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里山の風景*心が満ちる日*お花見

今日はちょっと楽しいことがあった。

まず友人と会った。

どうして楽しそうな顔をしなくなったの?と、
思い出の中の彼女を思い返して不思議に思っていた。

そりゃあ、私のようなおバカでもなく、
どんなルールも守る、真面目で大人な彼女だったけれども。

でもある夜の恋バナで、リンゴのように真っ赤になったのを目撃している。

今は顔じゅうにグレーのフェイスマスクを貼り付けているみたい。

帰り際に息を弾ませて、おせんべいを持って私を追いかけてきた。

「待って待って。これ美味しいのよ。食べて。間に合って良かった」

にこにこの笑顔でちょっとだけグレーのマスクが剥がれた。

単純に、走ったり歩いたり力を使ったりで、
体を動かすと心も動いて、結構表情が変わるものだよね。

もしや心配は杞憂だったのかも?

そんな笑顔を久しぶりに見れて、良かった。


出かけた先で杖を持ったおじいちゃんが、
ベンチから立ち上がる際に、よろよろっと漫画のようによろめいた。

体の線がふにゃり、くにゃりとなる感じ。

それがいつもの動作なのか、転びはしなかったけど、
近くにいた私は慌ててスマホから目を離して右手を差し出し、
隣の女性は「おおっ」と声に出しそうになりながら、両手を差し出した。

おじいちゃんにその心配は伝わらなかったけれど、隣の女性と
お互いに顔を見合わせて「ふふっ」と肩の力を抜いて笑った。

二人で気持ちがぴったり合って、なんだか面白かった。


今年の一番の見頃の日と定めて、桜のお花見に出かけた。

この時期だけ、仕事場の庭を開放してくれる名所なので、飲み食いなし。

純粋に散歩して、眺めて歩くだけのお花見。

昭和9年からの八重のしだれ桜、江戸彼岸と言えばいいのだろうか。

その90年を越えた9本を中心に、他の種類の桜や花桃もとても綺麗だった。

ユラユラ揺れるその枝から、
ハラハラと風にいたずらされて、散っていく桜の花びら。

満開のその瞬間を待っていたかのように、人々が静かに集う場所。

家族や仲間や自分たちや桜の写真を撮りながら、
桜につられて、あちらこちらで、みんな満開の笑顔を見せている。

「私の方が桜より年上なのね」と、
娘さんに連れられた赤い口紅をつけた女性の、華やいだ声。

「もっとみんなで真ん中に寄って」と言う、カメラ係の男性の明るい声。

譲り合う、ベストショットの位置取りの、優し気な声の数々。

携帯酸素を引っ張りながら、チューブをつけてゆっくりと歩く人。

おぼつかない足取りで、手をつなぐ老夫婦。

すでに夏の服装をした、少し他人行儀な若い男女。

桜の下で、誰かが誰かと見つめあってる。

みながゆったり歩くリズム。

そよそよと吹く風のタイミング。

たくさんの笑顔が絶妙な、ハートフルなスパイスになって。

今日、ここに、この場所に来れて本当に良かった。

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