「トーベ・ヤンソンを知る」読書案内#16こぼれ話 三人きょうだいのこと・いい文章とは何?
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今回は、トーベ・ヤンソンの二人の弟のうち、上の弟で写真家のペル・ウーロフが書いた文章をスウェーデン語で読んで関連のある短編「猿」を紹介しました。
三人きょうだいのこと
ペル・ウーロフは、三人きょうだいの真ん中として、家族みんなを気にかけ、気苦労の多い人であったという印象を受けました。私は三姉妹の真ん中なので、個人的に思うところがありました。共感は時に傲慢であると思っているので、「わかる、わかる!」ということではないです。むしろ、私は上も下も気にはしていましたが、優しくなかったことを思い出しました。私たちは歳が近くて距離をとりにくかったのかもしれませんが。今は…大人になったし離れて暮らしているので、優しくしたいと反省しました。
いい文章とは何?
最初の頃、2000字弱の文章を書くのにとても苦労しました。考えていることをコンパクトにわかりやすく、かつ必要十分に言葉をつなぐことは、本当に難しいです。論文を書くのとは少し違います。私は根拠をしっかり示して主張するような書き方をしてきて、長いくせいにわかりにくくなりがちでした。ここ数回は慣れてきて、書くのは楽になりました。
しかし、すらすら書けることがかえって不安でもあります。「猿」だけではなく、ヤンソンの短編は登場人物の心情を明確に表現しないことが多いです。前後の文脈から想定できることもあれば、よくわからないこともあり、紹介する時に言いすぎになることも、中途半端になることも、言葉が足りなさすぎることも、あるいはまったく的外れになることもありえます。「猿」は短編のなかでも短いものなので、特に難しい作品のひとつです。あんな書き方でよかったのか自信はありません。
私は私でああだこうだ書いていますが、それは視点のひとつにすぎず、読む人が感じたことがいちばん大事だと思います。と考えると、私は何のために書いているのか、いい文章とはいったい何なのか、わからなくなります。でも、わからないからこそ書き続けたいです。書き続けてもわからないかもしれないですが。