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ピアスで羽化した日
2年前の春、高校を卒業してすぐピアスを開けた。
卒業式を終え、そのまま学校の近くのショッピングモールのフードコートで友達と開け合った。
両耳たぶにひとつずつ。
パチンとピアッサーで開けた瞬間、羽化する蝉の気持ちがわかったような気がした(気がしただけ!笑)
今ではピアスは、両耳計9個開いている。
学生の頃の私は割と「良い子」だったと思う。
テストの点数が良かった訳では無い。勉強は嫌いだ。提出物だってよく提出日をすぎては出していた。
だけど、怒られないように、人に迷惑をかけないように、ガッカリさせないように、と思っていたら、いつの間にか「良い子」認定されていた。
違うのに。良い子なんかじゃないのに。
ずっとそう思っていた。
誰も私のことを見てくれていない気がして、悲しかった。
今、そんな学生時代の私しか知らない人に会うと、ピアスがたくさん揺れる耳を見てびっくりされる。
その驚いた顔がなんとも心地よい。
あのころの私とは違うんだ!と密かに叫ぶ私の耳。
いつか、その耳はあなたなんだね、と言ってくれる時が来たら
いいでしょ!可愛いでしょ!と揺れるピアスを自慢するんだ。
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