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大学時代の添い寝フレンドに2年ぶりに会いに行った話【前編】

前回ダラダラと書いた元添い寝フレンドのA君の話


大学時代になんとなく特別な相手だと思い込んでしまって、恋人がいるのにも関わらず今もなお拗らせている相手だ。


卒業してからの2年で会った回数はなんとたったの2回。

社会人になりたての時に研修がようやく休みになった、2019年のGWが1回目。

そして2021年の4月、つまり最近が2回目。


今までごく親しい友人にしか話してこなかったA君との思い出をなんで今更noteに書き留めようと思ったのか。それは直近にA君と対面してしまい、やっぱり私の依存がまだ抜け切れていないことに気づいてしまったから。そして誰にも吐き出すことができず、このまま抱えていたらメンヘラが悪化の一途をたどる未来が見えたからである。



社会人になって、私は数か月、A君は半年の超拘束された研修があった。
その期間は会うことはおろかSNSで連絡を取ることさえ許されないという現代っ子泣かせの研修だった。

当時はまだまだ私の世界の大半をA君が占めていて、研修が終わっていつか会える日を待ち望んでいた。なのでA君が奇跡的にGW前に一時帰宅をすることが許されて、そのタイミングで私も研修が休みになったことに大層浮かれていた。

1ヶ月ぶりくらいに会ったA君は職場のルールでスポ刈りみたいな短髪になっていて、ちょっと疲れ気味。会ったはいいもののどこに出かけるか決めるのも億劫で、結局ブラブラしてカラオケでおしゃべりしてキスして解散。

1か月前に身体を重ねていることもあって少しだけ期待していたんだけど、この日私とA君の関係性が変わることはなかった。やっぱり付き合う前に1線超えると本命にはしてもらえないんだなって痛感したりした。



それから再びお互いに連絡の取れない研修生活に戻った。

私のほうがひと足先に研修を終えたんだけど、配属のドタバタでA君のことを考える時間も減って、いつの間にか依存から脱出できた気になっていた。

そのタイミングで職場の人から猛アプローチを受け、これもいいきっかけなのかと付き合うことにした。(その恋人とはいまも続いている。)



しばらくしてA君も研修が終わり、自由に連絡が取れるようになった。『○○に配属になったよ』と県内でも少し離れた地名を挙げ、ひとり暮らしになると教えてくれた。

連絡が来るまではもうA君への気持ちなんてなかったかのようにふるまっていたくせに、いざ連絡が来ると会いたくてたまらなくなる自分に困惑した。

それならさっさと会いに行ってしまえばよかったのだけど、変なところが真面目な私。恋人がいるのに別の異性に会いに行くなんていけないことだと自分に言い聞かせ、A君に誘われても会いに行くことはしなかった。


でも、A君に恋人ができたことを伝えることはできなかったから、ズルくてダメな女だったと思う。



A君はそれから、会いたいという言葉を何度も伝えてくれた。
大学時代は流れで会うことばかりで、会いたいなんてなかなか言われなかったのでものすごく驚いた。

いつだってとびきり会いたかったのだけど、やっぱり恋人という存在を優先するべきだという気持ちが抜けなくて、そのたびに仕事や体調を言い訳にして話をそらすようにしていた。


このままではA君に気持ちが戻ってしまう、と焦ってLINEを既読無視してみたり、友達から削除したことも何度もあった。

でも結局A君がもう一度連絡をしてくれたり、インスタに反応してきて再び連絡を取る毎日に戻ってしまう。A君はもともと私のメンヘラ気質の面倒を見てきた人間なので、私の試し行動のようなものにもヘラヘラ対応できてしまうのだ。

そして私も、どれだけ連絡手段を断とうとしたって、A君のLINEをブロックすることはできないのだった。



いまから半年くらい前、男っ気しかないA君のインスタに、突然女の写るストーリーが投稿された。

今でもあの瞬間のことを思い出すと鳥肌が立つし、血の気が引く。

普通なら『ただ友達と遊んでいるだけかもしれない』とか『職場の同僚かもしれない』とか考えるのかもしれないけど、『絶対に彼女だ』と思った。
そこに根拠なんて全くないけど、女のカンがそう言っていた。


最後に会った日から、A君とはずっと連絡を取っていた。

といっても前述のとおり私がいきなり既読無視してみたり、未読のままトーク削除をして存在を消してみたりする期間は相変わらずあったのだけど。

その都度A君は少しの冷却期間(私が頭を冷やしているだけ)を置いた後に連絡をくれていて、また元の連絡頻度に戻っていた。


そのストーリーを見てなぜか腹が立ってしまった私は、その勢いでまたLINEを消した。確か既読をつけてから消した。

本来ならば私も恋人がいるので何も文句を言える立場でもないし、今や大学時代のように頻繁に逢瀬を重ねていたわけでもなく、もう1年半も会っていないというのに。

A君はいつものことだと思ったのだろう、またしばらくしてインスタやLINEから接触してきた。でも今回はそれも無視した。

様子が違うことに気づいてくれたようで、心配するメッセージが来るようになったが、それさえもイライラしてしまって本当にしばらく無視し続けた。そのうち連絡は来なくなるだろうし、もうそれでいいやと思っていた。


予想とは裏腹にA君からの接触は意外と途切れなくて、眠れず深酒をしていた深夜にきたLINEに、ついに返信した。


「彼女ができたようだったので、もう連絡しないほうがいいと思っただけです。」


送った文章はすぐ既読になって、ちょっとした言い訳みたいなやり取りが行われた後、正式にA君から彼女ができたと報告を受けた。


泣いてしまった。


散々そっけない態度をとって、会いたいといわれてもかわし続けたのは私なのに。そもそも添い寝フレンド時代から甘い言葉をくれるのはいつもA君からで、私は恥ずかしがってウンとかアリガトウとかでしか返していなかったのに。



その日はA君も眠れなかったようで、明け方になるまでLINEをした。電話は泣いていることがバレてしまいそうでできなかった。

A君に彼女ができた、と聞いてようやく、私はA君のことがまだ好きだったんだと自覚した。添い寝フレンドだった大学時代から社会人になって、恋人ができて、会わなくなって、もうとっくに過去の恋愛にできているつもりでいた。たまに面倒な試し行動をしてしまうのも、恋愛感情とはまた別のものだと思っていた。

酒をお茶に持ち替えてからもワンワン泣いて、でも文面では「よかったじゃん!」なんて元気を気取って、泣き止んでふと冷静にあ、もう本当に連絡は取らないほうがいいんだ。と思った。

今までみたいな試し行動ではなく。


「私は思ったよりA君のことが好きだったみたい。だからもう連絡はとらない。これは構ってほしいやつではなくて本当に。どうかお幸せに。」


いま思い返せばズルい文章だし痛い女だよな~、と思うけど、当時は必死にこの文章を書いて送った。

たぶん初めて私からA君に発した「好き」って言葉に、いやに緊張した。


A君は怒っていた。怒っている文章を見るのは初めてだった。

「なんで今さらそんなこと言うの」「会ってくれなかったしそんな素振りも見せてくれなかったくせに」

それもすべて既読無視して、でも何度も読み返してまた泣いて、もう友達リストからA君を消そうと思ったとき、

「連絡はまたする。もうしないなんて言わないで。」

ってズルい文章が来た。





何も返信せずにトークルームを消して、友達からも消して、トイレで吐いた。もうすでに連絡を取りたくてたまらなかったし、今にも会いに行きたかった。

どう考えても私が悪くて、もうどうやっても解決策が浮かばないモヤモヤに潰されて死にそうだった。自己嫌悪というか、自己肯定感がどんどん下がっていくのが分かった。


でも結局私はそんなに弱い子になれなくて、普通に会社に出勤していたし、友達に誘われればホイホイご飯に出かけていたし、何事もなく恋人とデートもしていた。つまり日常を過ごしていた。

SNSだって全く病んでなかったと思う。直接会って報告した友人以外は何も知らなかっただろう。A君の気配すら匂わせていないはずだ。



LINEにインスタに、A君は本当に懲りずに連絡をくれた。

内容は「会いたい」なんて甘いものではなくて、「今日○○って映画を観たよ」とかスタンプだけだったりとかの何でもないようなアクション。

それでも意固地な私は無視し続けていたんだけど、ある日某ゲーム機の某人気ソフトを手に入れたことをSNSに報告したところ、「俺も買おうか迷ってた!買うから一緒に始めよう!」って無邪気な連絡が来て、次の日どうやら本当に買ったらしい写真が送られてきた。

ずっと無視し続けて数か月経過している相手なのに、数万単位のお金をかけてゲーム機買う!?買おうか迷っていたとはいえ!?と驚いてしまい、つい「まじで買ったの(笑)」と返事をしてしまった。


これで「やっと連絡来た!」とかあの日をぶり返すようなこと言われたらまた無視していたんだろうけど、A君は徹底してあの日のことに触れなかった。まるでずっとLINEしていたかのようにそのゲームの話をして、これオンラインで通信ってどうやるの?って流れから通信する約束までして。

さすが3年間私のメンヘラの相手をしているだけある。多分最初から私がいつか連絡を返すことも読まれていたんだろう。私が何を言えばまた面倒くさくなるかもなんとなくわかっているんだろう。ズルい男だ。


そういえばあの日以来、A君はインスタに全く女の影を残さなくなった。載せないように気を付けているのかもしれないし、私が非表示にされているだけなのかもしれない。どちらにせよまた女の影を残すと私が離れていくことをA君はわかっていて、私には気づかれないようにしているのであれば私は嬉しい。

キープの都合のいい女扱いだとしても、離れていかないための対応をしてもらえるなら上等だ。



こうしてA君と連絡を取り始めてしまった私は、またゆっくりゆっくりA君に依存していく。

忙しすぎてズタボロになった会社の決算を終えて、ついに2年ぶりにA君と会う約束をしてしまった。


【続く】

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もち子
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