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ありがとう

ドクターイエローが引退する

見ると幸せになれるという

だから
私はしあわせはなのか
なんてね

結婚を機に
親戚も知人もいない街で暮らすことになった

季節は冬
毎日のように降る雪に
辟易していた

その頃
なんだか体調が悪くなり
妊娠を知る

頼れる人は夫しかいない

ところが夫はちょうど仕事が忙しい時期に入ってしまった。

つわりと闘いながら
窓の外を見た

窓から見えたのは線路
そのアパートは線路が目の前で
電車を眺める事ができた

ある日
見慣れない新幹線が走っていた

それがドクターイエローとの出会いだった。

線路を行き交う電車は決まった時間に走っていたが、ドクターイエローが走る時間を知る事はできなかった。

これが「出会えたらしあわせになれる」に繋がるんだろうなぁと後から思った。

私は黄色が大好きだったから
この『新幹線』に会えるのが楽しみになった。

つわりが収まり、安定期に入り、
夫の仕事の都合で他県に引っ越す事に。

その後、私はあの『新幹線』が
ドクターイエローという名前を知る

私は鉄道マニアではないので
当時のドクターイエローが
今のドクターイエローと同じなのかは
わからない。

寧ろ、そんな事は気にしない。
私は鉄道マニアじゃないから。

ドクターイエローはドクターイエローで
私を癒し、励まし、幸せにしてくれた、
それでいい

“しあわせを運ぶ電車”

つわりの時期に、何げなく見た窓の外を
黄色いハンカチのように、駆け抜けて
しあわせを私に渡してくれた。
私を癒し、励ましてくれた。

ありがとう
長い間、おつかれさまでした。
ゆっくりと休んでください。
できればもう一度
会いたかったな。

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