です。
で、教育の話。
まず更衣室などのハード面は論外です。
いますぐ病院は適切な労働、教育環境を整えなさい。
地下の倉庫で、Gが出る環境で更衣させるなんて。清潔が重要な医療職の実習で。
ありえない。
人権侵害。
男性の看護学生が母性実習で教育を受ける機会が制限されている問題について。
これは、正直制限が生じても仕方ないと思います。
学校や病院側は、学生が実習を受ける権利を尊重する義務があるので、その努力を怠ってはいけません。
なので、可能な限り女性学生と同様の実習を受けられるよう調整することは必要です。
しかし、それで男子学生を実習時期に受け入れてくれる産婦さんがおらず、実習ができなくても、それは受け入れるべきではないでしょうか。
だってそれが母性看護学実習の対象者の特性だから。
断られることも経験だし、一つの学びだと思います。
母性実習は、女の私でも産婦さんから出産直前に実習受け入れを断られました。
結局、他の学生と二人で一人の産婦さんを受け持ったのですが。
それくらいデリケートな領域です。
性別で学習機会が奪われて憤っている、って何様ですか?って思います。
それってあなたの都合ですよね?
学生受け入れる側の立場に立って考えてます?
そんなことで憤ってる人が、患者さんの立場に立った良いケアができるとは思えません。
みんながやっていることだけが学習機会ではありません。
なぜ断られたのか。
断る時の患者さんや産婦さんの心理はどうなんだろう。
学生さんには、性別という狭い枠で囚われて苦言を呈するだけで終わるのではなく、逆境を経験として吸収し、それを次の患者さんのケアに活かして欲しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?