見出し画像

椿の柄

先日、墨濃淡の図案をパソコンでぽちぽちと描いているのが楽しいということを記事に書いていました。

週があけて本日もまた、新作予定の”椿の柄”の紋意匠図をぽちぽちと描くことにとりくんでいます。

私たちが携わっている西陣織の機は、2400本もの長い経糸のがたてに通っているところへ、約6~10種類ほどの杼(ひ)をつかいわけて、緯糸(よこいと)を通し、ひと櫛ひとくし、筬(おさ)で抑えながら、約34センチほどの帯幅になるように織り込んでいきます。

基本的には力織機(りきしょっき)なので、動力によって「カシャン、カシャン、カシャン、カシャン」と言わせながら一越(ひとこし)づつ織られていきます。

けれども、太い糸や紙などの特殊な緯糸に関しては、手越(てごし)といって、職人さんが一本づつ手で緯糸を通していく作業が必要なものもあります。

このように、手をかけることで色糸は何色でも変えることはできるのですが、手をかけるごとに製織(せいしょく)のスピードや能率は落ちていくものです。

そういったこともあるので、職人さんと話し合いをしながら、より効果的で効率のよい方法を編み出していきます。


下の写真は、今日の作業風景。

画像1


パソコン画面の右側の赤い椿を描いている途中で、原本とにらめっこしながら、4色の杼を使い分けてグラデーションをつくる紋意匠図の作業をしていました。

一旦、赤い椿の部分のみでご説明してみますね。

杼は、赤1、赤2、黄 白 の4色を使う予定です。

グラデーションを効果的に作るように、

①赤1 ②赤1∔赤2 ③赤2 ④赤2∔黄

 ⑥黄∔白 ⑦白 ⑧白∔赤1 

といった、8種のパターンを使用するように図を進めていきます。


②、④、⑥、⑧ はそれぞれ、赤1、赤2、黄 白 の4色使って、

一つの口のなかに2色の糸を同時に入れるように設計することで、ミックスの色が作られることとなります。

実際には2色の色糸は混じりはしませんが、同じ”口”に二種類の糸を入れる工夫をすることによって、織機をその都度止めて手作業で杼を入れ替えることをせずに、効果的なグラデーションを作る工夫をしているのです。

なんとなく、ご理解いただけたでしょうか?

イメージが少しだけでも膨らんでいただけると幸いです。


さて、お昼からは写真の左側に写っている”グレー椿”の図を作るつもりです。

ほんのちょっとの工夫なのですが、この工夫のあるなしで織りあがりと製織の効率がぐんと変わってきます。

こういう工夫を考えながら設計するのもじつは楽しくて、あたらしい工夫に出会えた時は、一見すごく地味なことなのですが、

時に踊りだしたいくらいに嬉しいものなのです。

フランスからスペインに抜けて進む、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼旅へいつか出たいと思っています。いただいたサポートは旅の足しにさせていただきます。何か響くものがありましたらサポートお願いします♪