芋ほり

芋畑から眺めるやまなみが、大きな布に1枚1枚パッチワークをうめるように、日に日に赤や黄に染まっていきます。朝は遠くに雲海が立ち込め、神秘的な景色を見せてくれます。張り詰める冷たい空気感が心地よく、と同時に冬を迎える準備に駆り立てられます。

今日は朝から芋ほり大会です。大会といっても何かを競うわけではなく、ただ芋を堀りに熱中し、焼き芋を食べるという一日です。

コロナの影響もあり、様々なイベントや体験、学校行事なども縮小、中止となる中で、私たちも、感染対策に注力しながらの開催となりました。小雨の降る中でしたが、芋ほりに子どもからお母さんまで夢中になりました。

私たちの圃場がある中国山地の稜線に私たちの圃場がありますが、一面赤土の山土です。初めて来られた人は、その赤さ、粘っこさに驚かれる方も多いです。今や出雲のたたら製鉄などが有名ですが、この美作の地域では古代にはたたら製鉄の窯があったといわれています。また、隣町の備前市は山土、田土を使った備前焼が有名で、古くから土と自然のかかわりあいが深い歴史があります。私たちたちも土壌分析などをすると、マグネシウムなどの微量要素の含有量が高く、多くのミネラルが含まれているという結果が出ております。

そんな美作の山土で育てたサツマイモはキメが細かく、とびきり甘味とうま味がのってきます。一方栽培はなかなか難しく、一雨ふると、2,3日は圃場に入れなかったり、芋ほり機を使って芋をほろうとも、その土の粘っこさで機械が壊れたりします。粘っこさより受けるストレスでなかなか大きくなりません。まさに、1畝を手でほると苦難の修行のようですが、芋ほり大会で掘る芋ほりは、発掘作業、トレジャーハンターのような面白みがあります。そして、だれもがこの芋ほりを体験したら、この芋のおいしさの秘密を体感できます。芋を傷つけないように、回りの土を少しずつほりくずし、赤やピンクの芋肌が現れだし、まさに、畑の宝石のようです。

九州の焼酎ややなるとの金時芋、茨城など火山灰や砂地のさらっとした土壌の地域が、サツマイモの産地となり、芋ほりも苦労なく掘り出すことができますが、ここで芋一株掘るのには、本当に苦労します。長くつには、泥がつき、畑で思うように歩けない子供たち、思わず転んでしまうお母さん・・・私も家に泥だらけで毎晩帰り、妻を疲弊させております。

コロナの影響でオンライン化が進み、私たちも業務の無駄を改善されました。東京までいかなく、画面超しに商談が進み、有名な講師の授業が自宅でできるようになり、この生活、仕事スタイルの変化の恩恵を感じております。と同時に人間関係が希薄になったり、画面腰超しの相手の考えや人間性を感じ取ることができなくなったり、様々な弊害も感じております。閉じこもりがちになり、様々な不安やストレスを感じるようになりコロナ鬱というような現象も起こっているようです。また、我が子を育てる中で、この感受性豊かな幼少期の体感、自然や命の肌触りは時代が変わろうとも代えようがないように思います。小雨の降る中でしたが、寒さで震えてたり、やんちゃでざわついていた子供たちが、土を触り、芋をみつけ、掘り上げたときの、熱中した目つき、泥だらけになっていく姿は一種の感動を覚えました。祖先より、土と共に生きてきた我々は、いつの時代でも土から離れてはいけないだろうと思いました。

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