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ドイツで養蜂。蜂に刺されて大惨事(前編)

現在暮らしているドイツで、念願の養蜂を始めたのが4年前。
友人が元々違う場所で飼って居た蜂を、自宅の庭の一角に引っ越しさせてきて、養蜂も
マンツーマンで教えてもらいました。

やっと一人で一通りの事ができるようになり、さてこれからと言う時。

飼い犬に噛まれるのではなく、
飼っている蜂に刺されてとてもとても
危険な経験をしました。

去年の6月に蜂に刺された時の話
そして、その後養蜂とどう向き合うことに
したか、
免疫療法の事なども含め書きたいと
思います。

長文ですが、養蜂を始めたいと思ってる方、または養蜂してる方の参考になればと。

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2021年。
養蜂を始め3シーズン目。
私に養蜂を教えてくれて、ずっと一緒に作業をしてきた友達が今年は私に託すとのことで、初めて一連の養蜂仕事を一人でするようになった年。

ある日、いつもの通り巣箱の内検を終え、道具を片づけに倉庫へ行き、
手袋を外した瞬間に小指の爪の付け根あたりをチクリと蜂に刺されました。

きっと手袋に1匹だけ蜂が止まっていたのでしょう。
大急ぎで針を抜いたけど、とてつもない激痛。

今まで覚えてるだけで5回は刺されたことがあるけどその中でも、場所が場所なのもあり、とにかく痛かった。

患部を水に当てようと家に戻り、汗もすごくかいていたので
シャワーを浴びる事にしました。

その日は実家の家族と12時にランチをする約束があって
家で仕事をしていた夫は、時間ギリギリだと言って歩いて5分のところにある実家に急いで出かけていきました。

私は蜂にさされて痛たたたーってなってたけど、2週間前にも刺されたばかりだったし、いつものことだと思ったので、シャワーをさっと浴びて、すぐさま出かけるつもりで
いました。

しかしシャワーを浴びてる最中、体中が火照るような感じがして、なんだか様子がおかしい。
そして何故だか、体のあちこちが痒い。
するとあれよあれよと上腕のあたりから、
細かい水膨れのような湿疹がブワーっと
表れてきて!

それから目がシャバシャバと霞みだし、
これはヤバいと思ってシャワーを終え、
体を拭いてるのに変な汗が止まらない。

すぐさまさっき出掛けたばかりの夫に電話を掛けました。

ダッシュなら、1分で戻って来れる距離。

なんだか怖くて、汗かきながらブルブル
震え、顔や瞼が膨張してるみたいだし、
喉の奥がキューっと狭まってゆく感覚が
あって、あーーーーーどうしよう、
どうなっちゃうんだ私ーーー
とパニクってたその時。

家のブザーが鳴ったので、フラフラになりながらドアを開けると
歩いて2分程のところに住む近所の友達が、アドレナリン注射を持って入って来た。
夫が連絡を入れたんだろう。
やることは一つ、わかっている。
間髪入れず、「準備はいい?」と
彼も一つ大きな深呼吸をして、太ももに
ブスっと一発。

打ち終わったところで、夫も到着。

夫に電話を掛けてから、1分後には注射を打ち終わって居たので
その友達がどれだけ迅速に駆けつけてくれたのか、
今思い出しても胸が熱くなる。

それからはアドレナリン効果で恐ろしいほどガタガタと震えはじめ
横になりながら救急車待ち。

五分もかからず救急車が到着。

救急隊員が何人か土足でズカズカと入って来て、心電図を図る装置を
付けはじめ、血を抜いたり点滴刺したり、色々と応急処置をしている様子。

少し落ち着いたところで、自分でも起き上がって歩けるようになったので
今度はその足で救急車に乗って、病院に行くことになりました。

救急センターには担架で運ばれ、診察ベッドに寝かされたんだけど
とにかくアドレナリンの効き目がすごくて、痙攣みたいな全身の震えが
30分ぐらい止まらなくて、ベッドに括りつけられる始末。

それからしばらくして一般の病室に移され、点滴をされながら一晩過ごしました。

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ドイツの病院食。これ夕食だから!(涙)

翌日、何事もなかったかのように自宅に
戻る。
あったのは小指の付け根にある、虫刺され程度の赤味のみ。
刺された箇所は通常、尋常じゃない腫れ方を
し、数日間痛みに苦しむのだけど、
今回はアレルギー症状となって全身に出たので、刺し傷の痛みは翌日には無くなっていた。

人体の不思議。

あんなに小さくて可愛い蜂さんが、時には人間を死に至らしめる程の
猛毒を備えてるなんて、知ってはいたけど、まさか自分の身に起こるとは!

大惨事だったけど、この事ではっきりと蜂アレルギーがあると言うことが
分かったし、何より養蜂だけでなく、今後生活して行く上で、絶対に
知っておくべきことが知れて良かったです。

命掛けだったけど。

これが、私達がよく旅で行く僻地や山の中などで起こっていたらと思うと
背筋が凍ります。。。

ちなみに、アドレナリン持参で駆けつけてくれた命の恩人とも呼べる
友達も、実は3年前にうちの庭で蜂に刺されたことがあって、
その時も救急車が来る大惨事。
彼の場合はあと10分遅かったら。。。
というぐらいの緊急事態でした。

彼も過去に何度か蜂には刺された事があったけど、まさか自分になんて!
の人で、あれ以来アドレナリン注射を常に持ち歩く生活です。

このアドレナリン注射はエピペンと言って、日本では食物アレルギーなどで、
アナフィラキシーの発作が出てしまう恐れがある人などにも処方されています。

ということで、どんなに気を付けて居ても
養蜂をしていれば蜂に刺されることは
付きものなんですが、私は自分の体験を
踏まえて、養蜂に携わるなら1度は必ず
アレルギー検査をすることを強くオススメ
します。

そして万が一、自分やそばにいる誰かが刺された場合を想定して
応急処置で活かせるそれなりの薬を携帯しておくと、少しは安心かなと思います。

大分長くなったので、後半ではその後の検査の様子と、ドイツで行われている蜂毒の
免疫療法について書いてみようと思います。