やがて人間味になる
経営の勉強をしていると、人として目指す方向の話に触れることが多いです。
ビジネスライクな戦略の勉強で、人の本質や生き方のコツみたいなところに行き着くのは、何と言うか不思議な気もします。
人の能力を正確に数値化するのは難しいです。
なにせ人ですから。
精神的に揺らいだり、緊張して凡ミスしたり、まさかの大金星のラッキーがあるのも人ですよね。
ロールプレイングゲームみたいに自分の能力を正確に数値化できるなら、レーダーチャートに示してまじまじ見てみたいものです。
「これは強みかな」「◯◯ならちょっと自信がある」という何かは、誰でも持っていると思います。
優しさとか、人前であがらないとか、口が達者とか。
あるいは数学は得意とか、英語は母国語級でスラングも使いこなす!とかもありそうです。
自分の長所です。
人は自分の短所(弱点)を解消するような動きを取りがちですよね。
中間試験の結果が出て、数学は100点、国語、社会と理科は80点、しかし英語が40点だったとします。
次の期末試験に向けて何をするか?
足を引っ張っている英語の点を高めようとしちゃいますよね。
で、いざ期末試験を受けたら英語は60点にアップしたけど、数学、国語、社会と理科はいずれも下がって70点になっちゃった…なーんてことは起こる気がします。
誰かに惹かれる時、それはオールマイティでパーフェクトな魅力ではなく、何か突出した能力に魅せられる、というケースが多い気がします。
漫画「スラムダンク」の作者さんが言っていたと思うのですが、キャラクターを考えるとき、必ず1つ以上の弱点(欠点)を設けたそうです。
それによってキャラクターのリアリティが増し、読者の感情移入も得られるそうです(桜木は頭が悪く、宮城は背が低く、赤木は顔がゴリラだっけ?)。
ま、僕らは不完全な生き物である人なので、完全オールマイティを目指すのはどだい無理ですし、そこを目指しちゃダメみたいです。
ではどこを目指すのか?
長所を更に伸ばすこと、だそうです。
レーダーチャートで言えば、均一にパラメータが分布している丸を目指すのではなく、対極である何かのパラメータが突出して高い、トンガッた状態が目指す姿です。
そんないびつな状態になると、足りないパラメータ(弱点)が、単なる弱点ではなく「人間味」になるのだそうです。
味があるヤツです。
例えばワインにやたらと詳しい人がいて、産地や年だけでなく、生産者のクセまで熟知しており、しかも話が分かりやすくて面白い、その分野の権威みたいな人だとします。
ところが、その人はやたらと物を無くす…。
1日1個は何かを無くす。
「メガネがないなぁ」とうろうろしているけど、胸のポケットに入っているよ…、みたいな。
あんな凄い人なのに、そんな弱点があるなんて…ぷぷっ、カワイイ…。
強力な強みがあるけど、弱点もある、それを味わい深いと感じるのが人のようです。
パーフェクトではなく、味わいを求める人でありたいものですね。
まん丸い満月は良いものですが、欠けた月の味わい深さは、いいものです。