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検査抑制論と、抑制を主張した主な専門家、及び論者:コロナ新型肺炎とPCR検査

検査抑制論と、抑制を主張した主な専門家、及び論者と、その主張をまとめました。PCR検査抑制論の概略が分かると思います。

殴り書き的なもので、あまりきちんとしていません。論者を網羅したものでなく、取り上げ方も統一的基準なく、入っていない人も多いはず。とりあえず思いついた人を。

括弧内は引用です。


厚労省

私は、厚労省自体、検査抑制論、だと考えてよいと思っています。
以下の赤旗の報道から(報道が事実である限り)2020年5月には厚労省は検査抑制方針だったことははっきりしていますが、おそらくその後もずっとそうだと思います。

2020年5月に厚労省が作成した文書(赤旗2021.0423)
日本共産党委員長志位和夫ツイッター投稿 @shiikazuo より
ttps://twitter.com/shiikazuo/status/1385795956902219786?s=20

「PCR検査が100%の感度・特異性を持たない以上、広範な検査の実施には問題がある
「見すぎ」(偽陽性 感染していないのに陽性となる)の者が真の感染者よりも非常に大きくなり、医療資源を圧迫し、医療崩壊を招くことになる」
「広く検査を行った場合には、検査で陰性とされた陽性者が自由に活動することによって感染を拡大させる危険性が増大する」

太字部分は、厚労省でなく、赤旗等がつけてる可能性もありますが、個人的には恐らく厚労省の文書でもともと太字だったのでは、という気がしています。

田村厚生大臣
大規模に検査をすることは、費用対効果がよくない、という意味のことを言っています。

厚生労働省 田村大臣会見概要 令和2年1月12日
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00311.html

なお、話が本題とそれるけれども、この会見の中で、全介護職員、医療従事者、に検査を十日に一回くらいやったら、その行政検査の費用の金額を一つ指標として費用を出した、「費用だけで年間2兆円近くかかる」、と言っているのが目につきます。そんなにかかるものでしょうか?たしか武漢で800万人くらいか全市民にやって、日本円で200億円とかそんなくらいだったような気がしますが。それとGoToにたしか数兆円の予算を組んでることを考えると、よほど高額にならない限り、費用対効果はよいように思います。そもそも検査で感染を抑えられれば、GoTo事業も必要がなくなるので。感染が広がっている状況ではGoToをやっても、旅行業者も飲食業者も傷んでいるわけですから。

大臣は、武漢の全員検査は効果があったと思う、と話しているのが意外なところで、しかし、日本は中国と違って検査が強制できないので、費用対効果が悪い、というラインで話しています。論拠としては「1割やっていただいても残りの9割がやらなければ、当然その後も感染は続く」と言っているのですが、これもおかしな話で、実際には7割協力して3割がなかなか協力しない、というくらいなら想像できますが。要するに、話がしっかり詰まってないというか、少なくとも聞き手の側で明晰に感じるところとはほど遠い、単なる「そんな感じ」というところにとどまっています。この大臣の話は。

押谷仁東北大学教授(以前の専門家会議、且つ分科会のメンバー)
「感染症対策「森を見る」思考を – 何が日本と欧米を分けたのか」外交 Vol.61 May/Jun. 2020
http://www.gaiko-web.jp/test/wp-content/uploads/2020/06/Vol.61_6-11_Interview_New.pdf

「日本の戦略は「森を見て全体像を把握する」ことで」「欧米諸国は「木を見る」方法」
「欧米諸国は、感染者周辺の接触者を徹底的に検査し、新たな感染者を見つけ出すことで、ウイルスを一つ一つ「叩く」ことに力を入れてきました」

以下、note本記事筆者による、上記記事のその他の部分の要約。

「接触者の陽性率は非常に低いことがわかって」おり、(欧米の)「そのような対応は感染拡大阻止にはさほど有効ではない上に、たいへん非効率な消耗戦となってしまった」日本は、「感染が大規模化しそうな感染源」(クラスター)「を正確に把握し」「小さな感染はある程度」見逃しを許容、「消耗戦を避け」た。「検査や診察への抑制的なアクセスはこのウイルスには必要な対策であり、そこを批判するのは、まさに「木を見て森をみていない」」

さらに、2009年の新型インフルエンザ流行で、検査目的で来た多数の人で待合室が三密化したと話し、無秩序な検査は状況を悪化させるという認識が、日本の臨床現場である程度、共有されている、としています。

「もし、ウイルスを完全に根絶したいのならば、すべての日本国民に対して二週間、毎日検査を受けさせて調べるしか」ないが、それは不可能だ、としています。

岡部信彦川崎市健康安全研究所所長(分科会会長代理・内閣官房参与)

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-okabe-9-2

「ワクチン「良いとも悪いとも言えない段階」 オリンピック「競技だけならできるかも」」2020年12月4日 BuzzFeed News 岩田直子記者によるインタビュー

「単にハラハラドキドキしている人が安心するために、「念のため」とやる検査まで医療や健康保健の範囲で見るのか。そこには区別があって当然だと思います」

「検査をいっぱいやれば流行は抑えられる」と主張する人がいますが、日本より検査をいっぱいやっている国では感染者は増えているわけです」

なお、この人は、上記BuzzFeed記事の前編2020年12月3日のほうで、Go Toトラベルについて「僕はGo Toトラベルについて、悪者扱いする必要はないと思う。基本的には良い政策であると思っています」と話しています。「功罪の「功」は大いに認めていいと思うのですね」、そして、「ただ、それがちょっと行き過ぎているなと思うのは、同じ時、同じ場所、同じ時間帯にみんなが殺到すること」だ、と話しているのですが、GoToの何が問題かという時に、これを挙げるというのは、理解できません。「細く長く続けたらいい事業ではないか」と話しています。この方は、分科会会長代理なので、尾身会長に次ぐナンバー2ではないか、と思いますが。

岩田健太郎神戸大学教授
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-kentaro-iwata-1?utm_source=dynamic&utm_campaign=bfsharetwitter

「PCR検査論争」が不毛な理由 同調圧力が支配する日本の感染症対策を考える

2020年5月25日BuzzFeed News 岩田直子記者によるインタビュー

「要するに無症状の人へのPCR検査では陽性者が捕まらない、少なくとも多くは捕まらない」

「スクリーニングは感度(陽性の人を正しく陽性と判断する割合)が高いのが前提で、PCRではスクリーニングはできません」

また、「無症状の人が他の人に感染させる事についてはデータが十分にありません」等、無症状者は感染させるリスクが低いから、検査に合理性がない、というようなラインで話しているように感じます。

また、事前確率(検査を考える対象の集団の中に陽性者がいそうな確率)が現在は低すぎ、検査をしても間違った結果が多くなり無駄。検査技師を無駄に働かせるのは許せない、としています。(20年5月下旬の記事ですから「現在」はその頃のことです)

余談ですが、この記事に限らず岩田教授のインタビューや書いたものを読んだ時の感じと、押谷仁教授のインタビューを読んだ時の感じは、二人は性格的には違うものの、頭の動きは似ていると感じました。特異的な同じパターンを持っている気がします。論理的に話しているかのように進行していますが、所々、ドグマティックに論理が飛躍している感じです。「~なのです」というように、初めに神ありき、という感じの、論拠と離れて出てくる絶対言みたいなものがあります。

時間があれば、また続きを書きます。

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十年の中国生活に基づいて、いまの中国社会について、多角的、網羅的に詳しく説明して本です。付録で、中国のコロナ対策についても35頁くらい説明しています。(この付録は、このコロナの付録だけ独立させて出版することも考えています)


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