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A_004 ポートレートを始めたい人へ(その2 機材編)

今回のテーマは、機材。一眼レフカメラを使って撮ることを前提としたお話しです。これまた、ポートレートを始めて6ヶ月の私が書く記事ですので、すでに満腹ですという方は、読まずに次の更新を楽しみにお待ちください。

さて、ここからは前回の続き、私が失敗した経験を踏まえてポートレートを始めたい人へ機材について、お話しします。

【3つのポイント】

 1.被写体さんを探せ

 2.機材はどうする(今回は、ここ)

 3.さあ、撮影だ

カメラを手に取るきっかけは人によって様々です。こと私の場合は、学生時代の演劇のゲネプロやシーン撮影のためにデジタルカメラ(SONYのCyber-shotでした)を手にしたのがスタート。ここで昔話をしても始まりませんので、直近の話で進めていきます。

ポートレートに必要な機材

 ◎カメラ ◎レンズ(交換レンズ) ◎メモリーカード

ポートレート撮影にあると良い機材

 ○ストロボ ○レフ板 ○フィルター ○三脚 ○小道具

★まずはカメラから・・・

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(SONY α7Ⅲ FE 50mm F1.4 <ISO 100 f1.4 1/100>)

撮影に必要なもの、それは当然ですが、カメラです。始めようと思った人がおおよそぶち当たる最初の課題がカメラは何が良いか?です。最初は私もこの問題が一番大きかったです。ちなみに、私が使用経験のあるカメラは、NIKON、OLYMPUS、SONYです。
さあ、皆さんだったら何を基準に選ぶでしょう。・・・・・・結論、カメラはどれでも良いです。「は?何それ?」と感じた人、正解です。
写真機=カメラがあれば、人物撮影はできます。つまり、カメラはどれを選んでも良いということです。しかし、カメラには「センサーサイズ」があります。これが皆様を悩ませる曲者。

①センサーサイズ

 A.フルサイズ(例えるなら、A3用紙)

 B.APS-C(例えるなら、B4用紙)

 C.マイクロフォーサーズ(例えるなら、A4用紙)

もっと大きなセンサーを持ったカメラもありますが、この3つをここではとりあげます。この時点で、頭が・・・となるので、噛み砕いて言います。「センサーサイズ=用紙サイズ」と思ってください。上のA〜Cの横に( )をつけてわかりやすく書いています。フルサイズが、A3サイズ用紙なら、マイクロフォーザーズはA4サイズ用紙と思いましょう。用紙サイズが大きい方が、細かく書き込みができると思っていただければ良いです。
そうなると、フルサイズが一番いいじゃない、書き込みも描写も細かくできるし!と思いますよね?しかし、正直に申し上げて、確かに差がありますが、ポートレートを始めるにあたってはさして差がありません。今の機材はどれも高レベルですのでご安心を。

では、私がカメラで犯した失敗とは?実を言うと、この1年で、3台のカメラを購入しています。短期間でこれだけの機材を買い込むと言うことは、明らかな失敗です。どれでも良いなら、なぜ買い替えた?と言うことです。私が人を撮る上で必要だと感じたことは、「瞳」を正確に捉えられるか。です。現在所有のOLYMPUS(マイクロフォーサーズ機)とSONY(フルサイズ機)では、瞳を正確に捉える性能に差があるように感じます。ですので、人を撮るのであれば(オートフォーカス使用前提)、瞳認識が優れている機種が使いやすいと言うことです。他は、デザインや携帯性など個々の特性によります。使用実感的には、OLYMPUSはレンズを含めても小型軽量で使用しやすいです。SONYは、瞳を捉える性能に優れている印象です。

 <ポイント> センサーサイズより、使う特性によってカメラは選ぼう

私の場合は、ストリートスナップスタイルのポートレートなので、大型機を持ち歩くより小型軽量が重宝します。また、ワンカット毎に表情が変わるため、瞳を取りこぼしたくない、AFが正確であること、これが選択基準になりました。使って性能追求していくと結果的に、SONYにたどり着いたのが今です。

★実はカメラ本体よりも、レンズが大きなウェートを占める

 A.ボケが欲しい

 B.人を際立たせたい

 C.景色の中に入れてエモいのが撮りたい

さて、カメラはどれでも良いと言っておきながら、次はレンズです。カメラを始めてよく聞く「レンズ沼」と言うやつです。私は、すでにズブズブに嵌っています。これも、結論から言います。

 <ポイント1> F値の小さい「単焦点レンズ」を選ぼう!

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(OLYMPUS OM-D EM-5MarkⅢ 45mm F1.2 Pro<ISO 64 F1.6 1/3200> )

レンズには「F1.4」とか「F2.8」とか「F4.0」と書いています。これがそのレンズが持っている最小F値。このF値が小さいほど、ボケがでます。F値の小さいレンズは、レンズが大きいものがほとんどです(ガラス面が大きい、筐体が大きくてもガラス面が小さいやつもいる。)これは、光をそれだけ多く取り込めるのが特徴です。そして、F値が小さいと、焦点が合う面が薄いのです。「左目にピントが合っているのに、もう右目はボケている」写真を見たことがあると思います。F値が低いからこれができるわけです。
単焦点をお勧めする理由ですが、写真が上手になる近道だからです。ズームレンズは、焦点距離を変化させることで、体を動かさずに自在に画角を変えられるのがメリットです。実は、これは次にポイントとして挙げる、焦点距離と被写体との距離感を感覚的に掴むことに対して遠回りなのです。もちろん、ズームレンズでもポートレートは撮れますので、これを否定するわけではないので悪しからず。

<ポイント2> 焦点距離と被写体との距離がポイント

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(SONY α7Ⅲ FE 50mm F1.4 ZA <ISO 100 f1.4 1/250> )

とは言え、人を撮る上では、主役になる人間を際立たせたいですよね。でも、F値が低いレンズを買ったけど、記念写真みたいにしか撮れないんですけど?と言う経験ありますよね。それを解決するのが、レンズの焦点距離と被写体との距離です。
各メーカーのレンズカタログを見ると、「ポートレート向き」と言う表記があります。焦点距離で言うと”85mm〜135mm"あたりです(※35mmフルサイズ換算)。良い塩梅で、背景がボケてくれるので、上手に撮れます。しかし、焦点距離が満足していても、F値が低くても、うまくボケないと私も悩みました。
これは、被写体との距離がポイントです。では、皆様ちょっと実験してみましょう。

【実験】被写体との距離でボケが変わる。

 1.人差し指を自分の目から10cmのところにおいて、指に焦点を合わせます。その時の背景のボケ具合を覚えておきましょう。
 2.次に、その指を自分が伸ばせるだけ遠くにやって、指に焦点を合わせます。この時の背景のボケ具合を1.と比べます。

どうでしょう。目の焦点距離は、フルサイズカメラの50mm相当と言われています。指を見ているだけで、ボケ具合が変わりましたよね。被写体とカメラの距離が変わることで、ボケ具合が変わるのです。うまくボケてくれないと感じている人は、被写体との距離を変えてみましょう。
しかし、85mm以上の焦点距離がなければ、ボケやそれらしい写真が撮れないのか?答えは、Noです。先ほどのように、被写体との距離をコントロールすることで、広角レンズや標準レンズでも十分なボケを得られます。広角レンズで被写体によるときは、歪みに気をつける必要がありますが・・・。
これで、適切にボケを得るためには、被写体との距離感が大切だと言うことがわかりましたね。

 レンズ選びのヒント センサーによって焦点距離(換算距離)が異なる

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表にまとめてますが、参考にしてください。APS-C機を所有したことがないため、APS-Cのみ前後をつけています。

★背景の中に被写体を入れてエモいのが撮りたい

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(SONY α7Ⅲ FE 50mm F1.4 ZA <ISO 100 f1.4 1/2500> )

これは、先ほどのレンズの項目で少し触れていますが、被写体との距離と背景をどれだけ情報として入れたいのかによります。望遠域のレンズでも、被写体との距離を取ることで背景情報を盛り込みながら、主体をグッと引き立たせることもできますし、広角域でも、同様に距離で絵をコントロールできます。では、何が大切か?一言で言えば

「構図」

です。写真の基本というか、美術系の共通項目と言えるのが構図です。なんかすげーいい雰囲気の建物だね、とか、この写真いいよね!というものは、構図がしっかり整っています。良質な作品をたくさん見ることと、構図についてかじっておくと写真の質が大きく変わります。私は、撮影時に構図を組みやすいように、モニター・ファインダーに三分割線を入れて撮っています。

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(SONY α7Ⅲ FE 50mm F1.4 ZA <ISO 640 f1.4 1/640> )

さて、機材編。ストロボやレフ板、フィルター、小道具など色々ありますが、これよりも肝心なのが「メモリーカード」です。

★メモリーカードを侮るな

カメラが撮影した情報を記録するのが「メモリーカード」=SDカードです。フィルムカメラで言うフィルムの役割をしているやつです。
写真データの保存型式によりますが(RAWかJPEGか)、容量の大きいもの、そして手ごろなものと選びがちですが、ここで要注意です。保存形式がRAW(=情報量がしこたま多い)でかつ2,000万画素オーバーのカメラ(中には、6,000万画素超えるのもありますが)のデータを受け止めるためには、容量だけでなく転送速度=記録スピードも大切です。

これは、エレコムさんのページのリンクですが↓

一言で言うと、安いやつは、スピードが遅い。100m走を歩きながら完走するようなスピードと言うやつです。高額なSDカードは、転送速度が速く、撮影→記録のリズムが良いです。連続的に撮影したいような場合であれば、転送速度がものをいうため、Class10、UHS3のものを選ぶと良いでしょう。
始めたてであれば、安価で容量のあるClass10、UHS1を選ぶと良いでしょう。

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さて、ここまで読んでいただきありがとうございます。400字詰め原稿用紙で10枚分の容量にもなってしまっていました。

最後まで読んでいただいた皆様に、私の結論です。

カメラは、なんでも良い。レンズは、単焦点の50mm相当(フルサイズ換算)で始めるべし。メモリーカードは、転送速度の速いものを選ぶとストレスが減る!

です。この記事を書いている時点で、カメラ3台、レンズ10本買ったポートレート始めて6ヶ月の初心者の助言です。
ポートレート撮影は、被写体さんとのコミュニケーションの中で作品を作っていく非常に創造的で、楽しいジャンルの撮影と思います。中々思い通りにいかないこともたくさんありますが、自分の腕が良くなって、被写体さんに喜んでもらえることが嬉しかったり、他の方から、すごくいいね!と言っていただけたり、と一人で作るのとは違う悦びに溢れています。

好きなフォトグラファーの作品のオマージュから始めるもよし、流行りに沿って作品作りするもよし、独自の世界観でやってもよし。です。

敢えて言おう「ポートレートは、自由だ!」と(笑)

次回は、「さあ、撮影だ」です。主にコミュニケーションについて書きたいと思います。ぜひ、次の更新を楽しみにお待ちくださいませ。




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