睡眠

今回は「睡眠」🛌についてお話ししていきます。

アスリートにとって睡眠は、リカバリー(疲労回復)やコンディションを整えるために重要です。

・ノンレム 睡眠とレム睡眠

体をリカバリーするためには、睡眠中に分泌される「成長ホルモン」の働きがポイントになってきます。成長ホルモン=子供の頃しか必要ないのでは?というイメージが強いかもしれませんが、実は激しい運動で傷ついた細胞や筋肉の修復、正常な新陳代謝の促進など、重要な役割を担っています。

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠中はからだが休息している状態。記憶の整理や定着、技能の習熟などが行われています。ノンレム睡眠では前述した成長ホルモンが分泌され、体組織の修復や免疫機能の増強が行われます。
眠りにつくとノンレム睡眠から始まって一気に深い眠りに入り、徐々に眠りが浅くなってレム睡眠へ移行。このサイクルが一晩に4〜5回繰り返されます。スッキリ目覚めるためには、脳が起きて覚醒しやすい状態の、レム睡眠時に起きるのが望ましいです。

・充分な睡眠で競技中の精度が向上
睡眠に関する研究で、スタンフォード大学バスケットボール🏀部員におよそ1ヶ月半の間、毎日10時間以上の睡眠をとるようにさせたそうです。結果として、

▶︎スプリント(コート1.5往復)タイム:16.2秒→15.5秒
▶︎フリースロー成功率(10本中): 7.9回→8.8回(↑9.0%)
▶︎スリーポイント成功率(15本中): 10.2回→11.6回(↑9.2%)
▶︎日中の眠気、疲労や怒りなどの感情が著しく減少

この結果から、毎日長く眠ることでシュート成功率もスプリントの数値も上がり、競技中のやる気が出るようになっていることが分かりますね。
また、アメリカの睡眠指導プログラム専門企業がアメフトの米強豪大学と契約し、選手達の睡眠の質や時間を測定・分析等する導入実験が行われました。4ヶ月間の実験で、充分な睡眠を取ると受傷リスクが約70%風邪を引く確率が30%減少、またフットボールでは40ヤードダッシュのタイムが10%短縮し、フィールドゴールのキック精度は20%向上したことから、精神的なエラーが半減しています。
※1ヤード=0.9144m

上記2種類の睡眠研究結果から、充分に睡眠を取ることは競技パフォーマンスの向上だけでなく、怪我の予防や精神面の安定にもつながっていることが分かりました。

・睡眠時間と怪我の関係

睡眠時間はケガの発生と有意な相関があり、1日最低8時間の睡眠で受傷リスクが60%以上低下したというデータもあります。ちなみに、世界一流のアスリートは“よく寝る”と言われています。サッカー界のスーパースター、リオネル・メッシ選手やクリスティアーノ・ロナウド選手は、1日に昼寝を含めて10~12時間睡眠を取っているそうです。逆に、睡眠時間が短い選手はケガをするリスクが高いと言われています。

・良質な睡眠を確保するためにできること

①寝る前の携帯チェックは内容に注意⚠️
寝る直前にゲームをしたり仕事のメールなどを見ると脳が興奮状態になってしまい、覚醒しやすくなります。就寝したい時刻の15分前(あるいは入眠までに要する時間)までには布団に入って眠る体勢を整えましょう。

②就寝3時間前には夕食を済ませる
就寝時には消化活動が終わっていることが理想です。食事後すぐに寝てしまうと、消化のために胃や腸が動いてしっかり体を休めることができなせん。眠りが浅くなったり、疲れが抜けにくくなる原因にもなります。

③就寝90分前には入浴🛁を済ませる
入浴によって一時的に上がった深部体温を下げてから布団に入ることで、寝つきが良くなります。

④睡眠の環境を整える
理想的な寝室な温度は16〜26℃と言われています。夏は26℃望ましく、28℃を超えると睡眠の質が低下します。一方、冬は16〜19℃が適温で、湿度は50〜60%が理想的です。

⑤朝食はしっかり食べ、夕食にはタンパク質を
朝食は体を目覚めさせたり、日中動くためのエネルギーになります。夕食にタンパク質をしっかり摂ることで、身体の修復材料や良質な睡眠に不可欠なセロトニンの材料となります。

⑥起床時間は変えない
起床時刻を一定にすることで、行き当たりばったりの時間に眠ることが避けられます。起床後は朝食を摂り、太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされます。

⑦昼寝は最大20分までに
睡眠がきちんと確保できなかった人には短時間の昼寝が効果的です。長く寝すぎると夜の寝つきに影響するので、10〜15時の間に最大20分ほど昼寝するのがベスト。

まとめ

ここまで長々と書きましたが、大切なのは、自分にとって最適な睡眠時間を知り、正しくしていくことです。睡眠の質を上げるために一気に生活習慣を変えることは大変だと思います。例えば、いつもの睡眠時間より15分長く寝るために、入浴や夕食はいつもより数十分早めに済ませるなど、少しずつであれば生活を変えることができると思います。充分な睡眠をとることは体と心の疲れを取り、パフォーマンスを向上させることに繋がります。今日からできることを試してみてはいかがでしょうか。

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