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思考の整理学

あらすじ

アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書。

Amazonより

”自らの体験に即し”とある通り,情報収集から知恵への昇華まで作者である外山さんの思考過程が記されている.


内容まとめ

情報収集

・カード:情報をカードに書いていく.情報の並び替えができる.反面,カード紛失のリスクがある.

・ノート:情報をノートに記録する.情報をまとめておける.並び替えはできない.

 ・外山さんは,思いついたことを書くノート(1)→1のうち寝かせても価値があると思えることを書くノート(2)→2からさらに選抜したものを書くノート(3)と3冊用意する方法を紹介されていた.

・つんどく法:参考文献を可能な限り積んでいき,片っ端から読んでいく.記録は取らない.記録しないというプレッシャーが記憶に繋がる.また,大事なことは複数の書籍に出てくるので判断しやすい.


情報から知恵への昇華

・この世界には情報が溢れているので整理が必要である.整理とは捨てること.睡眠や運動で人間は(価値が低いと自分が判断していることを)忘却できる.

・情報には次元がある.fact(事実)は第一次的情報であり,これを抽象化しmeta(高次な)情報にする.

・”ひとつだけでは,多すぎる” by ウィラー・キャザーさん

 ・ずっと一つのことにひたむきなのは一見素敵に見える.しかし,力んだりいらないこだわりができてしまう.何個かのテーマを競わせ,一番結果の良いものを選ぶのがいい.

・人に話したり,手で書くことでアイデアは磨かれる.

 ・ただし,アイデアが生まれてすぐに人に話すと反応が悪く傷つくことになるので,ある程度寝かせてからの方がいい.また,相手は異業種の方が気づきを得やすい.

・analogy(類似)したものを探す.外山さんはなぜ言葉は繋がって聞こえるのか疑問を持ち,慣性の法則とのanalogyから,修辞的残存を発見した.

・発想はビール作りと同じ.情報を組み合わせて発酵させる=寝かせる.

 ・食べ物の発酵に多々存在する触媒を概念化したものが,インパーソナル・セオリー(没個性説)である.自分=触媒は,情報の編集はするがアウトプットに個性は残さない.


感想

内容としてはジェームス・W・ヤングさんの『アイデアのつくり方』と似ている.どちらか読んでおけば本質はつかめると思う.具体的なやり方は作者それぞれなので,そこを知りたい方は両方読むことをおすすめする.

文学者・言語学者・エッセイストだけあって,説明の際,面白い表現をされていたのが印象的だった.”グライダー型人間”と”飛行機型人間”(”人に教えてもらい学ぶ人”と”自分の頭で考える人”)とか.

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