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たかい たかい


僕は小さな頃から裏表のある子供だった。
他人を値踏みして評論家気を気取るくせに、他人から眼差しを向けられると無垢を装う。

心のほとんどを、臆病さが支配している。
あいつよりも僕の方が優れてると自分に言い聞かせて、安心したいのだ。
いつも背伸びして、自分を着飾って、自分を守っていたいのだ。


そんな擦れた子供だった僕は、
「大人びている」「落ち着いている」
という言葉が好きで、その文句を頂くたびに鼻が高くなったような気分になっていた。

なぜなら、子供より大人の方が「上」だから、すごいから。
他の子供達とは違って、大人の要素を持つ、特別さを認められた気がするから。

今も相変わらず、大人だねぇ、と言われると嬉しくなってしまう。


そんな自分も、もう齢24が近い。
いつまでこの汚い背伸びは続くのか。

2年後の25歳の頃は?2年で人は変わらないか。
5年後は?もう30も目前。
10年後は、30代も半分。40代が視野に入る。この歳でも、「上」に見られたいのだろうか?

歳をとると、精神に対する褒め言葉はあるときに逆転する。
大人だね、から、若々しいね、へと。

いつの日か自分の欲しい言葉も変わっていくのだろうか。
どこまでいっても逆張りを続けて、特別な人間だと思われたいのだろうか。


いつまでも、今の自分より一歩先を目指し続けるのか。
それだと、結局、ずっと自分を認められないんじゃないかな。

人生の最高峰はどこになるんだろう。
キレイな景色が広がってるといいな。

見渡すと美しいはずの景色に気づけない、
なんてことに、ならないようにね。

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