5年分、わたしの裸が吹き飛んだ。
5年分のわたしの裸が、一瞬にして吹き飛んだ。
撮影データを保存していたiPhoneが、息の根を止めたのだ。
バックアップなんて、とっていなかった。
管理が甘くてちょっぴり後悔したけれど、これでよかったのだと思う自分もいる。
なんだか清々しくて、身体が軽くなったような気がする。
5年間で、わたしはここまで来ることができたのだ。
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5年とちょっと前、はじめて裸でカメラの前に立ったあの日。
大したことは考えていなくて、ただ面白いと思ってしまったから、一緒に楽しんでくれる人を見つけて、なんとなく裸になった。
こんなに続けるなんて、思っていなかった。
こんなに面白いなんて、思っていなかった。
何度、撮影をしても。
誰と、撮影をしても。
知らないわたしがそこに立っていた。
すきにはなれない自分の身体を、それでもいいやと思えるくらいには、わたしはわたしを見つめてきたつもりだった。
その5年間の積み重ねが、泡となってはじけて消えた。
どうしよう。
最初はそう思った。
どうやって復元したらいいのか、いろいろ調べた。
だけどもう、いい気がしてきた。
わたしの5年間は、役目を終えたのだ。
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この5年で、わたしは変わった。
体型が変わった。
ずいぶん痩せたと思う。
なんにもしていないのに。
骨が浮き出て、ぼこぼこしている。
最近は、そんな骨の突出がお気に入り。
気持ちが変わった。
ずいぶん丸くなったと思う。
どうしてもすきにはなれないけど。
これでいいやって、思えるようになった。
最近は、それなりに自分と仲良くやっている。
写真を見ても、そんなわたしがとてもよく写し出されていたと思う。
そんなわたしが、吹き飛んだ。
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大事にしていた作品たちだった。
だからさみしいなとは思う。
確かに思うけど。
それでもなんだか清々しくて、こういうもんなんだって。
なんだかそんな気がする。
ここからまた、わたしはわたしを生きるのだ。
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Photographer : Yukihiro Kuga
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