雪の舞い降りる朝＊通学の風景

カーテンをあけた

雪の白が　太陽の代わりに朝を明るく照らす

枯れ木も　霧氷をまとったように　シルエットを浮き上がらせるので

いつもそこにいたのにね　　と思わず声をかけたくなる

ラベンダー色のランドセルが　ゆるやかな坂を走ってくる

小走りで　まっすぐ前をみつめる大きな瞳

雪の白も　ラベンダー色も似合わない　小麦色の小さな顔

ピンク色の手袋が　白い譜面にリズムを刻むかのよう

ツインテールの黒髪はポンポンはねて　指揮者のようにうごく

かたわらのおじいちゃんは　時折ランドセルを掴んで

孫の走るスピードを調整する　さながらメトロノーム

孫はまっすぐ　安心して　前だけを見て走っていく

おじいちゃんは　ツインテールのはね具合を気にしながら

小走りの小さな歩幅で　少し後ろをついていく

おじいちゃんの黒縁のメガネが　横を向いたり　
下を向いたり　忙しく動くけれど

ツインテールは同じリズムで　ポンポンはねて
我が家の前を通り過ぎていく

集団登校の時間に　まにあうと思うんだけど

雪が降ると　子供たちは笑いながら　いつも走っていく

大人たちは　寒さにちぢこまって　ゆっくり歩くというのに

べた雪は　ただ春を告げにやって来るだけだから　

今日も　そのうち溶けてしまうだろう