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いなくならないで(舞台『宝飾時計』大阪千穐楽 感想)

⚠️この記事は舞台『宝飾時計』のネタバレを含みます。ご注意ください。⚠️

こんにちは。あやめです。
もう3日前のことになりますが、観てきました!!
宝飾時計!!!大阪千穐楽!!!!

チケットを取ったのが去年の11月と割と遅めな方(発売は確か10月上旬)だったこともあって、席もZ列5番と後ろの方ではあったんだけど、ホールの奥行きが思ってたほどなくて思ってたより近く見えました。

あらすじ

さて、毎度の事ながら今回もあらすじのおさらいからいきましょう。
知ってる方はサクッと読み飛ばしていただいて。

あらすじ

主人公のゆりか(高畑充希)は子役から女優として活躍しているが、驚くほど業界に染まれていない。
30歳を迎え、同級生たちが次々と結婚し子供を産んでいく中、「私は何のためにこんなことをやっているのだろう」と自分の存在の意味を見つけられずにいた。
そんな彼女の心を日々支えているのはマネージャーの
大小路(成田凌)
ある日ゆりかのもとに「21年前にやったミュージカルの記念公演のカーテンコールで、テーマ曲を歌ってくれないか?」という依頼が飛び込んでくる。
それは彼女の原点となった舞台だった。
仕事を引き受けたゆりかは現場で、当時一緒にトリプルキャストとして主演を務めていた真理恵(小池栄子)杏香(伊藤万理華)と再会する。
自分の人生を肯定したい3人は、他者を否定することでなんとか自分を保っていた。
その会話は21年前も今も変わらない。
過去と現在を行き来しながらゆりかは自分の人生を振り返り、孤独に押しつぶされそうになる。
日々増える無力感の中、ゆりかは自分の人生の肯定の仕方を考え始め・・・。

舞台『宝飾時計』公式サイトより

キャスト

松谷 ゆりか:高畑 充希
大小路 祐太郎:成田 凌
板橋 真理恵:小池 栄子 
田口 杏香:伊藤 万理華
杏香ママ:池津 祥子
関 一:後藤 剛範
勇大:小日向 星一 
滝本 信夫:八十田 勇一

感想

パンフレットと台本を読み返しつつグダグダ書いております。もっとしっかり感想読みてえ!!って人は別の方のを読むのがおすすめです()

いや、もう、マジで良かったよ。ほんとに観てよかったな、と思った。観れるんならもう1回観たかったし円盤も欲しいくらい、マジで。円盤出して…………

音楽もさ、ピアノとあとストリングスって言うのかな、3つの弦楽器スウィングだけで進んでいくんだけど。
舞台の上にバイオリン奏者の方がいて(物語上ではいない存在なんだけど)後ろの方で弾いてたり、ときにはゆりかに寄り添って弾いてたり、弾いてないときは神的な立ち位置の傍観者のようだったり、心理描写の端っこみたいな感じでなんかいいなって思った。
ピアノとストリングスの音もすっごい繊細で、それもまた傷つきやすくて脆くて儚いゆりかたちを表してるというか、描写を支えてるというか。
音楽ありきというか、音楽があるからこそ元々すごい面白い部分が益々輝いてるというか。そういうとこが良いなって思ったんだよね。

あとね、高畑充希ちゃんの生の歌声、めちゃくちゃ良かった……もちろん知ってはいたけど歌めっっっちゃくちゃうめぇ…………

私、椎名林檎ちゃんが好きで、それが今回観に行った要因(?)のひとつでもあるんですけど。
なんなら椎名林檎にハマるきっかけになったのがCMで高畑充希ちゃんが歌ってた「人生は夢だらけ」なんですよ。え、じゃあ観るしかないじゃん?

「青春の続き」、めちゃくちゃ椎名林檎節というか、メロディにバシバシ出まくっててうはぁ〜〜〜!!!かっっけぇ〜〜!!!!って。
後述しようと思うんだけどこの歌詞は…とか考えるのも面白くって最高。何もかもが最高。
CDだと割とすらりとした感じの歌声なんだけど、舞台だと声張るからすっごいまっすぐに音が伸びて届いてくるし、時折力強いがなりを入れてたりしてて、そっちもまた良いんだよね……もし円盤出てもあの音圧は浴びれないよ、生で見れてよかったなぁ……(感嘆)

舞台セット

舞台はね、回り舞台っていう真ん中に円形の回るとこがあるやつなんですよね。
それで、その上に机とかたくさんの椅子とか階段とかランプとかベッドのスプリングみたいなやつとかが色々置いてあるんですよ。
基本それらだけで組み上げられたちいさな世界の中で、回り舞台がくるくる回って場面転換しながら、
過去と現在がひっきりなしに交差して、ときには同じ場面を何度も繰り返して、目まぐるしくぐちゃぐちゃに混ざりあいながらも確かに結末へ進んでいく感じ。

マジで台本(観終わってから欲しくなって買った)読み返してても回想!現在!回想!現在!回想!現在!みたいな感じで、短い時には分単位レベルでスピーディーに最終盤くらいまでほぼずーっと行ったり来たりしてて、子役時代と現在とをずっと交互に演じるのも大変だろうなあ(特に杏香)……って思いました。

キャラクターと役者のあれこれ

高畑充希ちゃんって、明るくて笑顔もキラキラしてるけどどことなくふわふわしてて不思議な雰囲気というか、ふと風が吹いたらいなくなっちゃいそうな感じがすると思ってるんですよ。私だけかもしれんけど。
私の中のそういうイメージと、体重を預けていられるなにかがないとすぐに倒れてしまうくらい不安定でゆらゆらしていて、本心を言えないまま悩み続けているゆりかが噛み合ってて、すごいナチュラルに観れました。演技も歌も上手いよ、充希ちゃん…………

特に過去と現在のギャップが大きい杏香。
でも多分、あの幼少期であの人生を経たら本当にああいう感じに育つんだろうな、って思いました。
私の身近に同世代の宝塚所属の方が数人いるんだけど、彼女らの裏にはもしかしたら杏香みたいな子もいるかもしれないし、思い返せば私も受験とか経験してきてて、それもつまり知らないうちに名前も顔も知らない誰かを蹴落としてきたのかもしれないんだよな。
杏香ちゃんは特に後半の大小路との場面で効いてくるから、この物語にすっごい良いスパイスだと思ってる。このキャラを作るのも演じれるのもすごい。

逆に幼少期から「無難」だと言われ続けてきた真理恵は、結婚して家庭を作ってママタレとしてゆりかの言う「絵に描いたような幸せ」を生きている。
でもやっぱり悩んでるんですよね。自分は自分以外のもののために生きられているけど、誰が自分のために生きてくれるんだろう?って。その言葉がめちゃくちゃ刺さりました。良くも悪くも「無難」な真理恵は、私は今何のために生きてるのかなって考え直させてくれました。答えはまだ見つかってません。私も30歳になったらわかるのかなあ。
あと関との関係性もめっちゃ良い。ちょっとポンコツだし空気読めないしめんどくさいんだけど、あんまりにもまっすぐで、そんなところに真理恵は勝手に救われちゃってるのも事実だからな〜んか憎みきれない感じ。良いな、もっと真理恵と関のコンビいっぱい見たいよ。

あと観てて思ったんだけどさ、
私、小日向星一さん好きかもしれん………………
多分初めて見たと思うんだけど。すっっごい可愛い(男の人に可愛い可愛い言っていいのかわからんけど)
身長が充希ちゃんとあんまり違わないとことか、
ちょっと鼻声っぽくて時々掠れるような声とか、
階段の上とか机の上とかに座ってゆりかや他の人たちを見ているときの表情とか、
なんか全体的にまだ幼くてあどけない、でも精神的にはちょっぴり大人っぽいような、勇大のそんな少年らしいところがすごい可愛くて。
終始うわーーっ!!可愛い!!!好き!!!!ってなってた。けどあとから調べたら27歳って知ってひっくり返っちゃった こんな可愛い27歳がいるんですか…………???
マジか…………好きだな………………

ゆりかと大小路のやりとりにはずーっとドキドキしてた。なんかもう逃げ出したかったくらい(?)
大小路の曖昧で掴めない答えに「あ゙ぁ゙!!!そうじゃない!!!!」ってなったし、勇大=大小路がわかったあとは余計にゆりかの本心を言えないところと大小路の思考の纏まりきらなさがさ…………いやそれはそうとして大小路、ほんまにお前さあ………………

私いま19歳で、今年20歳になるんですけど、気持ち的にはまだ子役時代のゆりか達の方が近いんですよね。
だからどちらかといえば子役時代の方が共感できる部分は大きかったんですけど、それでも周りの方々(多分自分より年上の方ばっかりだった)と同じように第一幕はクスッと笑えて第二幕で泣けた。
でも今の私と30歳の私がこの舞台を観たら絶対に違う感想を抱くし、同じ時間に同じ舞台を観てた私と30歳を過ぎた誰かともきっと違う感想だと思うんだよね。
だから円盤出して(2回目)

そんな私はさ、最後の方のゆりかと勇大の会話のあたり(大丈夫って言ってよ、とからへんのところ)めちゃくちゃに泣いちゃったんだけどさ。
そのとき「ああ、この時間を失いたくないな」って思ったんだよね。
それはきっとまだ私が、「本物の勇大」と一緒にいた10歳の頃のゆりか側に立ってるからなのかなって思いました。
失いたくなかった青春。若くて、青臭くて、泥まみれで、決して綺麗なものじゃなくて、それでいてなによりも美しかったほんの僅かな時間、みたいな。
それを失ってしまうのがすっごく怖くて、不安で。
でも大小路と、今ゆりかの傍にいる本物の勇大と向き合うにはそうするしかなくて。
青春の続きの歌詞借りるなら、「なんだろうか?大人って」って思ったよ、私が。大人ってなんなんだろうね。幸せってなに?人生ってなに?大人になるってどういうこと?こんなに息苦しいものなの?って。

今改めて「青春の続き」をリピート再生しながら書いてるんだけど、パンフレットの中で充希ちゃんが言ってたように「歌の中で子供から大人に」なってってる感じが確かにあって。
静かなところはゆりかからいなくなった勇大へ、
曲調が変わって力強いところはゆりかから祐太郎へ歌ってるように聞こえるんだよね。
歌詞中の「今どこですか 無事でいますか もう大丈夫ですか 愛を覚えましたか」とか
「誰かいいひとが共にいますか もう大丈夫ですか 愛は与えましたか」とか、
特に祐太郎もとい勇大がまた消えてしまって目覚めたあとのゆりかが歌ってるから、「どこで誰のふりしていてもいいから、生きていてくれさえすればそれでいいよ」ってゆりかの言葉が更に沁みてくるよね。
もういいよって諦めて、また勇大はゆりかの前からいなくなっちゃって、そこから何十年も過ぎるけどやっぱりゆりかはずーっと勇大を思い続けていて……ウワーーーッ!!!(突然襲いかかってくるクソデカ感情)

あと公式の歌詞カードが縦書きになってるんだけど、左から右でも読めるみたいなやつ。ほんと、こういうの仕掛けるの上手いよね……林檎女史はさ……

なんか4000文字超えてるのにすっげーうっすい感想しか出てこなかったな……(い つ も の)
私は舞台写真を見ながらまた台本とパンフレットを読み直す旅に出ようと思います……それではまた👋

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