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“新型コロナ”のインバウンドへの影響は?メディアアクセス数から見る訪日観光客の傾向

新型コロナウイルスによる肺炎が、日本でも流行しています。普段外国人で賑わう観光地が閑散としているニュースが報道され、今後のインバウンド市場への影響も心配されています。

そもそも、この影響は一体どんなタイミングで始まったのでしょうか? 日本への旅行を計画していた海外の人たちは今、日本に関するどんな情報を求めているのでしょうか? 今回インバウンドメディア「MATCHA」のサイト分析を行い、明らかになったデータをご紹介します。

少し自己紹介させて頂くと、筆者は月間330万UUが訪れるインバウンド向け観光メディア「MATCHA」にてメディアグロースを担当している福島と申します。主にサイト改善・企画・分析やMATCHAのオリジナルキャラクターまっちゃんのデザインなどの業務をやっています。

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https://matcha-jp.com/

今回分析したのは、1月〜2月の各国からの「サイトアクセス状況」及び「検索流入キーワード」です。

インバウンド市場は例年、桜シーズン・紅葉シーズンに訪日外客数がピークを迎えます。弊社メディアでも、例年通りなら3月の桜シーズン前から閲覧数が上がるところ、今年は2月から落ち込んでいます。そこで今回、各国の日本への渡航制限勧告や、コロナウイルスに関する報道をもとに、各国ごとの状況を分析しました。コロナウイルスの影響が出ている特徴的な5つの国を紹介します。

台湾のアクセス状況

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台湾からのアクセスについては、台湾の衛生当局が日本への渡航警戒レベルを上げたタイミングで下がっているのがよくわかります。特に変化の激しい2月14日前後1週間の流入を比較すると、約40%も減っています。

香港のアクセス状況

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香港に関しては、日本への渡航制限勧告以前に、中国本土でのコロナウイルスの流行、及び1月23日の中国武漢の交通機関閉鎖のタイミングから徐々に下がり続けていました。例年であれば、香港からの弊社メディアへのアクセスは桜シーズン前の2月後半から徐々に上がり始めるのですが、逆に下がっている状態です。


アメリカのアクセス状況

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アメリカからのアクセスに関しては、アメリカ国務省の日本に対する渡航情報発表のタイミングよりも、アメリカCDC=疾病予防管理センターが2月25日に「感染拡大に備えるように」との声明を出し、現地でトイレットペーパーの買い占めが始まった頃からアクセスが落ちています。地理的にアジアから離れている事もあり、他の国よりはやや反応が遅く、実際に現地メディアによる報道が高まってから初めて実感・変化が起こったように思われます。

シンガポールのアクセス状況

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対して同じく英語圏で、弊社英語版へのアクセスが多いアジアのシンガポールでは、すでに1月23日にシンガポール国内でコロナウイルス感染者が発見された事もあり、その時点からアクセスが低いままの状態です。こちらも例年であれば、桜シーズン前で2月後半からアクセスが伸びるはずが、海外旅行どころではなくなったようです。

タイのアクセス状況

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タイについては、台湾とほぼ同じ傾向で、国の渡航自粛情報と同タイミングでアクセスが落ちています。発表があった2月18日前後1週間の流入を比較すると、約37%ほど減っています。

検索キーワードの変化

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台湾・香港版のページでは、1月と2月の検索流入キーワードを比較すると「清水寺」「河口湖」「鹿兒島」など、観光地に関するキーワードの表示回数が大幅に減っています。

一方、「日本のマスク」を意味する「日本口罩」や、「日本武漢肺炎」など関連キーワードが急増しています。興味深いものでは「pitta mask」など具体的な商品名での表示も増えていました。

一方英語圏では、「asakusa」「hakone」「akihabara」など観光地のキーワード表示回数が減っているものの、表示回数が増えたキーワードの中でコロナウイルス関連のキーワードが急増した様子はありませんでした。

タイについては、台湾・香港版と同じように「osaka」「fukuoka」「tokyo」などの観光地キーワードが減り、マスクに関するキーワードが急増していました。

以上から、訪日旅行へのモチベーションの低下が、そのままキーワードの表示回数にも現れている事がわかります。また一方で、新型肺炎に関する日本の現状や、日本のマスクなど具体的な商品についての情報を求めている様子がわかりました。

インバウンド対策はどうすべきか?

このように、アクセス数の低下、及び訪日外国人の数が減少傾向にある中、インバウンドの対策を行うべきか迷っている事業者の方も多いと思います。

現状を鑑みると、すぐに日本に来てもらう事を宣伝するのは効果的ではないと考えられます。しかし、「こんな素敵な観光地がある」と知ってもらう事や、今興味・関心のある日本製品について知ってもらう事は、意味あるのではないかと考えています。

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実際に、弊社がFacebookに投稿している日本の桜記事や東京のカフェを紹介する記事には、例年よりは少し少ないですが今までと変わらず各国からの「いいね」やシェアがされています。このことからも、今後日本に旅行に行くことを楽しみにしていたり、引き続き関心は持続している様子がうかがえます。

一時的に日本へ旅行したいモチベーションが下がっている状況下でも、状況が落ち着くに従って、日本旅行を再検討することが考えられます。今のうちに日本の観光地を知ってもらうコンテンツを制作し、認知度を広める活動を引き続き行っていくことは、決して無駄にはならないでしょう。

見出し画像 by pixta

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