業務委託をするなら、お金払ってでも得たいものは何なのか?を明確にしてから
仕事をするうえで、測量や調査、設計など、外部に業務委託することがあります。
業務委託について思うところを書いてみます。
(業務委託とまでは行かなくても、友達など、自分以外の人にお願いする時にも参考になるかなと思います。)
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そもそも業務委託とは
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業務委託の定義はとても大事なのですが、説明すると長くなるのでざっくりと書きます。
業務委託は、"請負契約"と"委任契約・準委任契約"があって、今回は準委任契約についてのお話です。
測量や調査、設計などは、"準委任契約"として発注者が業者さん(受注者)と契約します。
【準委任契約の特徴】
①発注者からの依頼に対して受注者が業務(作業)を行う。
②発注者は受注者の業務(作業)に対してお金を払う。
③受注者は"善管注意義務(※)"を負う。
(※:"善良な管理者の注意義務"の略。受注者の専門的知識など、一般的に期待される注意義務のこと)
③についての補足
例えば、A君はプラモデル作りが得意だとします。
それを聞いた不器用なB君が、A君に1,000円を払ってガンダムのプラモデルをキレイに作ってもらう契約をします。
その時、B君(発注者)は、A君(受注者)が作るプラモデルは一般的に上手にできることを期待します。
A君が手を抜いて下手にプラモデルを作れば、善管注意義務違反です。
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よくある話
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業務委託について、過去に仕事でこんな愚痴を聞いた事があります。
①受注者は発注者の求める内容がわかってない。
②発注者の求める成果がなかなか出て来ず、成果はほとんど発注者が手直しして作った。本来ならお金を返して欲しいくらいだ。
③契約終了後、成果に不備があることがわかり、受注者にやり直しをさせたい。
これらは【準委任契約の特徴】で書いた①〜③と関連しています。
①について
「発注者からの依頼に対して受注者が業務(作業)を行う。」なので、発注者の依頼内容が受注者に上手く伝わらずに業務(作業)が進むこともあります。
②について
「発注者は受注者の業務(作業)に対してお金を払う。」なので、発注者は、例え求める成果が出てこなくても、業務(作業)してもらった分はお金を払わなければなりません。
③について
「受注者は"善管注意義務(※)"を負う。」ことにより、受注者は発注者の依頼に忠実に能力を発揮したので、発注者がやり直しをさせたいのであれば、改めて契約して作業してもらうことになります。
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業務委託ってもっと融通きかないの?
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「よくある話」で書いた内容は、一見、業務委託は融通がきかないように思えますが、ここで大事なことは、
業務委託は、自動販売機のようにお金を入れたら欲しいものが出てくるとは限らない
ということです。
自動販売機には、欲しい飲み物のサンプルが並んでいます。それらは、
温かいのか?冷たいのか?炭酸なのか?コーヒーなのか?などなど
商品が明確に、ほぼ誰が見てもわかるようになってます。
サンプルを見て、自分が欲しい商品を選び、お金を払って飲み物を買います。
仮に、飲みたいとも思ってなかった商品を間違えて選んでしまったら、それは自分の責任ですね。
業務委託に置き換えると、「よくある話」の対応策としては、
発注者がどんな成果を求めているのか?を受注者に対して明確かつ正確に伝える必要があります。
そうなると、"初回打合せ"こそがめちゃめちゃ重要で、ここでいかに"発注者の頭の中と受注者の頭の中を一緒にするか"に成果の出来がかかってます。
さらには当初発注時に、発注者はお金を払ってでも得たいものは何なのか?コーヒーが欲しいのか?炭酸が欲しいのか?はたまた、おしるこが欲しいのか?
発注者がこれらを明確に持って発注しておかないと、今後も引き続き同じような愚痴を繰り返すことになります。
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最後に
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「この業務はコンサルに委託して方針を決めよう!急いで業務委託を発注しよう!」
とか
「この業務の国が出したマニュアルは難しいから読まなくていいや。業務委託すれば業者さんはみんなマニュアルを熟知してるんだから、急いで業務委託を発注しよう!」
なんて会話を聞く時がたまにあります。
もちろん、測量や調査、設計などは、専門的な技術と経験があるコンサルタント会社に委託した方が、効率よく仕事が進められます。
しかしこの場合、私の経験上、8割くらいは発注者が求める成果は得られないです。
"任せる"と"頼む"は違う
業者任せ、つまり、判断も手順も相手に任せたところで、求める成果は出てこない。出てきたとしても、筋の通った中身などないカタチだけ。
判断や手順など、こちらの求めるものを相手に詳細に示して頼むことで、求める成果が出てくる。
1回で求める成果が出てくるとは限らないので、何度も相手と打合せを重ねることで、良い成果が出来上がると思います。
なので、業務委託をするなら、発注者は"お金払ってでも得たいものは何なのか"を明確にして、業者さんの専門的知識を最大限引き出せる環境を作ることが大事だと思います。
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