見出し画像

夏の花畑への招待状*小さな散歩

トレッキングスタイルの男女が、道路わきで、
たぶんグーグルレンズか何かを使って、
あちこちに咲いているその花を、話題にしている様子だった。

紫花菜むらさきはななですよ」

車を止めて、窓を開けて話しかけたい衝動にかられた。

東京のどこかのお花見動画でも、
「この花の名前は何と言うの?」と視聴者に話しかけていたので、
もしや咲いていて気になっても、あまりなじみのない花なのかも知れない。

春先の、黄色がひと回りしたあとの紫はとても目を引くので、
増やしてみようかと思った時期もあったけど、
「どうしてその辺に咲いている花を」と思われるだろうと頭をかすめて、
実行には移せなかったが、今の時期、気になる花色なんだなぁと実感した。

紫花菜の紫は、紫は紫でも淡い親しみやすい色で、
勿忘草が大きくなって花数も増えたような姿で、
可愛らしい風景にしてくれる。


まる一年サボっていたら、記憶に頼りがなく、
( 花が咲くのはこの順番だっただろうか? )と自信が持てないでいる。

それとも冬から続く気候不順のせい?

知らないうちに花が咲いているのだ。

黄水仙が花びらを落としているというのに、
鈴蘭水仙や口紅水仙がまだまだ勢いが衰えない。

白い水仙は早咲きと遅咲きがあるけれど、これもそうだっただろうか?

桜がまだ咲いているけれど、花桃も咲いていて、
赤紫のライラックも花盛りだ。

「私にはベリーのイメージかな」と絵心のある友人が私を称したので、
なにか、そのプライドとなる樹木を、と思って、
名前も素敵なライラックの、その色を選んで、花畑の真ん中に植えた。

赤いツツジや久留米ツツジが花をつけている。

この三色ツツジは、「常夏」という名前ではなかったの?

黄色のモッコウバラも、チャクチャク、ポツポツと言いたくなる位に、
豆粒のような蕾が目立ってきた。

クレマチスの尖った蕾もお目見えしてきたし、
自宅のキングサリもひとつだけ、もう花が咲いていた。

早くないですか?

一雨ごとに地面がしっとりとして、足元の花たちがお目見えし始めた。

針金のように、頑固な固い茎のクリーピングタイムが、
これ以上ないくらいの小さな小さな花を、びっしりとつけて、
その良い香りをまき散らしている。

花壇の輪郭に添うように増やした、ラナンキュラスのゴールドコインも、
その、小さいのにゴージャスな枚数の花びらを重ねたまあるい姿で、
ポンポンと低い空中をにぎわせ始めた。

黄色を携えたユーフォルビアがあちこちに増えすぎて、
夏の花が咲き始めたら、整理しないと、と頭の計画には入れておきながら、
その黄色の賑わいも楽しんでいる。

秋に赤くなったら、それだって、さぞかし綺麗だろう。

いけない、いけない、それでは雑草畑になってしまう。

あちこちでこれから咲く花たちが、その葉を主張し始めてきた。

チョコレート色の葉の、アジュガの紫の花が、
夏に漕ぎ出す船の帆のようにあちこちで立っている。

ツルニチニチソウも知らないうちに増えていて、
小さな星のような紫の花が春の終わりを告げている。

石の隙間にオレンジ色のポピーが、か細く咲きはじめた。

こんなところにも風に乗って増えたんだね。

ハスの芽も、何本か顔を出している。

バラの足元のローダンセマムは今の時期のトップアイドル。

これからもっと楽しくなる、花畑のお散歩。

白黒のブチ猫が私の隙を見て、花畑をゆっくりと横切って行った。

この記事が参加している募集

404美術館

花の種じゃなくて、苗を買ってもいいですか?あなたのサポートで世界を美しくすることに頑張ります♡どうぞお楽しみに♡