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オリンピックが後押しになるか? 補助犬のトイレ事情

トイレの「アクセシブルデザイン」については、2018年5月11日に紹介した。ペーパーホルダー、流すボタンの配置、非常呼出しボタンの位置や高さなどなど。また、もし視覚障がい者をトイレに案内するとしたらどう対応したら良いかといった内容だった。

今日は、障がい者をサポートする補助犬のトイレ問題。

補助犬とは? またその数は?

街中で見かける身体障害者補助犬、いわゆる補助犬とは2002年に施行(2007年に一部改正)された「身体障害者補助犬法」により盲導犬、介助犬及び聴導犬を指すとなっている。
2018年5月1日時点で、全国で1,090頭の補助犬が活躍している。
一番多いのは盲導犬で941頭(86.3%)、そして介助犬が75頭(6.9%)、聴導犬が74頭(6.8%)という内訳だ。

盲導犬は、視覚障害のある人が街なかを安全に歩けるようにサポート
介助犬は、肢体不自由のある人の日常生活動作をサポート
聴導犬は、聴覚障害のある人に生活の中の必要な音を知らせ、音源まで誘導
(厚生労働省のページより引用)

補助犬のトイレ事情

補助犬はペットとは異なり、サポートが必要な人にとっては身体の一部。
そんな彼らも外出時には、もちろんトイレに行くことがある。
では、特別な訓練を受けている補助犬たち、どこでトイレするのか? 一般家庭で飼われているペットと違うのか、同じなのか?

補助犬はトレーニングの中で、排泄のタイミングや仕方を覚えており、その個体それぞれのタイミングにあわせてトレーナーさんやユーザーさんが排泄管理をしている。

排泄時も汚さないよう工夫されている

盲導犬では、ワン=おしっこ、ツー=うんちという具合に指示されるだそうだ。この指示が名前となった「ワン・ツーベルト」(またはションベルト)というものがあり、それに袋を取り付けて排泄時に装着することで、下に落とさず周囲を汚さずに排泄できるとか。小であれば凝固剤やトイレシートを入れておけば処理もしやすい。

画像は、左が「ワン・ツーベルト」、右が装着例。なおワン・ツーベルトは石川県の株式会社アクセス・テクノロジー様から、また装着例は社団法人兵庫盲導犬協会様から拝借させて頂きました。

補助犬の排泄スペース

施設によっては、補助犬の排泄スペースを設けているところもある。

例えば成田空港には、国際線搭乗エリアに補助犬専用トイレがある。出国手続きを終えたあとのエリアにあり、フライト前にこのスペースで排泄させることができる。汚物流しやリードをつないでおく場所などがある。

[PDF] 成田空港 ほじょ犬トイレの設置について プレスリリース

成田空港 補助犬専用のトイレ完成(ニコ動)

羽田空港でも、ターミナル内1階の案内カウンターの隣に補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬)専用のトイレが設けてある。

目の不自由なお客さまへのご案内 補助犬トイレ

いずれも案内カウンターなどで係員に声をかけて利用するようになっている。

またスカイツリータウンでは多目的トイレ、希望があれば補助犬用の排泄場所に案内しているとのこと。

宿泊では、新宿の京王プラザホテル。ここは2007年に業界で初めて「補助犬専用トイレ」を設置したそうだ。

オリンピックと補助犬専用トイレスペース

補助犬専用トイレはまだ少なく、全国でも約20か所とのこと。ただし、障害者差別解消法の施行や2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え、設置の動きが広がっていると聞く。

なお、補助犬の入店を拒否されたというニュースが時折聞かれるが、身体障害者補助犬法により、公共施設・交通機関・スーパー・飲食店・ホテル・病院や職場などでは、補助犬同伴の受け入れが義務付けられている。

2017年9月4日 6割が同伴拒否、NPOが補助犬への正しい理解訴え

補助犬のステッカーがなくても同伴できるが、ステッカーを貼ることで他の来店客への啓発にもつながる。自治体などでステッカーを配布している所も多い。もし、店舗を営業されているかたで補助犬ステッカーを貼りたいとお考えの方は問い合わせてみてはいかがだろうか。
※ 補助犬同伴可ステッカーは、下記のもの以外にも全国盲導犬施設連合会で作成したものや日本補助犬協会で配布している「補助犬同伴可ステッカー」などもある。

参考

UDアドバイザー通信 第5回「スカイツリー:ほじょ犬のトイレ?」
身体障害者補助犬法(e-Gov)
全国盲導犬施設連合会 ステッカー配布受付
日本補助犬協会 補助犬同伴可ステッカーが新しくなりました
[PDF]厚生労働省 身体障害者補助犬実働頭数(都道府県別)
補助犬ってどんな犬?その種類と出会った時の接し方についてお伝えします

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(了)

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド ワイタンギ ©moya

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