BTSのダンスを深掘る ~1人でも欠けてはいけない理由~
今、全世界から熱烈な愛を受けるBTS
その理由の1つとして"個性豊かな7人"というのは絶対に外せない要素です。
リーダーのRMはそんなBTSの事を
"さまざまな食材が入り、混ざると素晴らしい料理なる『ビビンバ』のようなグループ"
と例えていました。
人柄はもちろん、作り出す音楽やファッションも非常に個性的です。
そして、それはダンスやパフォーマンスにおいても例外ではなく、ダンススタイルも1人1人がメンバー内の誰にも似ていないのです。
そんな個性豊かな7人でありながら1組のグループとして迫力のあるパフォーマンスでオーディエンスを沸かせます。
今回は、それぞれのダンスの個性に沿ってBTSというグループ内に置いての彼らについて
つまりBTSというビビンバは1人1人がどの様な素材なのか、どの様な役割を担っているのか
と言う点にスポットを当ててお話していきます。
以前、こちらのnoteに
"1人でもかけてはいけない理由 ~それぞれの役割~"
と言うテーマでお話しました。
今回はこちらのグレードアップ版の記事となります。
内容が重複している部分が多数ありますがもう少し深く掘り下げていきます。
影の支柱 ~JIN~
JINは全員が揃って踊るシーンで、基本的に後列にいることが多いです。
VやJungkookと同じぐらいの背丈ですが、肩幅が広く顔が小さいのでBTSの中でもかなり高身長に見えます。
その為、全員が揃っているフォーメーションの時にメンバー内で1番身長が高くスタイルも比較的JINと似ているRMとシンメ(対象)で後列の位置になる事が多いです。
その効果で全体のバランスがとても良くなります。
例えば、『Boy In Luv』のVパート、ピラミッド型のフォーメーションが当てはまります。
(0:58~)
奥に長いピラミッド型なので、JIN(右端)とRM(左端)がシンメだと身長のバランスが良いのが分かります。
また、『Boy With Luv』の冒頭もピラミッド型のフォーメーションですが
縦ではなく横に広めのピラミッドになっており、1番前の頂点にいるVを挟む形でJINとRMが立っています。
このシーンは激しく踊るのではなく小さな動きのドラマチックなパフォーマンスなのでこのフォーメーションのバランスの良さがその演出を際立たせており、綺麗で見やすくなっていると私は思います。
BTSの様なグループパフォーマンスをする集団にとって、JINのダンススタイルと後列の位置は相性が良いです。
私がそう思う理由は2つあります。
1つ目は
JINは"振り付け"と"音楽"、どちらに対しても誠実に踊るからです。
BTSは超が付く個性派集団でデビュー前からダンスを極めていたJ-hopeとJIMINに関しては全く対極の踊り方だと言っても過言ではありません。
その超個性派集団の後ろに、JINの様な正確で誠実に踊る人物がいることで、グループのパフォーマンスがまとまっていると私は感じています。
例えば、『FAKE LOVE』のサビ前の両手で押さえるような振り付け
(1:27~)
同じ振り付けを踊っていても、ヒットの打ち方やストップの強さがそれぞれ違います。
しかし、センターの右後ろにいるJINはヒットや勢いで激しくストップをせず、しっかり音に合わせてピタッとストップしているのが分かりますでしょうか。
このストップの仕方は視覚的にスッキリとして見えます。
センターの真後ろにJINがいる事で、バラけて見えずまとまって見える要素になっていると私は思います。
JINの誠実な踊り方についてはこちらの記事に詳しく記しましたので興味がありましたらご覧ください。
そして、JINのダンススタイルと後列の位置は相性が良いと感じる2つ目の理由は
素早く移動し、しっかり次の位置につくことができるからです。
前述した通りJINは後ろの位置にいることが多い為、移動量が最も多いメンバーと言っても過言ではないです。
後列からセンターへ移動することはザラですし、後列の端から反対側へ移動していたりと、かなりの距離の移動をこなしています。
ARMYの皆さんはBTSのパフォーマンスを思い出してみてください。
「JINくん、移動が苦しそうだな〜…」
と思う事はあまりないのではないでしょうか。
もちろん、「めっちゃ移動してるな〜」と思う方はいらっしゃると思いますが基本的にはスムーズに、少なくとも大変そうに移動していない印象です。
実際に見てみましょう。
『IDOL』(0:14~)
他のメンバーが、音に合わせてしっかりとステップを踏めている中でJINは後列から反対側の前まで移動しています。
ステップを踏むまでの余裕はないものの音に合わせた歩数で移動しており、体制を下げるまでにはしっかりと位置についています。
これだけの移動量があれば踊っている途中にチラッと次の位置の方向を見てもおかしくないのですが
移動の直前に方向を定めて進んでいるのを見ると、チームワークの良さやJINの安定感が伺えます。
『Mic Drop』のサビ前も同じことが言えます。
(1:35~)
このシーンでも早いビートに合わせて移動しています。
前列から人と人の間をすり抜けて後列へ移動するのは怖いと思いますが正確に移動しており、次の振り付けに間に合わせることができています。
この様に、YouTubeでパフォーマンスを見ている途中に2回ほどスキップすると全然違うところにいるようなJINの移動量を、この安定感でこなせているのは、足の長さや構成を付けた上での変更などもあると思いますが、苦しく見えない様な振る舞いや練習によるものではないかと思います。
JIN 1人だけ明らかに移動しているシーンでも、JIN 1人だけが目立つことがない
このスキルは、グループパフォーマンスに置いてとても重要な事です。
グループパフォーマンスには、グループパフォーマンスならではの大切な要素がたくさんあります。
グループとしての調和やフォーメーションのバランス、踊り方の強さのバランスや移動のスムーズさなど…
強さや表現方法が異なる彼らを後ろから安定したテンションとダンスで支えられる
そんなJINのダンススタイルはBTSという個性派集団には必要な柱だと私は考えています。
それが、JINを"BTSの影の支柱"と呼ぶ理由です。
スパイス ~SUGA~
SUGAはラッパーなので近年の楽曲ではパートが少なく、比較的センターにくる時間は短いです。
そして、たまにセンターに立つ時間が重要な役割を担っており
その時間こそがBTSのパフォーマンスのスパイスになっていると私は考えています。
SUGAのパフォーマンスには、ラップをする時のジェスチャーと振り付けの切り替えがスムーズという特徴があります。
例えば『Mic Drop』のSUGAパートを見てみると
途中に後ろで踊っている2人と少しだけ動きを合わせ、またすぐにジェスチャーをしています。
この様にジェスチャーと振り付けの切り替えに違和感がなく、視聴者の集中力やパフォーマンスの勢いが切れることなく楽しめるのがSUGAのパフォーマンスです。
この少しだけ他のメンバーと動きを合わせる構成はよく使われており、SUGAの長所が存分に生かされている筆者も大好きな構成です。
SUGAは、自分のパート以外で振り付けを踊る時はクリアな動きと綺麗なシルエットで踊りこなすクセの少ないダンススタイルです。
その点ではJINの安定感に通ずるものがあると思います。
しかし、自身のラップに合わせたジェスチャーとなれば話は変わります。
特に放送のパフォーマンスやLIVEの時などで、その日のテンションをそのままジェスチャーで表現することができる人物です。
例えば、2018年のMAMAで見せた『IDOL』のパフォーマンス
MAMAはどのアーティストもパフォーマンスにボリュームがあり、アーティストの気合の入り方も一味違う印象を受ける授賞式です。
このパフォーマンスのSUGAパートがこちらです。
(1:41~)
ジェスチャーの手の動きが、観客に対するアクションの様にも見えますし
前へステップで移動する振り付けやキックもジェスチャーの一部の様に踊っています。
個人的にはとても感情的に見えています。
この振り付けも他のメンバーと少し動きを合わせる構成なのでパフォーマンス全体を見ても、この時間はステージがSUGAのフィーリングに染まっている様に思えます。
そしてもう1つ、『The Tonight Show』で見せた同じ『IDOL』のパフォーマンスを見てみましょう。
先ほど見たMAMAよりもステージが狭く、バミリ(出演者の立ち位置)もタイトにしていると思います。
(0:38~)
この少し狭い空間では、ステップをハッキリと踏みながら前に進み、最後も手も置くように刻んでいます。
先ほどのMAMAのステージでは感情が見える動きをしている印象でしたが、The Tonight Showでは確実で分かりやすい動き方をしている様に思えます。
おそらく客席も近いので、最後のジェスチャーで見せた余裕な表情もしっかりと客席から見えているでしょう。
この空間だからこそ楽しめるパフォーマンスになっていると思います。
SUGAのパフォーマンスはその日の空間や観客の熱量、その日の気合やコンディションだからこそ完成しているパフォーマンスであり
パフォーマンスごとに表現方法や感じる熱量が異なります。
もちろん、毎度違うパフォーマンスを見せるという点はSUGAに限ったことではありませんが、SUGAはその日のステージや状況を巻き込み全部まとめて自分のパフォーマンスを輝かせる武器にする事に長けていると私は思います。
授賞式でのパフォーマンスか放送でのパフォーマンスかLIVEでのパフォーマンスか、有観客か無観客か、ARMYだけの前か他のアーティストのファンもいる前か、など
彼らは様々な状況でステージをこなします。
また、K-POPの活動はカムバックしてから新曲の披露を短いスパンで行う為、連日同じパフォーマンスをするグループに視聴者を飽きさせない要素は何個あっても困りません。
同じパフォーマンスをする上で衣装やステージだけでなくSUGAの様な唯一無二の表現を持つ人物がいるのはBTSの強みになります。
SUGAが毎度味が違うスパイスで味付けをしてくれるのも、BTSのステージを連日飽きずに楽しめる要素になっているのではないでしょうか。
パフォーマンス隊長 ~J-HOPE~
言わずと知れたパフォーマンス隊長、J-hope
ARMYのみなさんはご存知の通り、J-hopeはデビュー前からダンスを極めており高いスキルとダイナミックな動きでパフォーマンスに見応えを与えてくれます。
"パフォーマンス隊長"と、もうひとつ "見応え担当"とも言えるでしょう。
まずはその、"見応え"についてお話ししていきます。
BTSの楽曲には歌詞がないシーンやダンスブレイクなど、パフォーマンスだけで魅せる事が多々あります。
その中でも、J-hopeは授賞式ならではのパフォーマンスやダンスブレイクの時に重要なポジションにつく事が多いです。
例えば、2016年のMAMAで見せたパフォーマンスではJ-hopeは先陣を切ります。
(0:48~)から、J-hopeのソロ曲『Boy Meets Evil』のソロパフォーマンスが始まります。
MAMAの広いステージで、バックダンサーや小道具がない、身一つのパフォーマンスです。
広いステージに映える体を大きく使う振り付けですが、刻む様な動きも盛り込まれている難易度が高い振り付けです。
特に(1:06)から、ストップでラップを表現しています
下半身を固定し、顔の向きをハッキリと変え、シルエットも明確です。
ダイナミックな振り付けの中でもハッキリと踊るスキルを持つ彼だからこその序盤から観客の心を鷲掴みにしており、"これからBTSのパフォーマンスが始まるぞ"と言わんばかりの素晴らしいステージだと感じます。
また、『Butter』のダンスブレイクもJ-hopeのソロから始まります。
長い"溜め"から始まり、足を下ろしながら手を上げてくる振り付けです。
手を上げてくるときに手をバラバラっと動かしているのがハッキリと見えますし、足を下ろすスピードも音に合わせています。
"溜め"が長い振り付けは、締まりがなくグダっとして見える事があるのですがその様なことは一切なく、むしろ勢いのあるサビの後にくる"溜め"なので緩急がついて楽しい構成です。
ダンスブレイクは基本的に8カウント×4という長さですが、Bttterのダンスブレイクは4カウント×4と少し短めです。
あっという間に終わってしまう長さですが、最初の"溜め"による緩急がしっかりと"ダンスブレイクらしさ"を印象付けていると私は感じます。
ここでも"心を掴むパフォーマンス"をしているわけです。
そしてもうひとつ、彼はBTSの"パフォーマンス"というカテゴリーに置いて高いリーダーシップを見せています。
振り付けやパフォーマンスに対して細かい指示を送る人物以外に、パフォーマンス隊長という役割をBTSのメンバーであるJ-hopeが担っているのには大きな意味があると私は感じています。
7人という少なくない人数で同じステージに上がりパフォーマンスをするのには、必然と物理的なリスクが生まれます。
先ほどJIN編でお話しした
踊っている途中にチラッと次の位置の方向を見てもおかしくないほどの移動量や
前列から人と人の間をすり抜けて後列に移動する構成
これらだけでなく、パフォーマンスの構成というのは視聴者の印象よりもかなり複雑です。
例えば『Mic Drop』のJIMINパートの直前は次に踊る3人を囲うように他のメンバーが反対に走っています。
(1:24~)
本人たちはかなり移動していますが、見た目はメリハリが付きむしろ見やすくなっていると思いませんか?
複雑な構成で、ぶつかることなく次の位置に到着できる様にするには、実際にやってみて距離感を掴み微調整したり
他のメンバーが遠くに行ける様に1秒間だけ道を開ける為のタイミングなどを練習しないといけない事が多々あると思います。
同じフィールドに立っているからこそ、自分の立ち位置と他のメンバーの距離感を掴むことができ、同じ目線で話し合うことでタイミングや移動の仕方などを合わせることができます。
動画や第三者の見え方だけでなくパフォーマーが話し合うことは、距離感を掴むのに重要なことです。
しかし試行錯誤が必要だとしても練習時間は有限です。
実際に踊っているメンバーがメンバー内でコミュニケーションを取りやすくするには、J-hopeの様なパフォーマンスのリーダーがいることで話し合いが格段にスムーズになります。
では、なぜJ-hopeなのでしょうか。
J-hopeはデビュー前からグループで踊っていた経験がある為、グループパフォーマンスの練習にある程度慣れていると思います。
そして圧倒的なスキルを誇る彼だからこそ、振り付けにいっぱいいっぱいにならずに周りを見渡す事ができている印象です。
移動が思ったよりスムーズにいかなかった時にどの様に動けば動きやすくなるかを提案できる人物なのではないでしょうか。
実際にステージに立つからこそわかることが沢山ある中で、メンバー1人1人をしっかり見て意見を出す事ができるJ-hopeの様な人物は、複雑な構成をこなすBTSの様なK-POPグループにとってパフォーマンスの質を向上させる鍵になります。
ビハインド映像やMemoriesなどの有料映像を見ているとJ-hopeが他のメンバーに、踊りについてのアドバイスをしたり、団体練習の時もよく前に立って歌いながら周りを見渡しています。
その際に、一段と大きな声で音を強調したり
歌だけでなく取るべきビートも強調しながら声を発している事が多々あります。
個人が個性的な踊りをするBTSでも、揃ったパフォーマンスを完成させる為に"ここはしっかりと体制を下げる" "ここはピタッとストップする"などのポイントをJ-hopeはすぐに理解し分かりやすく的確に伝えているのだと私は考えています。
ステージに上がれば、心を鷲掴みにする見応えのあるダンスをし
ステージから降りた練習場では、高いリーダーシップでパフォーマンスのクオリティを上げるパフォーマンス隊長
J-hopeは真のパフォーマンス隊長であり他に変われる人はいないと私は思います。
メッセージ ~RM~
私が思うRMの"役割"を伝える前に、まずは彼のダンススタイルの魅力についてお話したいと思います。
RMのダンスは、振り付けのポイントをしっかりと抑えているところが魅力的です。
まずは『Black Swan』のVパートの振り付けを見てみましょう。
(0:52~)
ウェーブを通した後に2回シルエットを変えて胸を弾く振り付けですが
シルエットの変化が非常に分かりやすく、胸を弾き方もヒットなどは入れずにクッキリと表現しています。
そして『Butter』のサビ前の順番に正面にアクションを取る振り付けも分かりやすいです。
(0:29~)
1番最後にアクションをしているRMは、跳ね上がった声に合わせた分かりやすい動きでアクションをしています。
サビ前の区切りとしてメリハリがついており、バラエティ要素があり楽しい印象を与えていると私は多います。
JIN編でもお話した通り、RMとJINは後列でシンメになる事が多いです。
この様な端的でコレオのポイントを掴みやすいダンススタイルのRMが全体を通して忠実に踊るJINとシンメになることで引き締める効果が生まれていると感じています。
そのダンススタイルもRMの魅力ですが、私が思う最大の役割は"メッセージの伝達"をパフォーマンスで表現するところです。
RMはBTSのリーダーであり英語が堪能な為、海外のインタビューに答えることも多く、繊細でありながら説得力のある言葉を数々残してきました。
「国連のスピーチに感銘を受けファンになった」
と言う声も多く見かけます。
BTSが作り出す楽曲は人間らしい歌詞が特徴でもある為、作り込まれたコレオだけを踊るのでは、歌詞に比例する人間らしさを表現し切れません。
その上で、RMはメッセージを体現する役割を果たしていると私は考えます。
Butterのラスサビ前にメンバーが作る『ARMY』の文字を背負っているのもRMです。
近年の楽曲に置いてRMのパートは多くないですが、重要なシーンでRM1人が目立つ演出が多い印象です。
分かりやすい例は『Dionysus』です。
冒頭のRMパートは他のメンバーが椅子に座り踊っている中で、RMが1人机の上に立ち、仕草がメインのパフォーマンスをしています。
(0:22~)
他のメンバーが座っているので、机に立っているRMは特に目立っています。
重要なのは仕草がメインのパフォーマンスだという点です。
この目立った演出であえて激しく踊るのではなく歩いたり杖をつく演出をしており、ラップのジェスチャーとはまた一味違う雰囲気が完成しています。
この様なパフォーマンスは、立っている人物の人間性の部分が直接伝わる、オーディエンスの心を揺さぶる演出だと私は思います。
ダンスはステージを彩る為に必要なものですし、特にK-POPではアーティストにダンススキルの高さが大いに求められるほど重要な要素ですが、本来ダンスはコミュニケーションを取るツールでもあるというのがRMのパフォーマンスを見ているとよく分かります。
また、RMのパフォーマンスについて語るのに欠かせないのは『ON』のRMパートです。
(0:46~)
首を傾げる仕草、指をさす仕草、ジャケットを直す仕草など、仕草で魅せています。
散りばめられたちょっとした仕草が人間らしさを表現している重要なシーンです。
おそらくBTSを知らない人でも、このRMを見たらBTSのリーダーだという事に納得するのではないでしょうか。
BTSの生みの親であるパン・シヒョクPDは、BTSと初めてのアルバムを作る際に
「防弾少年団の楽曲は、防弾少年団の内面の話でなければならない」
と要求したそうです。
BTSはその言葉通り、彼らの内面の話を楽曲を通じて語りかけていますが、時を経てその思想がパフォーマンスにも映し出されている様に感じます。
RMのパフォーマンスは、彼がBTSのリーダーであり、私たちファンに語りかけ、世界にメッセージを訴える、BTSの代表的存在なのだと示しているかの様です。
仕草で貫禄や威厳を示すことができる
つまり、RMは人間らしい主張を体現できる人物だと私は思います。
ムードチェンジャー ~JIMIN~
JIMINは、柔軟で伸びのあるダンスで難しい振り付けもしなやかにこなしますが、力強さも兼ね備えており、そのスキルを使いこなし独特な雰囲気を醸し出すメンバーです。
J-hopeと並び特に個性的なダンススタイルだと思います。
JIMINもJ-hope同様にダンスブレイクなどのダンスをメインに見せるシーンで重要な役割に就く事が多々あります。
例えば、『FIRE』の"伝説の333"と呼ばれるこちらのシーンでJIMINがセンターに来ます。
(2:50~)
FIREの終盤に、JINパートで楽曲の盛り上がりが少し落ち着いた後に再び盛り上がるシーンです。
速いステップが特徴の振り付けですがJIMINは特に強く首のアイソレーションで4つのビートを刻んでいます。
また、Practiceの動画を見てみるとJIMINは特にステップを広い範囲で踏んでいるのが分かります。
(2:42~)
右足はかなり遠くまで、左足も足の位置が変わるくらいしっかりとステップを踏んでいます。
しかし上半身がブレる事なく首だけを動かしている為、体の高さが変わっていません。
細かい振り付けでも忙しい印象を与えず、芯のある踊りで少し不思議な動きに見えますよね。
そんなJIMINがセンターにいる事で、全体的にトリッキーな表現と盛り上がりがうまく融合しており、終盤でも勢いが止まることなく満足感のある見応えを残しています。
その観点でもう1つピックアップしたいのが『Not Today』のラスサビです。
(4:08~)
この時も首の動きと手の動きが差別化されていながら足をしっかりと踏んでいます。
上記抜粋した2つは、タイトな振り付けの中にそれぞれの部位を細かく動かす要素が散りばめられているという共通点があり難易度が高い振り付けです。
JIMINは体の稼働範囲が広い上に体感がしっかりしている為、タイトな振り付けでも全ての細かい要素をクリアし、そこに自身の個性も加え独特な世界観を表現していると私は思います。
他にも、IDOLのラスサビや피 땀 눈물 (Blood Sweat & Tears)のラスサビ、ONやN.Oのダンスブレイクの最初など
楽曲の終盤に差し掛かかった時に、再度盛り上げたい場面でJIMINがセンターになる事が多いです。
その効果で、中だるみしそうな時にグッと世界観を引き締めたり、時に変化させることに成功しています。
1曲まるまる振り付けるのが当たり前なのがK-POPのパフォーマンスですが、1曲を通して飽きさせないのは実はすごく大変です。
個性的で華があるJIMINがセンターに来ることで雰囲気が変わり、改めてエンジンをかけ引き締めていると個人的には思います。
それだけに留まらず、『Black Swan』の様な今までに無い独特の世界観のコレオも繊細に、圧巻のパフォーマンスで色付けます。
JAZZやモダンの要素が盛り込まれたパフォーマンスをあれほどまでに本格化できるのは間違いなくJIMINの表現力があるからこそだと私は考えています。
幅広いジャンルの音楽をリリースするBTSのコレオだからこそ
現代舞踊の経験から得た独特な雰囲気
練習生時代に血の滲む様な努力で手に入れた幅広いジャンルのスキルによる適合能力
これらを持ち合わせたJIMINの様な表現者は今やBTSのパフォーマンスに必要不可欠だと言っても過言ではないでしょう。
楽器 ~V~
Vの魅力は、『音へのアプローチ』にあります。
Vのダンススタイルはとてもナチュラルです。
難しい不思議な動きや複雑な音の取り方はあまりしません。
そのナチュラルな踊り方が視聴者に心地よさを与えてくれるダンススタイルだと言えます。
自然な動きで、彼の耳に聞こえている音楽を視覚的に見せてくれる
それがVの最大の長所です。
例えば、2019年Lotte Family Concertでの『Best Of Me』
J-hopeパートで後ろにいたメンバーが前に出てくるシーン
(2:38~)
こちらのVの音の取り方に注目して見てください
この時、軽いヒットで小さなビートを3回刻み、その後にJ-hopeの声に合わせたジェスチャーのような動きをしています。
ヒットの強さと音の雰囲気もマッチしていますよね。
観客があまり意識しない音をナチュラルな動きで表現しています。
Vが見せてくれる"音"については紹介したいシーンが沢山ありますが…
こちらの記事にもう少し詳しく記しましたので興味がありましたらご覧ください。
Vは音だけでなく、楽曲の雰囲気も心地良い踊りで表現します。『Dynamite』のVパートは特にそれを物語っています。
Dynamiteはディスコのフレーバーを感じさせるソウルダンスのステップが取り入れているスタイルです。
Vの柔らかい動き方と楽しさを表現している仕草はこのパートにぴったりだと感じます。
サビのVパートも、ディスコを思わせるシルエットで音楽の雰囲気に対するアプローチがバラエティに富んでいる事が分かります。
(2:05~)
そして、SUGAパートのステップの、VとJIMINの違いに注目してください。
(1:16~)
隣にいるJIMINと比較した時、JIMINは微動なヒットを使いピタっと止まっていますが、Vはグ〜っと手を押し付けるように動かし柔らかい雰囲気で踊っているのが分かります。
この場面は、"ラップの韻の部分で手を下に置く"という振り付けだと思います。
その為、JIMINは韻の部分でカチッとストップしていますが
Vは"韻"を取るというよりはSUGAの"声の流れ"に合わせて踊っている様に思えます。
また、先ほど抜粋した『Best Of Me』の(3:08~)
楽曲の終盤、盛り上がりの絶頂の時に全員が密になり揃った振り付け
この時のVは、状態を後ろにする際の首の振り具合が強く、右手の動かし方も状態が後ろになると同時に自然に前に出しており
ドラマチックな盛り上がりを表現していると私は感じます
この様なフィーリングを見ていると
Vがダンスという楽器を使って音を奏でている様な、そんな感覚に包み込まれます。
JIMINやJ-hopeの様な複雑な音どりやダンスとして見応えのあるスタイルとはひと味違い、曲や音の雰囲気をシンプルでナチュラルなダンスで見せる
それがVのパフォーマンスの魅力です。
多くのリスナーを持つ大衆音楽というカテゴリーでダンスパフォーマンスしているという観点では
確かに存在するのにあまり意識しない音を視覚的に見せてくれたり
音楽の雰囲気をナチュラルなダンスで視覚的に見せてくれる
その、見る側の目に馴染むダンススキルを持つVは、視聴者に音楽を見せてくれて、心地良さを与えてくれる存在だと私は考えています。
それが私の思う
BTSの中にVがいることで増す魅力です。
黄金のセンター ~JUNGKOOK~
Jungkookの役割はもちろん『センター』です。
個人的には、彼以上にセンターに相応しい踊りをするメンバーはいないと考えています。
Jungkookは、スキルフルでシンプルな見やすいダンスをしますが、力強くパワフルだというのがポイントです。
主観ですが、パワフルに踊る様に意識しているというよりは比較的デフォルトで踊り方が力強いというのが彼の長所だと思います。
その長所がよく分かるのが3J (J-hope , JIMIN , Jungkook)で見せた『Butter feat.Megan』でのパフォーマンスです。
Jungkookは振り付けのポイントとなる部分を強くはっきりと踊ります。
例えば1番最初の「So smooth」の歌詞で手を鼻をかすめる振り付け
手の動きがクリアでビートにピッタリ合っているのでビートが明確に見えますし、「So smooth」に合わせて軽く飛んでおり着地の瞬間がハッキリ分かります。
「Big boss」の歌詞に合わせたポーズも、固く強い動きで踊っています。
そしてその後に移動し、次の位置に着いた時
強いヒットを入れてから次の動きに移っているのが分かります。
極端な例えですが、"振り付け"を"線と点"に例えた時、彼のダンスは"点"が非常に分かりやすいです。
ここで言う"点"は上記で抜粋した2つと同じ強いビートを取っている振り付けだと思ってください。
これがJungkookの踊りが見やすく力強いと感じる理由の1つです。
彼の個性の力強さについてはこちらの記事にも記しています。
Jungkookはメインボーカルでありダンスラインなので、センターに立つ事が非常に多いです。
冒頭にセンターに立つ、または1人で踊り始める楽曲は『DNA』『IDOL』『Dynamite』『Butter』などが挙げられます。
BTSのパフォーマンスは、基本的に序盤から激しい振り付けはしない印象です。(FIREなど例外のパフォーマンスもあります)
IDOLの様な激しいHIPHOPスタイルでも、序盤は落ち着いています。
その事を念頭に置き、まずは『Butter』を見て見ましょう。
1人ずつ列から抜けて行き、最後尾のJungkookが踊り始めます。「Smooth like butter」の歌詞に合わせて前に進む振り付けです。
3つの単語のポイントで大きく前に進み、手も「Smooth」で口を拭い「like butter」で払っているのがハッキリと分かります。
先ほど、Jungkookは"デフォルトで力強い踊り方"だと表現しました。
冒頭のあまり激しくない振り付けを、抜け感や緩さを感じさせないJungkookの踊り方で踊ると、振り付け自体に激しさはなくともしっかりと締めてくれていると私は感じます。
また、見応えのある群舞を見せたい時にもJungkookのセンターは映えます。
ピックアップしたいのは『ON』のダンスブレイク
(3:44~)
このダンスブレイクは、2つのユニットが踊った後に全員が揃ってパフォーマンスをする構成になっていますが、8カウント×4もずっと同じ構成で踊り続ける少し珍しい構成です。
8カウント×4という短くない時間ずっとJungkookがセンターです。
彼の圧倒的な体力と一瞬の隙をも見せない表情管理、そして安定した勢いのあるダンスはこの長いダンスパフォーマンスを安心して任せられる人物だったのではないかと個人的には思います。
楽曲の終盤に長くパフォーマンスをするこのシーンで、Jungkookがセンターに来ることは
まとまりを生み一瞬たりとも勢いが落ちないパフォーマンスに仕上げている重要な要素だと私は思います。
スキルフルでかつパワフルなダンススタイルと圧倒的な集中力、体力を持つ人物はBTSの様な大衆音楽に分類されるアーティストグループの中では重宝する存在です。
グループでのダンスパフォーマンスで、常に複雑でトリッキーな作品を見ていると時に胃もたれしてしまいます。
しかし、シンプルで柔らかい動きだけだと物足りません。
弱くなく、強すぎない
そんなJungkookは、振付師やパフォーマンスチームが安心してセンターを任せられる存在だと思います。
さいごに
ここでは、BTSのパフォーマンスに置いて
"なぜ1人でも欠けてはいけないのか"
というテーマに沿ってお話ししていきました。
振り付けと音に対して誠実に踊りその安定感でパフォーマンスを支える
JIN
日によって全く違うスパイスを加える
SUGA
ダイナミックに踊り大きな見応えとインパクトでステージを魅了する
J-hope
歌詞に比例する人間らしさを体現する
RM
幅広いスキルと表現力で世界観を変化させる
JIMIN
音で遊び音を奏でる
V
個性あふれるメンバーの真ん中に立ち、力強く踊り切る
Jungkook
7人という少なくないメンバーが、それぞれ個性的でそれぞれが大きな役割を担っています。
ダンスというカテゴリーにおいても誰1人として欠けてはならない、奇跡のバランスで成り立っているグループだと常々感じます。
7人が個人でありつつ、1つである
だからこそ、パフォーマンスだけでなく楽曲やバラエティに置いても様々なスタイルのエンタメを披露する事ができ、沢山の人の『好き』が詰まったグループなのだと改めて思います。
これからも、個性あふれる7人の化学反応から生み出される新しい『好き』を見つけていくのが楽しみです。
長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました。
冒頭でもお伝えした通り、ここに記した内容は私自身の
個人的見解、個人的な考察となります。
誰かの楽しみが
誰かの好きが
膨らんでいます様に...
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メンバーの個性についてもっと詳しく書いた記事はこちら☟
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