前略、ゲームプロデューサ各位

9年前ブログに書いた記事を再掲させていただきます。

いつどこであったかは失念したが、永六輔氏がある著書の中で語っていた持論が興味深かった。
 TVのプロデューサという仕事は特殊なもので、現場叩き上げの人間ばかりでは勤まらない。これからはプロデューサ専門の教育課程を設けるべきだと思う云々。
 長らくTVに携わってきた氏ならではの観念であろうか。あるいはコンテンツビジネスに携わるものなら、一様に抱く理想形なのだろうか。

 プロデューサとは、売り出す商品の委細を決するのみならず、与えられた予算の遣り繰りや生産ラインの管理運営なども重要な仕事だ。それは極めて専門性の高い仕事であり、ユーザーとスタッフ、時間と金銭に板挟みにされるハードな立場でもある。
 近年、我々ゲームファンがソフトを選ぶときの基準に、スタッフやメーカーの名前を見て選ぶ機会が増えたように思う。それはかつてFFの生みの親である坂口博信氏が語った「これからは作家性でゲームを選ぶ時代になる」という言葉をなぞるような流れだ。
 誰某が作ったRPG。誰某が手がけたアドベンチャー。誰某がサウンドスタッフに参加しているなど。そういった情報が与えられやすい世の中になったことも一助になったと思うが、まずユーザーの興味が、ソフトの向こうにいる人間に移っているといえなくもない。
 もちろんこれが、即ちあらゆるゲームに適用されるとは思っていない。DSのトモダチコレクションに興じている人々の中で、それを作ったクリエータについて知っている人はあまりいないだろう。だが同時に、そのゲームに名を連ねる人物が、どのくらい関わっていてどのくらいその影響があるのかという点については、正確に把握している人は少ないと思う。

 過日OAされたミッドナイトライブ360で、ケイブの浅田プロデューサの一日を追った映像が流された。一日百通を越えるメールの決済にはじまり、外部組織との折衝、生産ラインの管理、企画の研磨、ペグルの鍛錬等(笑)、寸暇を絞り尽くしての仕事ぶりである。
 しかしそれとて、プロデューサの仕事の一端だと思う。具体的に浅田氏の意思がどの程度ゲーム開発に介在し、またどのようにしてスタッフやユーザーのフィードバックを、次の作品に内包させるのかという所までは、さすがに踏み込めなかったようである。

 今ゲーム業界に入るために、研鑽を重ねている人。クリエータを志す人。あるいは自分の特性がプロデュースに大いに役立つにもかかわらず、その事に気付いていない人。そういった人たちのために必要な情報が、まだどこかに眠ってしまっているのではなかろうか。
 多極化多国籍化が進むゲーム業界において、ゲームプロデューサの専門教程が、これから必要とされるのか否か。

 もしこのブログをご覧になっている方の中で、ゲーム製作に携わっており、上記の疑問に対し何らかの意見をお持ちの方がいらっしゃったら、是非メールなりコメントなりを頂きたい。勿論匿名でも構いません。
 ゲームは誰が生み、誰が育て、誰が送り出しているのだろう?

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