見出し画像

洗脳 第5章 強迫性障害

子供の頃、私はやたらと手を洗う子だった。

ちょっと、汚れただけで
汚いと騒いだ

やたらと手を洗うから
ガサガサの手になっていた

鍵をちゃんとかけたはずなのに、
自信がなくなり、確認しに行く

洋服が少し、汚れただけで
すぐ着替えることもあった

子供の頃は、その『癖』がどうやっても治らず、ちょっと、変わった子と言われて
神経質で気難しい…と言われていた
母からも「そんなに気にしなくてもいいのに」
とよく言われていた。

月日が経ち
ふと、気づくと、私のこの『癖』が
少しだけ、治り始めてる事に気づいた

高校生になり、親と離れる時間が増えてきた頃からだった

どうやら、原因は親にあったのではないのかと当時の事を振り返ってみた。

ある俳優さんのカミングアウトがきっかけだった

母親のせいだとか
遺伝性だとか
色んな事、言われてるみたいだけど
そうじゃないという話もある

私は専門家ではないので
その真意は正直わからない

ただ、私の場合は、このシリーズで書いているように、両親による洗脳のせいだと
思っている

両親は綺麗好きな人だった

「汚れる」事をひどく嫌う人

それでも私は暴れん坊だったので
いつも泥だらけで遊んでいた

泥だらけの格好で家に帰ると
玄関先で真っ裸にされて
お風呂に行かされる

そして
洗われている間、ずっと、お小言を言われる

父が帰宅してない時は母だけで済むが、
父が帰宅していたら、父からも叱られる

真っ黒になって帰ってきたら、当たり前ではあるけれど。

兎に角、清潔、清潔
汚れたらすぐ洗う

そんな環境の中で、
「汚れる事」はいけない事
汚してはいけない事、となっていった

触るもの、みんな汚い物。
触ったら洗わなくちゃ

洗わないと叱られる

そんな風に思うようになった

小学高学年の頃
母がパートにで始め
私は鍵っ子になった

当時、住んでいたのは団地の3階

防犯意識に過敏な両親は
真夏でも、夜は絶対窓を開けなかった

鍵っ子なんて当たり前になりつつあり、
寧ろ、憧れる子が増え
首から下げた鍵を見せびらかす子もいた

学校の保護者会で言われたのかもしれないが、私は母に、絶対に鍵を見せてはいけないと言われた。何が起こるかわからないから、と。
私は鍵を首からかけて、洋服の下に隠していた。

それなのに
私が鍵っ子である事がバレた

母親ネットワークは凄かった

すぐに母に連絡が入り
私は母に烈火のごとく叱られた

鍵っ子である事を知られてしまった事
それで怒られていると思った

本当は、子供だけが留守番をしている事が知られてしまうと危険だから、という事だったが、その説明はなかった

私は『鍵』が怖くなった
一人で留守番する時は鍵を閉めて
部屋から出ないようにした

どうしても、出かけなければいけない時は、
鍵をかけて、ガチャガチャと確認して…
を繰り返し、階段おりてはまた、登ってを
繰り返してから出かけた

親の目、親から叱られないように
そればかりを気にした結果だった。

この行為がひょっとすると
『強迫性障害』だと知ったのは、
20歳を過ぎた頃だった

両親との距離が離れたこと
両親以外の人達
特に同世代の人達

彼ら彼女らの行動や、言動を見ているうちに
気付かされる事もたくさんあり、
私の奇妙な行動は少しずつ、変わっていった。

手を洗う行為は綺麗にしすぎると
免疫力が落ちて良くない事を知った。

親から聞いた狭い世界の『清潔』は
決して、『清潔』ではないという事を知り、
心が落ち着いて、手洗いの回数は減った

『鍵』については
まだまだ不安で仕方ないけれど、
家族に確認してもらうとか、
一つ一つの行動をゆっくりゆっくりと行い、口に出しながら、やるという事で不安は消えるという事を知った

親の影響は確かにあったと思う
ただ私は運が良く、この『トラウマ』を
解く事ができただけの事

ひょっとしたら、私のは
『強迫性障害』ではなく
思い込みと忘れぽく、不安症なだけなのかなと思ったりもしている

『強迫性障害」で苦しんでいる方々への
理解が進み、少しでも生きやすい社会に
なって欲しい、と切に願う

長い文章になってしまいました
最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?