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18歳の歌手志望の少女が、ただ挫折するだけの話

おはようございます。
少しだけ私の過去のことを語ります。


今年で24歳。
いまだに履歴書等に自分の年齢を書くときにビビり続けている。


18歳高校三年生のとき、とある芸能事務所が運営する学校に通っていた。
タレント、芸人、歌手などを目指す人間が集まる養成所のようなもの。
私はボーカルコース専攻だった。
幼い頃から父や兄達、そして私自身が楽器を弾いていたり、彼らからさまざまな音楽を聴かせてもらっていた影響か
ジャンル問わず音楽というものが大好きで、救われながら生きてきた。
私もだれかを救いたいと思った。

高校三年生〜卒業までの一年間、週に一度のレッスン。
受験との兼ね合いも苦労したが、それよりも「自分が歌手に向いていない事実に否が応でも向き合うこと」のほうが辛かった。


ボーカルレッスン

リズム感を養うトレーニング

ダンスレッスン


それが主なメニュー。
授業自体はとても楽しいものだった。
歌が上手くなっていくことを自覚していくのは嬉しかったし、ダンスの課題曲はK-POPばかりで、K-POPが大好きな私にとっては天国のような時間。
だけど徐々に徐々に、「ああ、私って歌手に向いてないや」と。
そう思った理由は、私が極度の人見知りだったということにある。



え?そんなこと?」と思うかもしれない。
私はその性格ゆえに、各授業の先生方に対して意見や質問をするということが出来なかった。
他の子達は「ここの音程はどうすればいいですか?」「自主練したので見てもらってもいいですか?」と、争うように先生達の元へ集まる。
正直、純粋な実力ではみんな五分五分だった気がする。
だけど私とその子達の間で、だんだんとその差は開いていく。
そして先生達の中でも、何も言わない私と、積極的に意見を発する子とでは、評価が変わっていったのだ。



その学校では半年に一度、実力を見るために定期公演を開催する。
ボーカルコースは全員で合唱をするのだが、ソロパートがいくつかあった。
絶対に勝ち取りたいと、誰しもそう考えていたと思う。
そして何人かがソロパートに割り当てられ、私もそのうちの一人に選ばれた。
それまであまりパッとした評価も貰えず、レッスンに通えば通うほど自信をなくしていた私にとってそれはとても嬉しいことで。
絶対にやり遂げると決意した矢先、次にレッスンに来ると私が歌うはずだったパートは別の子に変更となった。
本当に失礼なことを言うが、今でも私は負けていたとは思わない。
歌も、ダンスも、容姿も。
だけれどその子はいつも先生に何かしらの質問をし、熱心にアドバイスを聞いていた。
先生達は何十人、何百人とプロの人間に指導してきた人だ。
才能よりも熱量やそこから分かる成長度を重視していたのだなあと、今になって気づく。
その熱量を持てなかった時点で、もしくは「それでも歌わせたい」と思わせられなかった時点で、私は向いていなかったのだ。
ここで私は決定的に打ち砕かれた。
そんな感じだから数多ある芸能事務所から、ボーカルコースで私だけ唯一スカウトされることなく、一年間を終えた。
「どの事務所からも声がかかっていません」と言われたときに、
ああやっと解放される」と真っ先に安心した。
もしこんな中途半端なままどこかに所属して、情熱や才能や努力に溢れた人々に出会ってしまったら、私はもっと苦しむことになる。そう思ったから。



苦しみだけの一年間だったが、そこで学んだことは決して無駄ではないとだけは胸を張って言える。
私はそれまでの人生でとくに挫折することなく生きてきた甘ったれた少女だったので、それをどうやって乗り越えるかの方法は身についた。
才能よりも何よりも裏切らないのは努力だということも覚えた。
私は現在、専門学校に通っている。
どんなことをやっているかは詳しくは言わないが、「自分を表現する」という大まかなジャンルで括ったら、やっていることは変わらない。
何かを生み出す苦しみ、自分が評価されることの辛さや恥ずかしさを今でも毎日のように味わっている。
だけどその道に関してはどうやら向いていたようで、それすらも楽しいと感じられている。
6年前の私には「あなたの夢や未来はそればかりではないから、今やっていることに囚われる必要はないよ」と伝えたい。
未来の私には「次はどんな新しいことに挑戦していますか?」と問いたい。