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冬のからすと遊ぶ*2023年の象徴

寒くなってくるとカラスが道路で羽を休めて待っている。

待っている訳ではなくて、すぐに移動できるように、
羽を広げる準備も怠らず、その細くて黒い足をスキップするような
そんなリズムで、そうか、踊る準備をしているようにも見えるのか。

傍らに目が悪いひとには見えない大きさの小石のようなものがあって、
小石というのは正しくはデコボコの殻を被ったクルミの実。

固い殻を走ってくる車のタイヤで踏んでもらおうと、
それをなんとか割ってもらおうと、その位置を吟味している。

そんなカラスにあちこちで出逢うので、秋から冬の風物詩たるような、
いやそんな美しいものではないので、ただ書きなぐっている。

大抵カラスの吟味の仕方はピント外れだ。
私はカラスのクルミを踏んであげたことがない。
その位置ならば大きな大きなトラックが通り過ぎるのを、
日がな一日待つしかないのではと念を飛ばして伝えて見る。

もしかしたら狙ってあげる心優しい人もいるのかも知れない。
交通事故のタイミングを外して中央線をはみ出すとか。
結構それをカラスとの冬の遊びと考えていたりして。
それはちょっと危険、と少し沸き立つ心に冷や水の言葉をかける。

もしかしたらクルミを割ってくれるお礼に、
いつかどこかで恩返ししてくれるかも。

カラスの頭がいいといっても、恩返しできる技量は未知でかつ不明だ。

でも意地悪すると彼らカラスは覚えている。

人間との共同生活のマニュアルが存在しているのではないかと思う程。

いじめられるカラスもいる。

そう言えば魚だってそうだ。

水槽の中でいじめ殺すやつもいる。

この広い空の下でいじめにあうカラスに出逢ったのは結構な確率の偶然。

おまえのクルミを割ってあげたいけど、車のタイヤパンクしない?

おまえのクルミ割ってあげたいけど、タイミングが悪すぎるよ。

おまえのクルミ割ってあげたいけど、
道路よりもあちこちの建設会社の住所を、仲間で共有した方が良くない?

おまえのクルミ割ってあげたいけど、と思うとモヤモヤが体中を占領する。

全国のカラスが、それがベストな方法だと決められたのかな。

ちょっと的外れなやり方な気もするんだけど。

どこかのカラスが効率的なやり方を発見してるんじゃないの?

遠く飛び立って探しておいで。

毎日トランプの神経衰弱みたいでモヤモヤしてるんだけど。

まるで2023年の、何もかもうまく行かない私みたいだ。


花の種じゃなくて、苗を買ってもいいですか?あなたのサポートで世界を美しくすることに頑張ります♡どうぞお楽しみに♡