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#贈与

普通の親子関係にこそ含まれる憎悪

この記事は、マルセル・モースの『贈与論』やデヴィッド・グレーバーの『負債論』なんかを読んでいると分かりやすくなると思うよ! 最近ふと思ったことがある。 とりたてて「毒親」というわけでもない、ごく普通の、なんなら良好な親子関係の中にこそ混じらざるを得ない一抹の憎悪があるのではないか、と。 それは親子の関係が実質的に対等ではなくヒエラルキーに基づいたものであること、ならびにヒエラルキーの関係が固定化していることによる。 言うまでもなく、親が子を養い育てる以上、親子の間には「

苦痛の贈与

何らかの事件の容疑者が逮捕されたとき、YouTubeに上がっているニュースのコメント欄には、こんな文言が並ぶ。 仮に死刑が執行されるとして、死ぬ前に苦痛を与えるのと与えないのとで、何か違うのだろうか? 「死」という結末が同じならば、そこに行き着くまでの過程で苦痛を与えようが与えまいが、結果としては何も変わらない。 だというのに、なぜ「苦痛を与える」ことが重要なのだろう? しかも、「苦痛の重視」は最近に限ったことではない。 凌遅、炮烙、ファラリスの雄牛、車裂き、火あぶり