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名残の秋が集まる*隣は何をする人ぞ

11月に入ったところで、カウントダウンの雰囲気がある。

年賀状販売の話題が出ると、どうしようかと悩む。

とうに社交辞令のハガキのお付き合いはガンガン切り捨てた。

メールで済ませられるものはメールに変えた。

それでもいただく年賀状には、自筆で年が明けてから返信する。

遅れて出すのに、それでも毎年届く分は仕方ないから年内に書き始める。

そんな季節になったのだ。

家族写真を用意して、一筆入れてくるのはやはり楽しいが、
何年経っても整理しにくいので困るには困る。

お子さんやご家族を見る興味はあるけれど、
画像付きならやはり本人の画像が見たい。

今年のお正月にいただいた、画像付き年賀状はまだ壁に飾っている。

とりあえずストックのバインダーにしまわなければ。

喪中はがきも届きだした。

(そう言えば今年のことだった)と改めて思い出す。

う~~ん、年賀状ってみんなどういう管理をしてるんだろう。

今年も当たり番号すら確認しなかった。


街の片隅の秋の降りしきる公園に座って、ただ人を眺めた。

隣にお喋りのやまない高校生男子の二人組。

訳の分からない話題は、
片方はポップスで片方はR&Bのようにリズムがいい。

お弁当を膝に広げて食べる人たちは、
俯いていたり、時折空を見上げたり、スマホ片手だったり、
それぞれのパターンがあっても、みんな一緒の風景に納まっている。

広い通りを走る車の列はひっきりなしで、
信号の色が変わるたび、空気の圧が変わるように、風景が動き出す。

陽の当たる、表面ツルツルの石のベンチが落ち着かない気がして、
木陰の下のデコボコ面の石のベンチに移動した。

空気も椅子もひんやりとして気持ちが落ち着く。

隣の人はガサゴソと、コンビニの袋からおにぎりを出している。

反対隣は、お手製のお弁当箱をつついているようだ。

私はと言えば、オフィスビルの中のレストランでお腹を満たし、
場所を変えてはカフェラテまで流し込んできたので、することもない。

上層階のコンビニまで足を延ばしても良かったのに、と後悔する。

あちこちから、思い思いの秋深しの写真が送られてきて、
「今年ももう終わり」と急き立てられる気分になる。

紅葉狩りいいですね♡

それから日常のあちこちの変化、ちゃんと目に留めてるんですね。

色づく風景を眺めながら、
(あの写真に入れば、点にもならない私)などと、想像する。

山を移動する雲の影を眺めながら、
(いいお天気だったんだ。良かったね)と独り言をいう。

写真のフォーカルポイントを見つめながら、
(いったい何を思っていたの?)と語りかけたくなる。

秋の画像は人の気持ちを深く落ち着かせるのかも知れない。

夏の画像はポップだけど、秋はシックだ。

私の中ではシックは「静か」な状態で、
落ちついた気持ちとイコールだ。

秋の写真はとても静か。

目の前の自然の風景を、ただ受け入れてるからなのかも知れない。

秋の赤は紅葉の赤、黄色は銀杏の黄色、茶色はココアの茶色、
白は陽ざしの白、黒は心の隙間を埋めていく感じの黒。

じっと、秋を感じる風景の中にたたずんでいたい。

風はまだひんやりとした気持ちの良さだ。


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