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読み食い日記 240729-0804

07月29日(月) 晴れ

出社。読みかけの本を家に忘れてきたことを耐えがたく感じる。
昼休みに本屋に行き、昼休みを20分消費してまで、慎重に本を選ぶ。難解だったり、暗かったり、本質を突きすぎたりしているといけない。丁寧な暮らし的なニュアンスも、家事が完全におろそかになっている今日このごろには不適当。渡辺優『並行宇宙でしか生きられないわたしたちのたのしい暮らし』を購入。持参した弁当をもそもそと食べながら読む。
運転免許を取るのに苦労したとか左右がわからないとか食べ物の好き嫌いが多いとかそういう内容。ですます調のエッセイってめずらしい。こういう、「普通」の遂行に苦労する他人の話を読みたいと思う心というのは、なんだろう。良くない心なのかもしれない。

鮭のみそ粕漬けなど

残業をこなしてから、お土産やチケットを受け取るため、友人宅へ。残業……というよりオフィスが郊外すぎるせいで、21時半を回っていた。何度か会ったことのある人たちが集まっていて、私が盛大にスベった時に拾ってくれたのが、中でもいちばん初対面に近い人だった。つまりこれは近しさと反比例するタイプの気遣いではないか。心苦しい。
帰り、あまりの暑さにタクシーで帰るか迷う。ぎりぎりまでタクシー利用をすすめてくれた人がいて嬉しかったが、私が散財するところを見たかっただけかもしれない。

7月30日(火) くもり

出社。職場で、あらゆる人から疎まれているような気がする。私を採用した部長が粛清された今年3月からずっと。その上で今、参加している案件が世紀の(本当に世紀の)大炎上をしており、なんかみんなずっといらいらしていて、結果として特に意味があるかもわからないへこへこを続ける日々。誰に何を依頼するにしても、いつどんな意見を言うにしても、全てのやりとりに必ず謝罪の言葉をつけている。

岸本佐知子『わからない』を読み終えた。渡辺優『並行宇宙でしか生きられないわたしたちのたのしい暮らし』も。今日は本を2冊も読み終えることができてよかった。
実質的な、定量的な成果だけが、今の私を癒してくれる。食事制限も体重を減らすために始めたが、やり方が甘いのかまだ2週間しか経っていないからか、測っても測っても減っていなくて、かえってストレスだ。
このあいだの歯科検診で「抜きたければ抜ける」と言われた親知らずを抜こうか。2本ある。歯は、抜けば絶対になくなる。それはうれしいことだ。

7月31日(水)晴れときどき雷雨

やうやう遅くなりゆく出社。日ごとに朝がしんどい。通勤電車で読み始めた乗代雄介『パパイヤ・ママイヤ』、甘くさわやかな読み心地。
仕事はひさしぶりに定時以降のトラブルなく終わった。明日は在宅勤務。帰り道は雨に降られたが、テンションが高くなって、今が関係性分け目(絶縁か否か)の関ケ原(?)と思われる人に陽気なLINEを送ることができた。
納豆とみょうが、具なしのひやかけうどんを食べて、ビールを飲んだ。
『パパイヤ・ママイヤ』を読破。久しぶりにこんな人間関係の上澄み吸った。清らかな気持ち。

8月1日(木)晴れ

在宅勤務。定時後に差し込まれた会議が、鍼灸院の予約の時間になっても終わらず、遅刻。謝罪。仕事の予定で仕事以外の部分に迷惑をかける人間は最低なので、私は最低の人間だ。
長期に及ぶ炎上で、ありとあらゆる組織の問題点が炙り出されている。本来、適度に目を背けて生きていくべきものなのに。

ダメもとで誘った友達が釣れて、渋谷の活惚れで飲む。お互い最近色々あって、明らかに調子が良くないのだが、ふたりしていつものテンションでご機嫌に話す。痛ましかったかもしれない。ごはんがどれもおいしかった。こんなにも駅から遠くて、店内も激狭いから、トイレに行くとき必ずカウンター席の人の背中に肩が触れるが。
最後、彼女から渾身のバッドニュースを披露される。「これLINEしようか迷って、3回くらい書いては消して、結局送らなかったんだよね」と言われた。以前にも別件で、同じ内容のことを言われたことがある。
帰ってから、「次からは迷ったら送信してみて」と送る。無理だろうな。めずらしく、次に会う日の約束をすぐにとりつける。
私たちは、親がしてくれなかったことの弔い合戦に一生を費やすらしい。それは、私の親もそうだったはずだ。

8月2日(金)晴れ

ぎりぎり午前中に出社。通勤と昼食のおとも、ペク・スリン『夏のヴィラ』。午後は久しぶりに作業らしい作業。ここしばらくの謝罪業務からつかのま離れ、 心洗われる。

天才ピアニスト(最近好きな芸人さん)が衣装や私服でかわいく着ている、モヤンエクリで自分用のセットアップとプレゼント用のトートバッグを買う。一瞬で4万が飛んだ。服を買うのは久しぶりだし、これは自分への誕生日プレゼントにしよう。勢いで汁なし担々麺を食べる。

小学6年からの友人2人と飲み会。
交際すべき人はどんなか、という話題で、私以外のふたりが「一緒にいると不思議と元気になる人」と意気投合していて固まる。私は、そんな人に出会ったことはない。ピンとこなさすぎて「元気ってなに?下ネタ?」と訝しむことしかできなかった。私って、不幸せな人間かもな。
一次会で解散。一次会で終わるのってけっこういいかも。長時間の会話や深酒は後悔を生みがちだから。

8月3日(土)晴れ

朝から抜歯。残っている右上下2本を抜き去りたいと伝えたが、歯科医師から「上はもうちょっと生えてからでも遅くはないですよ。今日は下メインで抜きましょう」と言われる。メインがあるならサブもあるはずだが、彼が言いたいのはつまり下しか抜かないということで、なんかたしなめられた感じがして憮然とする。2,3分であっけなく抜歯完了。

帰宅後、血の味を感じながら1日過ごす。15時にきつねうどんを食べて、寝て起きたら19時。カップスープとアイスを食べて、ペク・スリン『夏のヴィラ』を読み終える。こういう種類の陰湿さ、韓国の小説で出会う回数が多いな。いっとき親密だったのに、ちょっとしたことで機能しなくなって二度と戻らないながらも、関係を継続せざるを得ず、日々の通奏低音となった絶望。

8月4日(日)晴れ

2時過ぎに寝て、起きたら15時半であった。うどんを食べてまた寝て、起きたら19時半。めちゃくちゃでありながら昨日と似たリズムで感心する。現実味の強い悪夢を山ほど見た。夢の中でかなり激しい嫌味を言った相手との、LINEトーク履歴を見返す。本当に夢だよな?

あとは斎藤美奈子の書評集、『あなたの代わりに読みました』を半分くらいまで。あまりに簡潔にまとまっている。実際に読む労力の100分の1以下であらゆる話題書の概要が把握できて、あまりの効率に怖くなってくる。

三十路記念に買ったリングが届いた

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