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UNDERTALEと私 #3:悪党のロールプレイ

2023年1月14日。「本当のリセット」をする。Pエンディングをなかったことにするのは気が引けた。それでもこのルートを進むと決めたのは、真実のラボ以降のモヤモヤを晴らしたかったのもあるが、音ゲーに収録されているすべてのアンテ楽曲を味わい尽くすためでもあった。

様々な機種に「何はなくとも」で収録されているアンテ楽曲、MEGALOVANIA。どこで流れるのかはネタバレで知っていても、実際にそこにたどり着いたか否かで味わいが変わってくるはずだ。その味が、気になる。

それと、「本家のサンズ」と「ポップンのサンズ」の違いも気になっていた。pop’n musicのキャラクターにも勝ち負けの概念が存在するだけに、本家での勝ち負けにはどのような意味合いがあるのだろうかと。

3周目(G)

「おちたニンゲンに なまえをつけてください」

そういうつもりで決めたのではなかった「アオ」という名前で継続。

遺跡~ウォーターフェル

気がついたら「殺す対象を執拗に探してうろつく主人公」になっている。なんて恐ろしい設計。重苦しいBGMに変化しても、トリエルさんは何も知らない。

あぁこれほどの殺意を受けて初めて気づいたんだ、でももう遅いんだよね!(ちょくちょく悪人ヅラを挟んでいく)

骨兄弟にも塩対応の主人公。気まぐれに文字探しパズルを手に取ったら、サンズから「完全に悪い奴ってわけじゃないんだな」と言われる。やめてくれ……揺らぐから……。

パピルス戦で「ボタンを一度押しただけでは攻撃が失敗になる」のが「パピルスだから」だと思い込んでいたため、こんなにいい奴に明確な殺意を向けねばならないのかとさらにしんどくなる。
※実際はパピルス戦直前に装備した武器の仕様。

害意がない邪魔者を消すのは、なんてあっけないんだ。

[ ┃v┃ ]

アイテムも売るし皮肉も投げつけるガーソンさん。肝が据わっておられる。「貴様はヒーローに成敗される」と吐き捨てられ、悪党をやっていると自覚させられる。
もう殺戮へのためらいも薄れつつある悪党に立ち向かおうとするモンスターの子。君ももっと長く生きていたらかっこいいヒーローになれただろうに。

不死身のアンダイン戦

ひとつめの山場。不屈の勇者が立ちふさがり、あっという間にやられる悪党。これでいいんじゃないの? 回復アイテムを買いに行くんじゃないよ。

「pop'n musicに収録されたアンテ楽曲」2曲目、Battle Against a True Hero。涙が出るほどかっこいい。悲壮感に満ちた決死の覚悟が伝わってくる。どうして私はこれを打ち崩そうとしているのだろう? 何度もやり直せる主人公と違って、向こうは一度きりの命がけだというのに。

それは少なからず、ゲームとして楽しいから、だろう。コンティニューするたびに、苛烈な攻撃の抜け道が見えてくるのだ。

ついに強敵のHPを削り切った瞬間……達成感よりも「やってしまった」が上回った。客観的に見るとずるい気もする。とどめを刺すと決めたのは私自身に他ならないのだから。

その一方で、悪党に討たれたヒーローは、最期の瞬間まで笑顔だった。散る間際にも希望を手放そうとはしなかった。アルフィーをはじめとする住民たちに見守られていたのを意識してもいただろうか。

さっきまで手前にあったはずのセーブポイントが消えている。お前はここに至っておきながら安心を求めるのか、とでも言うように。

ホットランド〜 ニューホーム

ホットランドもギミック直通だし全員一撃だしで虚しい。不死身のアンダイン戦を乗り越えてしまったからか、強敵を求める他に楽しみがない。

ニューホーム。「アオ」がよく知る場所のようだ。道すがら聞かされるフラウィの生い立ち。謎が明かされて納得はする一方で、正体も知っているだけに後味は悪い。
急に画面の外を見てくるフラウィに、「悪党のロールプレイ」をしている身としてもギクリとしてしまう。

サンズ戦

とうとうたどり着いた最後の回廊。「pop'n musicに収録されたアンテ楽曲」3曲目ことMEGALOVANIAを聴くまでに数回やられる。目標達成おめでとう、そしてここが地獄だ。翻弄されながら、そりゃ「ポップンのサンズ」は本編そのままだとマズいなぁとぼんやり考える。

プレイヤーとして先に進みたいのにゲームが下手すぎて凹む私。
殺戮の限りを尽くした悪党がボコボコにされる様子を嘲笑う私。
悪党のロールプレイを完遂しようと意地を見せる私。
自分がいっぱいいて脳内がやかましい。

無味乾燥な企業wikiの攻略で勝利条件を知り、途方に暮れる。

何度コンティニューしても終わりが見えず、折り返し地点に辿りつく前にほとんど心が折れていた。
そもそもGルートを進める動機は「音ゲーに収録されているアンテ楽曲を心置きなく味わうため」で、サンズと戦う動機は「ポップンのサンズにおける勝ち負けとの違いを味わってみたい」。もはや音ゲーマーとしてのケツイだけで戦い続けている。なんですかこれは?

最終的に私は「MEGALOVANIAから逃げる」
PCのヘッドホンからスマホのイヤホンに替え、Apple Musicのプレイリストでテクノを聴き始めた。

テクノは感情を排して音に没入する音楽。無機質な音が被弾の動揺を均していく。おかげで一気に中盤までたどり着いた。
ゲームから完全に切り離されているため、サンズもフラウィもこの行為を感知できないのだ! 端的に言って卑怯である。

サンズの説得を蹴ると、攻撃はさらに苛烈に。反則だろうそれは。――サンズのセリフの続きは気になるが、もう耐えられる気がしない。

サンズに立ち向かった期間、1/24〜2/23。
コンティニュー回数、3桁は行っただろうが覚えてない。
最大攻撃回数、19回。
避けるのも慣れてきたとは言え、前半でゲームオーバーにならなくなったわけでもない。真っ当に立ち向かう気力はとうに尽きたし、飽きた。詰み。

私の負けだ。
サンズにもBGMにもコケにされて終了。

悪党の予行演習だったのかもしれない

ここで負けを選んだのは、再度Pエンディングを目指したかったからではない。

サンズ戦の合間に各分岐エンディングの動画を漁り、アルフィーエンドが「自分でやりたい悪党」だな、と考えてしまったからだ。「遺されたアルフィーがアンダインのケツイを受け継いだ」ように見えて……正直、”癖に刺さった”のだ。

地下世界を滅ぼさない程度の殺戮を続け、ヒーローを倒し、主人公に好意的だったはずのアルフィーから恨みを向けられる結末を求めて進むルート。「アンダインとアルフィーの死別ビターエンド」とでも解釈できよう。それはきっと、私だけが感じ取れる味わいが出てくるのではないか?

サンズ戦を諦める前に、そういった方向性の「悪党のケツイ」が芽生えていた。結局サンズに勝てるほどゲームが上手くないと思い知らされたのはもちろん、自己流解釈のビターエンドなら達成できる、と思い至ったのも勝つのを諦めた理由のひとつ。
どっちにしろしょっぱい悪党ではあるのだが。

おまけ1:音ゲーマーとして味わうのも解禁

サンズを自キャラにしてプレイする「無の世界の歌」の味~
(pop'n music 15の楽曲解禁イベントの最後に鎮座するボス曲だった)
初見は本家みたいな早さで終了したMEGALOVANIA DP-DIFFICULT
(DanceDanceRevolutionはミスが続くと曲が途中で終わる)

おまけ2:合間のシンさんアンテ実況(最終回)

TPルート編の#6および最終回。

ホラー耐性のなさを自覚しておられるので心配だった真実のラボでは、もはや恐怖を通り越していたようだ。

「ゲーム」として彼のGルートボス戦を見たかった気持ちが皆無かと言えば嘘になる。だけど「世界」として捉えた彼の意志も尊重したいので、不満は一切なかった。むしろそういう捉え方をした人に、そのうち罪悪感すら薄れていくGルートを進んでほしくない!

自身が辿った道筋で知り得なかったことは基本的に知るべきではない、との決断にも感服した。知ることで受け取り方が大きく変わるゲームなのは私も実感したところであり、彼の勘でもあるのだろう。

ただ、私が選んだ道筋も間違いではないと思っている。どの要素をどのように受け取ったか、どう受け取りたいと思うか、プレイした人によって変わってくるのもアンテの面白さのひとつなのだろうし。

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