ファッキン・コンビニエンス

なんて軽薄な時代だろう。

いや、人と人の距離感、なんてそんなものか。

気に入ればボタン一つで手に入る軽い浅い幸せ。

天国までは持ってけないよ。

手のひらサイズの液晶画面が暗闇の中で私たちの未来をぼんやりと照らし出す。

もはや行動の意思決定すら代行する四角いそいつ。

今日のBGMも、食べたいものも、会いたい人も。

ねえ、これは幸せ?

検索したら出てくるかしら。

あの気怠い空気が漂う夜に、いつまでこうしてうだうだしていればいいのかな、なんて明後日のことを考えながらてきとうに相槌を打っていた。

知らないあなた。

知らない場所で。

ここで死んだら絶対後悔するよね、なんて思いながら、頭の中では最近流行りのメロウな曲がループしていたんだ。

ああ、また通知。

ほら誰かがあたしを呼んでる。

寂しくなんかない、と強がりながら
今日も人恋しいの、なんて。

この抱えきれない矛盾と誰かへの愛情を、持て余してしまってもうしんどいよ。

って充電切れで目を瞑る。

イヤフォンで耳を塞いでいたいのに。

それすら叶わない。

夜の帳がどうとか、朝日が照らす君の横顔とか、もう美しい歌詞ばかりでうんざりだからさ。

思った通りの展開でつまんないメロドラの最終回みたいな時間でいいから少しづつ分けっこして分かち合えたなら。

20200905



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