最終便

午前0時のバス停
最終バスの列

眠気を噛み締め
駅から
猛ダッシュ

残業続きの毎日で
体は悲鳴をあげていた

最終バスの列
疲れを顔に貼り付けた
サラリーマンにOL
無表情に見つめるスマホ

夜遊び中の学生が
遊び足りなげ顔でたむろする

仲良さそうに手を繋ぐ恋人達

最終バスは
定刻通りに入ってきた

疲れた顔のサラリーマン
スマホから顔をあげて
イヤホンを差し直す

恋人達は別れを惜しみ
泣きながら手を離した

ちょっとばかり
心が重たい私は
そんな風景を
映画のワンシーンのように眺め
無表情でバスへと乗り込んだ

バスは最終バスであると告げ
暗闇を走り出した

このまま…
何処へ連れて行かれる
そんな想いを抱きながら
バスの揺れに癒されて
いつしか夢の中
目的地に着くと信じて

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